VRやチャットボット、ITヘルスケアベンチャーで福祉にイノベーションを。福祉×IT「福祉Tech」― AIIT起業塾 #12 ―[PR]

2019年6月3日

2019年1月20日(日)に産業技術大学院大学秋葉原サテライトキャンパスにて「AIIT起業塾 #12」が開催されました。今回は福祉×IT「福祉Tech」をテーマとし、福祉の現場でITを活用しながらイノベーションに取り組む先駆者3名の登壇者を中心に、約30名の参加者が熱い議論を交わしました。

ドローンを活用したリアルタイムバーチャル観光サービス

まず初めに「リアルタイムバーチャル観光が切り開く心のヘルスケア」と題し、株式会社シアン 代表取締役の岩井 隆浩氏が登壇しました。岩井氏は、NPO法人ロボットビジネス支援機構でアドバイザーも勤めています。生まれは愛知県名古屋市。実家が工場を経営していたことから、学生時代からものづくりには興味を持っていたとのこと。

その後、海上自衛隊に入隊し、14年間 航空整備士として救難ヘリコプターのメンテナンス、オーバーホールなどの任務に従事。その期間にメンタルヘルスに対して興味を持ち、カウンセラー資格を取得し除隊、スポーツ事業ベンチャー、建設ベンチャーでの店舗開発や製品開発、スーパーゼネコンとの床仕上げロボット開発提案等、数多くのプロジェクトへ参加し、1年前2018年1月より現職です。

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株式会社シアンが提供する「空力車」は、ドローンを活用したリアルタイムバーチャル観光サービスで、既に全国展開しています。この「空力車」は、身体が不自由であったり、外に出ることが困難な方々に向けて、最新の映像伝送技術を用いてリアルタイムでバーチャル観光を楽しんでもらうものです。

岩井氏はヘルスケアに特化した「空力車」が産まれた背景から、ドローンなどの最新技術をヘルスケア分野に応用していく際に感じている、思いや難しさを事例などを踏まえながら解説しました。

当初、ドローンを活用したリアルタイムバーチャル観光サービスとしてスタートしましたが、それが現在の方向性に定まったのは、あるご高齢者患者さんとの出会いであったと、岩井氏は言います。脳梗塞で倒れられてから、ベッドから降りることも屋外に出ることも叶わないご高齢の患者さんとご家族の、外に出たいという要望を叶えるべく、最新のVR技術を取り込んだのです。

空力車が一般的なVRと違うのは、リアルタイム性。屋外の風景や、たまたま通りかかった通行者からのメッセージもリアルに受け取ることが出来るようになっています。岩井氏は、この「空力車」が提供しているのは「心のヘルスケア」なのだと説明しています。

続いて、ALSの患者さんに鎌倉を案内するイベントの開催事例について動画を使いながら説明がありました。このイベントは実証試験として約50名のサポートスタッフによって行われたもので、事前調査をしたところ現場ではいろいろな話が出たとのこと。

というのも、患者さんが現地に行くことは出来るがバリアフリーになっていない場所も多く、現地での行動が満足にできないこともあります。そのため、現地に行かずにご自宅で見ている方にもデータを配信できて、しかもただ映像を見ているだけでなく、交流も楽しめる「空力車」のサービスで解決出来ることは多いと。実際、何気ないことにリアルさを感じることもあるようだということが分かったと岩井氏。例えば、神社でお賽銭を投げるといった何気ない映像も、とても楽しんでいただける体験なのだと言います。

一方、VR映像を見る際に使うVR端末はすばらしい機能を持っていますが、時にはモニターで映像を見るほうが喜んでいただけることもあると言います。VRでは周囲に居るリアルな人々とのコミュニケーションが取りづらいこともあるためです。また、難病の患者さんはVR端末だと酔ってしまう可能性もありますし、そのことを人に伝えられないことも気をつけなければなりません。そこで、ここで使うAR端末は、敢えて全方向で表示できるようにはしていないとのことです。

最新鋭のIT技術が相手に喜ばれるとは限らないし、そのサービスを誰に提供するのかを考えてサービスデザインすることが重要、すなわち何のテクノロジーを使うかということでなく、何のために使うのかが重要だとのこと。今後については、「空力車」のサービスを使って患者さんのQuality of Lifeをもっと向上させてあげたい、彼ら彼女らの生きがいの創出になれば嬉しい、と岩井氏は締めくくりました。

