Amazon Redshiftの動作はつねに計測されており、この半年の改良で3.5倍もの高速化を実現した。AWS re:Invent 2018

2018年11月30日

Amazon Web Servicesはラスベガスで年次イベント「AWS re:Invent 2018」を開催中です。

Amazon.com CTOのWerner Vogels氏による基調講演でVogels氏は、今月1日にAmazon.comのデータウェアハウスをOracleからAWSのデータベースサービスであるAmazon Redshiftへ移行したことを明らかにしました。

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「今年、うれしかった日が実は11月1日だった。この日は、世界最大級のOracleデータウェアハウスのスイッチをオフにし、Redshiftへの移行を行った日だ」(Vogels氏)

Amazon Redshiftへの移行を実現した背景には、徹底的な改善があったとVogels氏。

「なぜこれが実現できたか。Redshiftは素晴らしいソフトウェアであり、この1年だけでも大幅に改良されてきたからだ。

私たちは何十万という顧客のRedshiftの使用状況を観察し、どんな種類のクエリを実行したのか、クエリにどれくらいの時間がかかったのか、待ち時間はどのくらいかなどをすべて計測した。こうしたことがRedshiftの性能改善にとても役立ったのだ」

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Vogels氏はこうした現実のワークロードでの観察を基に行われた改良によって、クエリで17倍、バルクデリートで10倍、1行のインサートで3倍、コミットでも2倍と、大幅な性能向上を実現したと説明。

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そしてこの半年だけでも3.5倍も高速になったとのこと。

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「なぜならつねに顧客に使われて、フィードバックループが回っているからだ」(Vogels氏)

その結果、現在では平均で顧客の87%がRedshiftでの処理で大きな待ち時間を経験しなくなったとのこと。

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「しかし私は誰にも処理を待ってほしくない。そこでここに新機能のAmazon Redshift concurrency scalingを発表する」(Vogels氏)

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Amazon Redshift concurrency scalingは、並列処理のリソースを追加することで処理の高速化を行うサービス。

24時間ごとに1時間の無料枠が提供されるため「基本的に99%の顧客で追加料金はかからないだろう」(Vogels氏)とのこと。

パッケージソフトウェアではできない強み

ソフトウェアが現実にどのように使われ、どこにボトルネックがあるのかをつねに計測できるのは、パッケージソフトウェアにはない、クラウドサービスとして提供されるソフトウェアの強みです。

AWSの提供するサービスは、こうしたクラウドの強みがあるからこそ急速に改良が進み、より高性能なものへと進化していくことが可能であると、そしてそれがOracle DatabaseからRedshiftへの移行を実現し、さらにその先へより早く進化していけるのだと、Vogels氏は暗に示したようです。

今回、Vogels氏はAmazon.comにおけるOracleのデータウェアハウスをオフにしたことを明らかにしましたが、すべてのOracleデータベースをオフにしたとは言っていません。

AWSのCEO Andy Jassy氏は11月28日付けのCNBCでのインタビューで、2019年の終わりまでにAmazonはOracleデータベースから脱却すると話しています。つまりまだ、Amazon.comでは一部でOracleデータベースが残っているのでしょう。

オラクル創業者兼CTOのラリー・エリソン氏はまだしばらく「Amazon.comでさえOracleデータベースを使っているのだ」という得意のセールストークを使えるようです。

AWS re:Invent 2018

Day0:Midnight Madness

Day1:Monday Night Live

Keynote1:by Andy Jassy AWS CEO

Keynote2:by Werner Vogels Amazon.com CTO

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