「ファッションとテクノロジーの融合によるサービスの革新」“ファッションテック” ― AIIT起業塾#6 ―[PR]

2017年4月14日

2016年7月31日(日)、産業技術大学院大学主催による「AIIT起業塾 #6」が産業技術大学院大学秋葉原サテライトキャンパスにて開催されました。6回目となる今回は、「ファッションテック」をテーマに、それに携わる3名の登壇者を中心に、40名以上の参加者が熱い議論を交わしました。

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BOOSTERが拓くファッションの未来

株式会社パルコにてBOOSTERプロデューサーを務める佐藤貞行氏には、ファッションにおけるインキュベート・クラウドファウンディングについて講演していただきました。佐藤氏が勤務している株式会社パルコは、「インキュベーション(=新しい才能の発見と応援)」をテーマに、様々な資源を活用してプロジェクトの実現をサポートし、サポーターと一緒にクリエイティブな挑戦を世の中に送り出しています。

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具体的には新しいテナントのトライアル出店や、新業態のショップ開発をサポートする「テナントインキュベーション」、デザイナーの事業成長を応援するマイクロファンドを立ち上げたり、各国のファッション機構と連携したファッションショーを企画したりする「デザイナーインキュベーション」、女子クリエイターに発表の場として各PARCO店舗を提供する「クリエイターインキュベーション」といった事業を行っています。

このようなPARCOの事業の中で、現在佐藤氏が取り組んでいるのが、BOOSTERとよばれるクラウドファウンディング事業です。BOOSTERの特徴は「リアル店舗を自前で持つ」クラウドファウンディングであり、ユーザは商品を五感で感じることができ、応援したプロジェクトの晴れ姿を体験することができます。また、事業者はリアル店舗であるPARCOで商品展示やポップアップショップなどの販売促進を行い、さらにプロジェクト成立後にPARCO店舗で販売機会を持つチャンスが得られます。これにはPARCO全店のSNSフォロワーおよび来館客へのリーチができるといったメリットがあります。

このような事業を通じて、佐藤氏は「多くの想いやチャレンジが実を結び、イノベーションが沸き起こる世の中を多くの人々と一緒に創り、その現場に参加し続けていきたい」と語られました。

今後の展望として、より個人レベルでの商品提供が可能となるよう、「インキュベーション」を基軸として、金融×商業×ICTを融合した新しいサービスの提供が検討されています。具体的には、購買型クラウドファウンディングであるBOOSTER事業をベースにPARCOにて短期の販路提供を行い、その経験をもとに専門店とのオリジナル商品開発をクラウドファウンディングで行うという、中長期における商品展開を行えるようなサポートサービスです。個人のクリエイティブな挑戦が世の中を面白く変えていく未来を実現したいと述べ、佐藤氏の講演は締めくくられました。

新たなスニーカーブランドを創出するプラットフォーム

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上森久之氏は、米国の靴メーカー・ROOY,Inc.の日本代表を務められています。ROOYは、クラウドソーシングを活用し、「シューズデザイナーのインキュベーション」をコンセプトに企画・製造・販売までを行っており、2月には日本支店を開設しています。

Tシャツなどのアパレルではこれまでにも同様の形態のメーカーが存在していましたが、革やゴムなど様々なパーツが必要な靴ではこうしたメーカーはありませんでした。そこでROOYでは、通常3万ロットは必要なところを最小1000ロットで作成し、デザインを採用した靴の売上に応じてデザイナーに利益を還元するといった事業を行っています。

ROOYでは「デザイン」「作る」「売る」という3つの工程を持つプラットフォームを作成しています。これまでスニーカーデザイナーは、製造コストや広告、また販売経路を確保するといった課題を抱えていたのに加え、一般消費者と直接コンタクトを取ることが困難でした。ROOYはそうした課題を引き受け、さらに世界各国のグローバルな市場で販売を展開します。

具体的には、デザインはデザイナーから一般公募する「デザインチャレンジ」、また有名デザイナーと共同で開発する「コラボチャレンジ」で集め、現在120カ国・1200人の靴デザイナーと協力しています。生産ではデザイナーと直接コンタクトを取って靴を製作しており、通常デザインからプロトタイプ作成まで1ヶ月程度かかるところを2週間程度で作成し、すぐに市場に提供できるようにしています。

さらに大手スニーカーブランドと同じ工場をネットワーク化し、生産を行うことで、世界最高水準の品質を維持しています。マーケティングではROOYは靴のブランドではなく、デザイナーの靴のアイデアを具現化するカルチャーを提供しているショップとのスタンスで、世界各地のユーザデータを分析し、現在のトレンドをいち早くデザイナーに提供しています。また大手メーカーで開発してきたバイヤーが、靴のブランディングコンサルタントなどを行っています。

このようなプラットフォームをベースに、「世界120カ国のスニーカーデザインからデザインを集め、製造・販売をする世界唯一のスニーカーショップ」であることをコンセプトに事業を展開していきたい、と熱く語られました。

ファッションの今、ファッションその先へ

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株式会社集英社ブランド事業部 メディアプロデュースセクション SPUR.JPウェブプロデューサーである長岡夏未氏からは、出版社のデジタル状況とファッションのデジタルビジネス状況について解説していただきました。