LINE ChatBotを通じて手助けを必要とする人の状況を把握

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続いて、一般社団法人PLAYERS 代表理事、&HAND(アンドハンド)プロジェクト UI/UXデザイナー、サービス介助士、ガイドヘルパーと、多くの肩書きを持つ池之上 智子氏が登壇しました。池之上氏はUI/UXデザイナーとして、国内メーカー、外資系メーカー、スタートアップなどの幅広いデザインワークに従事し、プロジェクト立ち上げ初期からの参画による顧客価値の創造・提案なども多く手がけており、現在は株式会社BIOTOPEに勤めています。彼女が選んだテーマは、『共感と共創でつくる「やさしさから やさしさが生まれる社会」の実現』です。

&HAND(アンドハンド)は、LINEなどを活用し、身体・精神的な不安や困難を抱えた人と、手助けをしたい人をマッチングし、具体的な行動をサポートするサービス。手助けを必要とする人は &HANDのデバイス を携帯し、必要な状況でONにすると周囲のサポーター(手助けをしたい人)のLINEにメッセージが届く仕組みです。サポーターはLINE ChatBotを通じて手助けを必要とする人の状況を把握でき、具体的な行動を起こすことができます。

&HANDを開発している「PLAYERS」は、メンバーそれぞれが本業を持った多様なプロフェッショナルからなるコ・クリエーションチーム。「一緒になってワクワクし 世の中の問題に立ち向かう」をスローガンに掲げて活動するプロボノチームです。&HANDのビジョンや PLAYERS の活動に共感した企業や団体などによる&HANDプロジェクトの活動を通じて、東京オリンピック・パラリンピックイヤーである2020年までに、&HANDの社会実装、インフラ化を目指しています。

そもそもこのサービスは当初、異業種チームを中心に幾度ものワークショップを重ねて、かたちになってきたものだと池之上氏は言います。

現在、&HANDプロジェクトのリーダーを務めるタキザワケイタ氏の専門は、ワークショップデザイナー。彼のファシリテートを通じて、集まったメンバーそれぞれが自分は何を実現したいのかを基軸に発想し、まとめ上げたことが出発点でした。タキザワ氏は、自身の妻の妊娠時の経験をもとに、電車で立っているのがつらい妊婦と、周囲の手助けしたい人をマッチングする「スマート・マタニティマーク」を考案。その発想を膨らませながら、実際の妊婦さんの意見を聞いたり、UI/UXの第一人者である千葉工業大学の安藤昌也教授からアドバイスを受けるなどしてプロトタイプを開発。実証実験を繰り返し行いながらサービスを創り上げてきました。このサービスは、Googleが開催した「Android Experiments OBJECT」でグランプリを受賞しています。

その後、池之上氏が聴覚障害者の友人との街歩きの経験を元にLINEを活用したサービスへと進化させ、対象者を障害者や外国人旅行者などへも広げ、現在の&HAND(アンドハンド)へと展開されています。このサービスもまた、LINEの「LINE BOT AWARDS」でグランプリを受賞。

今もPLAYERSは&HANDを通じて多くの試みを続けています。その中の一つに、視覚障害者が一人でも安心して外出でき、より自分らしくより豊かな生活を送っていただくことを目指すサービス「VIBLO by &HAND」があります。2018年11月に発表したばかりの、点字ブロックをテクノロジーでアップデートさせる試みです。

視覚障害者の多くは、一人での外出、特に初めての場所や遠出に不安や困難を抱えており、外出を諦めてしまうことも少なくありません。日本で生まれ国際規格となっている黄色い点字ブロックも、視覚障害者の移動を支援するインフラとして社会実装されているものの、視覚障害者からは「点字ブロックだけでは目的地に辿り着けない」「警告ブロックが意味する内容が分からない」「自転車などで点字ブロックが遮られている」といった声もあがっています。そこで、発信機を内蔵した「VIBLO BLOCK」、スマートスピーカー「Clova」、「LINEアプリ」、オープンイヤーヘッドセット「Xperia Ear Duo」など既存のITツールを活用しながら、視覚障害者の移動を「声」でサポートする仕組みを提供しているのです。

