Amazon Redshiftの動作はつねに計測されており、この半年の改良で3.5倍もの高速化を実現した。AWS re:Invent 2018
Amazon Web Servicesはラスベガスで年次イベント「AWS re:Invent 2018」を開催中です。
Amazon.com CTOのWerner Vogels氏による基調講演でVogels氏は、今月1日にAmazon.comのデータウェアハウスをOracleからAWSのデータベースサービスであるAmazon Redshiftへ移行したことを明らかにしました。
「今年、うれしかった日が実は11月1日だった。この日は、世界最大級のOracleデータウェアハウスのスイッチをオフにし、Redshiftへの移行を行った日だ」(Vogels氏)
Amazon Redshiftへの移行を実現した背景には、徹底的な改善があったとVogels氏。
「なぜこれが実現できたか。Redshiftは素晴らしいソフトウェアであり、この1年だけでも大幅に改良されてきたからだ。
私たちは何十万という顧客のRedshiftの使用状況を観察し、どんな種類のクエリを実行したのか、クエリにどれくらいの時間がかかったのか、待ち時間はどのくらいかなどをすべて計測した。こうしたことがRedshiftの性能改善にとても役立ったのだ」
Vogels氏はこうした現実のワークロードでの観察を基に行われた改良によって、クエリで17倍、バルクデリートで10倍、1行のインサートで3倍、コミットでも2倍と、大幅な性能向上を実現したと説明。
そしてこの半年だけでも3.5倍も高速になったとのこと。
「なぜならつねに顧客に使われて、フィードバックループが回っているからだ」(Vogels氏)
その結果、現在では平均で顧客の87%がRedshiftでの処理で大きな待ち時間を経験しなくなったとのこと。
「しかし私は誰にも処理を待ってほしくない。そこでここに新機能のAmazon Redshift concurrency scalingを発表する」(Vogels氏)
Amazon Redshift concurrency scalingは、並列処理のリソースを追加することで処理の高速化を行うサービス。
24時間ごとに1時間の無料枠が提供されるため「基本的に99%の顧客で追加料金はかからないだろう」(Vogels氏)とのこと。
パッケージソフトウェアではできない強み
ソフトウェアが現実にどのように使われ、どこにボトルネックがあるのかをつねに計測できるのは、パッケージソフトウェアにはない、クラウドサービスとして提供されるソフトウェアの強みです。
AWSの提供するサービスは、こうしたクラウドの強みがあるからこそ急速に改良が進み、より高性能なものへと進化していくことが可能であると、そしてそれがOracle DatabaseからRedshiftへの移行を実現し、さらにその先へより早く進化していけるのだと、Vogels氏は暗に示したようです。
今回、Vogels氏はAmazon.comにおけるOracleのデータウェアハウスをオフにしたことを明らかにしましたが、すべてのOracleデータベースをオフにしたとは言っていません。
AWSのCEO Andy Jassy氏は11月28日付けのCNBCでのインタビューで、2019年の終わりまでにAmazonはOracleデータベースから脱却すると話しています。つまりまだ、Amazon.comでは一部でOracleデータベースが残っているのでしょう。
オラクル創業者兼CTOのラリー・エリソン氏はまだしばらく「Amazon.comでさえOracleデータベースを使っているのだ」という得意のセールストークを使えるようです。
AWS re:Invent 2018
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