データセンターが武力紛争時の攻撃目標になる時代。中東の武力紛争で両陣営ともにデータセンターを狙った攻撃を実行
日本時間3月1日に行われた米国とイスラエルによるイランへの攻撃開始から約2週間が経過した中東における武力紛争は、データセンターが明確な攻撃目標としてクローズアップされた歴史上初めての武力紛争になりました。
この紛争における両陣営のデータセンター攻撃について、主な出来事を時系列で整理しました。
イランがドローンでAWSデータセンターを攻撃
今回の武力紛争で最初にデータセンターが攻撃を受けたと報告されたのは、Amazon Web Services(AWS)のUAEリージョンとバーレーンリージョンでした。
日本時間3月3日、UAEリージョンでは2つのデータセンター施設が直接攻撃を受け、バーレーンリージョンでは施設の近くでのドローン攻撃がインフラに物理的な影響を与えたと報告されています。

参考:AWS、中東でデータセンター施設がドローンの直接攻撃を受けたことを公表。3つのアベイラビリティゾーンのうち2つが著しく損傷 - Publickey
当初、これがAWSのデータセンターを意図的に狙ったものかどうかは不明でした。しかしイランの国営メディアFarsnewsによると、イスラム革命防衛隊によるドローン攻撃の標的であったとの報道がありました。
参考:米AWSの中東リージョン、「革命防衛隊によるドローン攻撃の標的」とイラン国営メディア - ITmedia NEWS
報道によると、この攻撃はこれらのデータセンターが「軍事・諜報活動を支援していたことを明らかにするためだった」とされています。データセンターに軍事的な役割の疑いがあったために狙われた、ということになります。
イスラエルとイランがテヘランのデータセンターを爆撃
3月12日、今度はイスラエルと米国がイランの首都テヘランにある少なくとも2つのデータセンターを爆撃しました。
参考:【データセンターカフェ】イスラエルと米国、テヘランのデータセンターを爆撃~イランのAWSドローン攻撃を受けて - クラウド Watch
そのうちの1つはイラン軍とイラン革命防衛隊への給与の支払いを担当していたセパ銀行だったとエルサレムポストが伝えています。敵組織の弱体化を意図してデータセンターへ攻撃したと見られます。
参考:Iran's Bank Sepah's data center hit in strike on Tehran | The Jerusalem Post
米国のハイテク企業が攻撃対象に
そして日本時間3月13日に事態はエスカレートし、イランの革命防衛隊が米国のハイテク企業7社を名指しして攻撃目標にすると発表したことが報道されました。7社とはAmazon、Google、マイクロソフト、IBM、Nvidia、オラクル、Palantirだとされています。
参考:イラン、クラウドも軍事目標に 米軍基地・エネから拡大 テック7社を名指し 湾岸諸国のデータ拠点に被害 - 日本経済新聞
参考:Iran declares US-Israeli economic, banking interests in region are targets | US-Israel war on Iran News | Al Jazeera
中東は豊富なエネルギー供給力や広い土地があり、さらに中東諸国のオイルマネーがテクノロジー産業へ積極的に投資されていることなどから、テクノロジー企業の拠点やデータセンターが急増している地域です。
Microsoft Azureはイスラエル、カタール、UAEにそれぞれ複数のデータセンターからなるリージョンを設置しており、Google Cloudもサウジアラビアとカタールにリージョンを設置しています。しかもそれらのほとんどはペルシャ湾岸沿いに位置します。
武力紛争が長引くにつれて、これらの拠点やデータセンターへと攻撃が拡大していく可能性があります。
イスラエルは攻撃に備えた地下データセンターを構築済み
このように今回の武力紛争では、両陣営共にデータセンターが明確な攻撃目標となりました。特にAWSのようなハイパースケーラーのデータセンターが大規模な国家間の紛争に巻き込まれ、攻撃を受けたことは初めての事態と思われます。
クラウドやデータセンターは現代の社会を支えるインフラとしてだけでなく、軍事的な作戦行動を支援する施設の一部であることが広く知られるようになりました。それゆえに、データセンターが武力紛争時の攻撃目標に含まれる時代になってきた、と言えるでしょう。
ちなみにイスラエルではこうした事態を見越して、ミサイルなどの攻撃からデータセンターを守る高度なセキュリティを実現した地下データセンターを、オラクルが2021年に構築しています。
参考:オラクル、イスラエルに地下データセンターを構築と発表。ミサイルなどの攻撃から守るため - Publickey
今後も武力紛争が絶えない地域では、こうした攻撃に備えるデータセンターが作られていくのかもしれません。