&HANDは、革命的で難しい技術は使っておらず、誰に提供するサービスなのかを考え、観察とヒアリングを大事にしながらデザインしていると、池之上氏は言います。

ITヘルスケアベンチャーの作り方

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当日最後の登壇は、株式会社Moff 代表取締役の高萩昭範氏による『ITヘルスケアベンチャーの作り方』でした。高萩氏は、経営コンサルティング会社A.T.カーニー、メルセデス・ベンツ日本のプロダクトマネージャーなどを経て、株式会社Moffを共同創業しました。会社のミッションは「家族を元気にする」こと。「子供からお年寄りまでが、より明るく健康的な生活を送ることに貢献する」をモットーに、自社製ウェアラブル端末「Moff Band」を開発。3次元での動作認識と運動・認知能力評価をベースとした、教育・健康・ヘルスケアのためのアプリ・コンテンツ配信・データ分析基盤を提供するIoTスタートアップ企業です。

「Moff Band」は2014年に発表され、米国のクラウドファンディングKickstarterにて目標を2日で達成した実績があります。米国CESのセッションでも2年連続パネル登壇し、2017年には「Moff Band」を活用した高齢者向けのIoTリハビリ「モフトレ」や、リハビリを見える化する「モフ測」といったサービスを提供開始、多数の介護施設で導入されています。週刊AERAでは「日本を突破する100人」にも選出されています。

高萩氏は、ビジネスを考えたり、実際に起業するならば健康・ヘルスケアは重要なテーマだとしながらも、難しいところも多いと言います。

理由は2つ。アップルが次のフェーズは健康についてのビジネスが重要だと言ってように、少なくともこれから数年、ヘルスケア市場は極めて大きな成長を続けていくだろうと予測されていること。もう1つは、社会的意義があることです。

重要なことは、いかに収益をあげながらビジネスを継続できるようにするのか、ということです。作ったものが使われるものなのかどうか、ビジネスとして成り立つのかどうか。ヘルスケア分野であるがゆえに実証実験が必要ですが、その途中で資金が足りなくなって萎んでしまう例も多いようだと高萩氏は指摘します。

そこで高萩氏は、考えておくべき事業化のポイントとして、次の7つを挙げています。

1)動くプロトタイプを早く作り、顧客の受容性を早く確かめること。
ヘルスケアの分野では、とにかくスピードが重用視され、その上お客様からの反応を随時把握しなければならない。そのためには、目に見えるものを早く作る必要がある。製品化に時間がかかるようであれば、紙ベースでも良いので、お客さまに一刻も早く見せて、相手の反応を確かめることが大切である。

2)ハッカソン後にもし何かやりたいなら、直後に何らかの目標を置いたほうが良い。
ハッカソンなどでやりたいビジネスのアイデアが固まったら、そこでだらだらやってしまうのではなく、参加したい展示会やプレゼンコンテストを積極的に見つけ、それまでに何をやらないといけないのか、逆算でスケジュール切って片付けていく。こういう方法をとれば、自然とスピードアップができる。

3)チームには、エンジニア・デザイナー・ビジネス担当がいたほうが良い。
一言で言えば、チーム内のバランスが重要ということ。そもそもエンジニアが居ないとものが作れないし、デザイナーが居ないとユーザーエクスペリエンスを正しく把握できないし、ビジネスに長けた人が居ないと上手くビジネスとしてまとめられない。優秀なエンジニアばっかり集めても偏りができ、成功するビジネスにはなりづらい。

4)誰かが、100%コミットメントすることが重要。
全員が副業でやっているビジネスは、サイドビジネスで終わってしまうことが多い。ベンチャーとして立ち上げて上手くスタートアップするには、誰かが100%コミットし、「これに懸けるので仕事やめます」とか「僕はこれにお金を全部注ぎ込みます」とか、そういった痛みを伴うようなことがなければ絶対に上手く立ち上がらない。スタートアップやっていると辛いことも多いし、やらないといけないことが山ほど出てくるため「絶対これはやりきる」という強い意志を持った人がチームに少なくとも一人はいないと成功は難しい。

5)収益モデルは考えておくこと。
ビジネスを継続させるためには収益モデルは不可欠である。そして、できれば早いうちから収益の上げ方を考えて進めていくべき。例えば、既存ビジネスのお金の流れを正しく把握し、それをどのように変えていくのかという視点から考えてみると整理しやすく、まとまりやすい。

