インプレス、上場廃止後の新体制に。新社長には塚本慶一郎氏の子である塚本由紀氏が就任
先月末(2025年7月末)に上場を廃止したインプレスホールディングスが新たな経営陣を発表しました。
6人いた取締役は3人となり、代表取締役には同社ファウンダーである塚本慶一郎氏の子である塚本由紀氏が就任しました。
代表取締役に塚本由紀氏
塚本由紀氏は2007年に塚本慶一郎氏が病気で倒れた後に同氏の介護をしつつ塚本慶一郎氏の資産管理会社であるT&Co.の取締役に就任。2017年からインプレスホールディングスの取締役を務め、2020年には取締役副社長、2024年には取締役CCOを務めていました。
今回の上場廃止と同社グループ事業の再編成はT&Co.の提案によるものであり、塚本由紀氏の代表取締役への就任によってインプレスグループの今後についてのイニシアチブは同氏が握っていくことになるでしょう。
2人目の取締役は同社財務企画部部長や経営戦略室室長などの経歴を持つ二宮宏文氏。同氏はインプレスグループ傘下の「山と溪谷社」の代表取締役社長を兼任します。
社外取締役に元アスキーの宮川洋氏
3人目は社外取締役としてイード代表取締役の宮川洋氏が就任しました。
イードはIT系ニュースサイトの「RBB Today」や自動車ニュースサイト「Response」など多くのメディアなどを運営する企業であり、インプレスグループが運営するメディアとの競合もしています(例えばPC WatchやCar Watchなど)。
しかしネットと紙を含む出版ビジネス全体が大きな変化に見舞われている中で、あえてそうした企業の代表を社外取締役に据えることで、同社の経営課題を客観的に指摘し乗り越えるための視点を持とうとしているのだと思われます。
宮川氏はまた、1988年に新入社員としてアスキーに入社後、出版部門に配属されています。その後、1992年にアスキーの出版部門に在籍していた塚本慶一郎氏らが退職してインプレスが設立されました。
そのため宮川氏はアスキー時代に一緒に働いていたインプレス社内の人たちとの個人的なつながりや同社のカルチャーに関する理解があるといえ、それゆえに競合があったとしても社外取締役就任として適任だという判断があったのだと推測できます(宮川氏のアスキー同期には、インプレスで「できるシリーズ」や「Internet Watch」などを立ち上げた故 山下憲治氏がいます。筆者=新野も山下氏と宮川氏の同期であり友人であることを明らかにしておきます)。
これまでインプレスホールディングスの代表取締役社長兼CEOであった松本大輔氏は執行役員に、取締役会長であった唐島夏生氏は相談役になっています。
インプレスホールディングスの取締役が3人と少人数になったことは上場廃止における大きな狙いの1つだったはずです。これによって組織や事業の再編、企業買収や提携などの重要な判断や戦略策定などがこれまでよりも迅速かつ大胆にできるようになると見られます。
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