日本人プログラマ向け、プログラミングに適した「フォント」まとめ。2025年版
プログラミングでは、1文字でも打ち間違いがあればエラーの原因になってしまいます。
そこで似たような文字、例えば数字の「1」(いち)とアルファベットの「l」(エル)、数字の「0」(ゼロ)とアルファベットの「O」(オー)などを容易に見分けられるようなフォントを使うことが、ミスを防ぐことにつながります。
コードを表示させたときに整然として見やすく、エディタ上でカーソルを上下に移動させてもカーソル位置が左右にぶれずに表示されるように文字の幅が等幅に揃っていることも必要でしょう。
日本語の場合には、「-」(マイナス記号)と「ー」(音引き)の区別や、コード内に全角空白が紛れ込んだとしてもすぐに見分けられることなどの特徴を備えていることもプログラミングに適したフォントに求められる条件だといえます。
この記事では、そうした特徴を備えたプログラミングに適したフォントを2025年版としてまとめました。この冬休みにご自身の開発環境を見直そうと考えている方など、参考にしていただければ幸いです。
前回の2024年版との違いとして2025年版では、「M PLUS 1 Code」「SOROEMONO」「Firge」「Juisee」「Guguru Sans Code」の5種類のコーディング用フォントを追加しました。また、前回紹介した「Cascadia Next」はプレリリースのままアップデートされていないため、今回は除外しました。
ここで紹介されていない日本語対応のプログラミング向けフォントがあれば、ぜひX/Twitterやブックマークのコメントなどで教えてください。
白源(はくげん/HackGen)

白源 (はくげん/HackGen)は、プログラミング向け欧文フォント「Hack」と、アドビの日本語フォント「源ノ角ゴシック」の派生フォント「源柔ゴシック」を合成したフォントです。さらに下記の視認性向上などが行われています。
- 全角スペースの可視化、パイプ記号(|)の破断線化
- 英字部分へのヒンティング付与による明瞭な表示
- vimやシェルなどでステータス表示を行うPowerlineに対応したPowerline記号の表示
- 濁点と半濁点を通常より大きくして表示サイズが小さい場合でも区別しやすく -長音記号(ー)と漢数字の1(一)にアクセントを付け区別しやすく
- カタカナの「ヘ」にアクセントを付け、ひらがなと区別しやすくした
UDEV Gothic

UDEV Gothic は、IntelliJ などの開発環境を提供することで知られるJetBrainsが手がけた開発者向け欧文フォント「JetBrains Mono」と、モリサワの日本語ユニバーサルデザインフォント「BIZ UDゴシック」を合成したフォントです。
全角スペースを可視化する修正を加え、リガチャに対応したバリエーションなども用意されています。
BIZ UDゴシックの優れた機能美はそのままに、調和的で判読性の高い英数字を提供することを目指していると説明されています。
PlemolJP(プレモル ジェイピー)

PlemolJP(プレモル ジェイピー)は、タイプライターをフォント開発の起源としているIBMが自身のアイデンティティを伝えるために作った欧文フォント「IBM Plex」の等幅フォントである「IBM Plex Mono」と、IBM Plexの日本語フォント「IBM Plex Sans JP」を合成したフォントです。
全角スペースを可視化する修正なども加わっています。
Moralerspace

Moralerspaceは、GitHubがコーディングのために作成した欧文フォント「Monaspace」と、IBMが作成した日本語フォント「IBM Plex Sans JP」、罫線素片などの一部半角記号はプログラミング向け英文フォント「Hack」などを合成したフォントです。
全角スペースを可視化する修正なども加わっています。
Bizin Gothic (ビジン ゴシック)

Bizin Gothic (ビジン ゴシック) は、Windows Vistaに搭載されていた等幅のプログラミング用フォント「Consolas」にインスパイアされ作成されたプログラミング用の欧文フォント「Inconsolata」と、モリサワの日本語ユニバーサルデザインフォント「BIZ UDゴシック」を合成したフォントです。
判読性を上げるための各種文字調整の仕様は、日本語対応のプログラム向けフォントとして先駆的な存在であった「Ricty」を意識して製作されていると説明されています。
NOTONOTO