6)起業する場合は、誰かと一緒に起業すること。
これには2つ意味がある。1つは、一人でやっているといろいろ乗り切らないといけないことが多く、よほど意志の強い人でなければくじけてしまうため。もう1つは外部からの視点。例えば投資家の視点では、一人でやっているビジネスは自分よがりで誰からも賛同を得られていないのではないかと受け止められ、評価を得られにくいことがある。共同ではじめる場合は、自分だけの考えではなく他にも賛同を得ていて、巻き込みができ、協力してもらっているのだという証明になる。

7)事業化にあたっては、顧客獲得コスト(CPA)、顧客生涯価値(LTV)などを把握すること。
これは起業時というよりも事業を運営していく上で、いろいろ見える化、数値化していかないといけないということ。どうすればお客さまの価値を高められるのかといったことは常に考えていなければならない。

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また、2017年サンフランシスコでのAGING 2.0主催のスタートアップ向け勉強会においても、以下のポイントについても説明があったとのことです(AGING 2.0とは、2012年にサンフランシスコに創設された「テクノロジーで高齢化社会の課題を解決しビジネス化する」ためのプラットフォーム)。

1)一緒に作る。(企画するときから一緒に作るべきである)
2)利用者の喜びを意識する。
3)何度も繰り返す。
4)関係者が多岐に渡ることを意識する。
5)業務を意識する。
6)実証実験地獄を避けよう。(重要だが時間を食うし、お金にならない)
7)技術と人的やさしさ。
8)エビデンスをマーケティングに。
9)ユニークであること。

Moffのビジネスは、大阪で開催されたハッカソンイベントがきっかけでした。初めて会う仲間と2日間かけてビジネスのアイデアを作り上げ、そこで入賞したご褒美に、シリコンバレーでピッチをする機会を得ることができたとのこと。特にシリコンバレーでの投資家のフィードバックやアドバイスは励みになり、多くのことを学べたそうです。同じハードウェアでもアプリを変えるだけで応用が利くなどの評価も受け、日本に帰ってきてから集まって再始動するようになったとのこと。このころはスタートアップする意識はあまり無かったものの、リーンスタートアップの手法で課題解決を試みていったとのことです。

資金を得るためには、クラウドファンディングを活用したとのこと。当時は今ほどクラウドファンディングがメジャーではなかったこともあり、米国のKickstarterを使ったところ運よく2日間で目標を達成でき、米国での認知度も上げることができたと。その後、バンダイナムコ・エンターテインメントや三菱総合研究所などとコラボできるようになり、現在のMoffのビジネスに関係する各地の大学病院どと実証実験が出来るようになってきました。

ヘルスケアビジネスにおいては、どこと実証実験を行ったか、どこから監修をいただけるのかというところが重要なポイントとなります。Moffの場合は奈良県立医科大学・総合東京病院などと産学連携することができたとのこと。パートナーにも非常に恵まれ、結局1年半実証実験を行うこととなりました。そういう経験から、ヘルスケアのビジネスを立ち上げるのであれば、この1年半に耐えられる体力や資金力を持つことが重要と感じていると高萩氏は振り返っていました。

最後に、今後のMoffビジネスについて説明がありました。介護ビジネスは大きく2つ、介護そのものと、介護予防があります。Moffは、モフトレやモフ測といったサービスを提供しながら、後者を中心にビジネス展開を進めていきたいとのことでした。

パネルディスカッション

その後、産業技術大学院大学 特任教授の亀井省吾氏をコーディネータに、3名の登壇者がパネラーとなり、会場からの質問に対して回答を行いました。主な質問と回答は、以下のとおりです。

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岩井氏へは、ビジネスをスケールさせるにはどのような方向性が考えられるのかという質問がありました。岩井氏は、プラットフォーム型のビジネスが面白いだろうし、今後伸びると考えているとし。だれでもいつでも見られるというのが理想と考えている、と回答されました。

池乃上氏には、プロジェクトチームとしてまとまって継続できる最大の要因は何かという質問がありました。池乃上氏は、それぞれ個人のモチベーションとチームのスピード感が合っていることが大切で、自分にとっての興味ややりたいことが満たされるかどうかというところは大きい、と回答されました。