集英社のブランド事業は、集英社のコンテンツ力にテクノロジーを加えて新しいビジネスを創出する部署として発足しました。このブランド事業部において、モード界をリードする雑誌として創刊されたのが「SPUR」です。

ウェブサイト「SPUR.JP」では「ファッションの今、ファッションのその先へ」というテーマで、Instagramを活用したコンテンツ展開を行い、ラグジュアリーブランドとの連携を実現させています。また読者との接点を従来の雑誌提供による月間から、ソーシャルメディアを利用して共感と共有を実現する瞬間的なものへ変化させようとしています。

このようなファッション誌のデジタルビジネスに取り組まれている経験から、ファッション業界のデジタル状況についても解説していただきました。まず注目すべきは、ファッションショーの会場にインフルエンサーが多数招待され、発表直後に商品予約や購入が可能になったという点です。またファッションブランドは自社運営のデジタルチャネルを利用し、ブランディング効果が高い動画広告や拡張性がある広告表現を行ったり、ユーザデータを活用したりすることで商品開発のスピードとクオリティを向上させています。さらに、インフルエンサーなどのSNSのフォロワー数を利用することで、商品のリーチと拡散力を向上させることに力を入れています。

一方ファッション誌は、各誌のウェブサイトがリニューアルされ、既存の広告収入などのビジネスの改善および最大化と、ユーザデータやコンテンツ資産を活かした新規ビジネスが開発されています。

このような背景のもと、集英社では、雑誌ブランドだけに頼らない、女性誌以外のアセット(漫画、集英社の信頼性など)を掛け算したデジタルサービスを開発しています。またウェブプッシュ通知やLINEなどの新しいデジタルコミュニケーションで媒体の価値を向上させ、独自の効用測定や新たな収益方法を検討して、個人の嗜好に基づいたリコメンデーションやブランドへのフィードバックを行っています。これらの新しいメディアの運用とそこから得られる価値に注目していきたいと語られました。

ファッションテックの課題と今後を語るパネルディスカッション

パネルディスカッションでは、3名の登壇者がパネラーとなり、ファッションとITについての疑問や課題、展望など、様々な話題があがりました。ここでは、各パネラーそれぞれの立場からの意見が出た2つの議題を特に取り上げます。まず司会である産業技術大学院大学 特任准教授の亀井省吾氏から、今回のファッションテックはITによる効率化にとどまらず、新たな価値の創出につながるのではないか、との議題が提示されました。このテーマに対し、各パネラーからは次のような意見が述べられました。

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・ファッション業界においても効率化は重要であり、ロボット接客などを導入している店舗もあるが、ただ単に効率化を求めるのではなく、そこから新たな価値が創出されなければ意味がない。例えばEコマースにおいては、営業時間外で販売できるといったメリットに加えて、ショップスタッフがブログで情報提供し、それに共感して購入した客に商品を送付する際にスタッフが手紙を入れることで喜んでもらえたといった、人との共感軸を新たに作ることができたという例がある(PARCO・佐藤氏)。

・ITを導入することで各国の購買情報を瞬時に収集し、その結果をデザイナーにフィードバックすることで、生産スピードを向上させることができている(ROOY・上森氏)。

・ITの発展により個の情報発信が可能になり、ユーザにとってはニュースメディアよりも、人発信のほうが共感が得られやすい。例えば、ソーシャルメディアのタイムラインに流れている情報は評価されていることが多く、この情報はリーチにつながっている。ただこれを人手で行うのは限界があるため、そういった点をどこまでITでサポートできるかが重要であろう(集英社・長岡氏)。

次に参加者から、高齢化社会におけるファッション業界の取り組み、またファッションの役割についてどのように考えているか、との質問が出されました。各パネラーからは、それぞれの立場から次のような意見が述べられました。

・若年層だけの戦略を取ることはない。30代、40代で消費していた世代は50代、60代になっても購買力があるという傾向から、「ゲート」を考慮した販売戦略が重要であろう(佐藤氏)。

・スニーカーカルチャーは「楽しい」「軽い」といった点を特徴としており、アクティブシニアには興味を持ってもらえるだろう(上森氏)。

・Eコマースにおいては50代の利用が特に多い。このあたりの年齢層は雑誌に親しみがあるため、素直に情報を吸収し、商品とのエンゲージメント率が高い(長岡氏)。

このような議論が行われた後、亀井氏からパネラーの皆様に講演のお礼が述べられ、今回の起業塾は締めくくられました。

AIIT起業塾について

産業技術大学院大学が主催する「AIIT起業塾」は、広く一般の方々が参加できるオープンな勉強会です。IT・デザイン・マネジメントなどを活用し、様々な産業分野で新しい事業構築や問題解決をしている先駆者達が登壇し、講演します。また、自由なディスカッションする機会も設けられています。

Twitterの ハッシュタグ「#aiit_startup」では新しい情報だけでなく随時質問や要望を受け付けています。今後も引き続き開催予定ですので、ぜひご参加ください。

また、この「AIIT起業塾」は、文部科学省の「高度人材養成のための社会人学び直し大学院プログラム」に採択された産業技術大学院大学「次世代成長産業分野での事業開発・事業改革のための高度人材養成プログラム」の一環として開催されました。

(執筆:渡邊 紀文=産業技術大学院大学 情報アーキテクチャ専攻 助教)

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産業技術大学について

(本記事は産業技術大学院大学提供のタイアップ記事です)

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