NOTONOTOは、すべての言語に対応したフォントを開発することで、いわゆる「豆腐」と呼ばれる四角い記号が現れることのないように「No Tofu」という意味を込めてGoogleが開発した等幅の欧文フォント「Noto Sans Mono」と、日本語フォントの「Noto Sans Japanese」を合成したフォントです。
Explex

Explexは、コードの読みやすさに焦点を当てた欧文フォント「0xProto」とIBMが作成した日本語フォント「IBM Plex Sans JP」を合成したフォントです。全角スペースの可視化なども行われています。
源ノ角ゴシック Code JP(Source Han Code JP)

源ノ角ゴシック Code JPは、アドビがユーザーインターフェイスなどの用途向けにアルファベットや数字をディスプレイで判別しやすく作成した欧文の等幅フォント「Source Code Pro」と、アドビとGoogleが協力して日本語と韓国語で用いる文字および中国語で用いる繁体字と簡体字のグリフのバリエーションすべてに完全に対応し、タブレットやスマートフォンなどの小型デバイスでも読みやすいシンプルなフォントとして作成した「源ノ角ゴシック(Source Han Sans)」とを組み合わせて調整されたフォントです。
≫源ノ角ゴシック Code JP(Source Han Code JP)
≫Introducing Source Han Code JP
Cica

Cicaは、英数字と記号類にプログラミング向け欧文フォント「Hack」と「DejaVu Sans Mono」を、それ以外の文字にはゴシック体の日本語フォント「M+ OUTLINE FONTS」を丸ゴシック化した「自家製 Rounded M+ (ラウンデッド エムプラス)」などを利用して合成したフォントです。
≫Cica
M PLUS 1 Code

M PLUS 1 Codeは、全角幅の日本語グリフ(M PLUS 1)と半角幅の英数字(M PLUS Code Latin 50)を組み合わせた等幅フォント。ThinからBold までの 7 つのウェイトを備え、小さな表示でも読みやすく、似ている文字が誤認されることのないデザインを心がけて作られたと説明されています。
SOROEMONO

JetBrainsが手がけた開発者向け欧文フォント「JetBrains Mono」と、モリサワの日本語ユニバーサルデザインフォント「BIZ UDゴシック」を組み合わせ、文字幅をJetBrains Monoに対してBIZ UDGothicが2倍になるように調整され等幅フォントです。
Firge

Firge(ファージ)は、テレフォニカとMozilla Corporationによって共同で開発されたFirefox OSプロジェクトの一環として委託開発された「Fira Mono」フォントと、アドビの日本語フォント「源ノ角ゴシック」を基にした「源真ゴシック」を合成したプログラミングフォントです。
Juisee

Juiseeは、プログラミング言語「Julia」のカンファレンスで発表された科学や技術用途向けフォント「JuliaMono」と、LINEの利便性とフレンドリーなアイデンティティをもとにLINEが開発したLINE Seed JPを合成したフォントです。
Guguru Sans Code

Guguru Sans Code は、Googleが作成した開発者向けフォント「Google Sans Code」とIBMが開発した日本語フォントの「IBM Plex Sans JP」を合成したプログラミング向けフォントです。
プログラミング向けフォントを作り続ける「たわら」氏
ここで紹介したフォントのなかで「源ノ角ゴシック Code JP」「Cica」「M PLUS 1 Code」「SOROEMONO」以外のフォントはすべてプログラミングフォント制作者の「たわら」氏が制作したものです。
たわら氏は現在も精力的に新しいプログラミング向けのフォントを作り続けています。なぜ、たわら氏はプログラミング向けのフォントを作り続けるのかについては、2024年6月に公開された下記の記事で紹介されています。
今後も優れたプログラミング向けフォントが登場することを期待したいところです。