高萩氏には、ヘルスケアビジネスを進めていく上で、日本の法則上の規制や壁はあるのか、という質問がありました。これに対して高萩氏は、ヘルスケア分野では法律や規制の影響は大きく、例えばアメリカでビジネスを行う場合と日本で行う場合について考えると、アメリカの場合は自己責任の社会だから民間保険での話が多いが、日本はその逆で、医療保険も介護保険も公的にカバーされているので、自分でそのためにお金を払うと言う意識は低いように感じると。その前提でいかにビジネスを組み立てていくのか、ということはポイントになるとし、それがあるから上手く行くビジネスもあり、反対にそれらを考えないと上手く伸びない領域もある、と回答されました。

岩井氏へは、提供サービスの価格の決め方について、質問がありました。すなわち、安い料金体系ではビジネスとして続けていくのが難しいし、逆に高いと利用者の負担も増大して客数が増えないとすると、どのあたりが望ましいのだろうかと。

岩井氏は、一番悩ましいところだが、現在の結論は、患者さんからダイレクトに料金をいただくのではなく、施設でまとめていただくよういているようにし、最低何名以上でまとめられた上でサービスを提供すると返答。低料金とするために運用の仕方で苦労されているようでした。また、高萩氏からは、NPO的な動きにはスタートしやすいし活動が綺麗に見えるが、会社や組織自体がもたなくなって結局だれもハッピーにならないということに気づいて、料金をご負担いただくようになった、という返答がされました。

続いて、社会価値の創出に加えて経済価値を創出するには何が一番重要か、という質問に対し、高萩氏からは、自分たちがサービス提供する際には新たな料金を発生させるのではなく、既に世の中に流れているお金を自分たちの方へ持ってくるにはどうするか、この考え方が重要だとの回答がありました。

「例えばMoffの場合には、介護施設向けのリハビリテーションや機能訓練が出来るサービスを提供しているが、その時に、利用者を健康にしますという謳い文句だけでは、利用者はお金は払ってくれない。なぜならば、そのためにお金を払うと言う意識やインセンティブが働か無いからだ。今あるお金の流れと、それに見合った投資価値があるというような内容を上手く伝えられれば、月に数万円の利用料金でも複数年契約が結べるようになる。我々のサービスを利用いただくことで、介護施設の稼働率が上がったり、新しいサービスを提供出来たりする、というように彼らの価値に置き換えて説明をしている。そのように伝われば、介護施設の経営者にとっては投資対効果の話になるので、判り易くなる。加えて、人で不足の現状を絡めて伝えるようにしている。」(高萩氏)

最後に亀井氏より、「登壇者に共通しているのは、ITを手段として何を実現するのかが明確である点だ。哲学者ハイデッガーは『人間の存在は道具で定義できる』としたが、現在の起業においても、ITテクノロジーという道具で、どのような価値を実現するのかが大きく問われていることを感じた起業塾であった」との総括コメントがあり、今回の起業塾は締めくくられました。

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AIIT起業塾について

産業技術大学院大学が主催する「AIIT起業塾」は、広く一般の方々が参加できるオープンな勉強会です。IT・デザイン・マネジメントなどを活用し、様々な産業分野で新しい事業構築や問題解決をしている先駆者達が登壇し、講演します。また、自由なディスカッションする機会も設けられています。 Twitterの ハッシュタグ「#aiit_startup」では新しい情報だけでなく随時質問や要望を受け付けています。今後も引き続き開催予定ですので、ぜひご参加ください。

また、この「AIIT起業塾」は、文部科学省 平成26-28年度「高度人材養成のための社会人学び直し大学院プログラム」に採択された産業技術大学院大学「次世代成長産業分野での事業開発・事業改革のための高度人材養成プログラム」継続関連イベントの一環として開催されました。

尚、産業技術大学院大学では、令和元年6月22日(土曜日)13時からStartup Hub Tokyo(千代田区丸の内)にて「起業」をテーマに講演会を開催します。起業に関心のある方(年齢、職業、性別は問いません)は是非お越し下さい。
※詳細については、大学ホームページをご覧ください。

(執筆:城 裕昭=産業技術大学院大学 認定登録講師)

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Junichi Niino(jniino)
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