[速報]VMworld 2010、IT as a Serviceのための新製品群、VMware vFabric発表(追記完了)

2010年9月1日

VMwareのイベントVMworld 2010が、8月31日(日本時間9月1日)からサンフランシスコで開催されています。VMwareは、仮想化のベンダからクラウドベンダへと進化しようとしており、今回のイベントでもそのための戦略と新製品が基調講演で明らかにされています。

前回の記事「[速報]VMworld 2010、クラウド時代の新たなスタックが登場し、OSは消えていく」では、基調講演で同社プレジデント&CEO ポール・マリッツ氏が、クラウド時代にはインフラストラクチャー、アプリケーションプラットフォーム、エンドユーザーアクセス、という3つの新しいソフトウェアスタックが登場していることを説明し、同社のクラウド戦略がこれに沿って展開されることが明らかになりました。

この戦略に沿ったVMwareの新製品群を説明するために、同社Chief Technology Officer Steve Herro氏がポール・マリッツ氏に代わり基調講演の舞台に立ちました。

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vSphere 4.1、より大きなスケールのインフラストラクチャ

インフラストラクチャー、アプリケーションプラットフォーム、エンドユーザーアクセスという3つの新しいスタックの、まずは新しいインフラストラクチャーから説明しよう。

VMwareはこのスタックにおいて今年、vSphere 4.1を発表した。vSphereはサーバやストレージ、ネットワークの集合体をリソースプールにするためのソフトウェアだ。

vSphere 4.1は、より大きなスケールのクラウドを実現する。

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さらにvMotionのスピードアップにより、より柔軟なリソース配分が可能になった。サーバ間で8つの同時マイグレーションを可能にし、クラスタ間では128同時マイグレーションを実現。前バージョンの4.0よりも5倍高速になっている。

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また、ポリシーベースのSLAにより、ネットワークI/Oのプライオリティを設定することができる。

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vStorage APIもある。例えば仮想マシンのクローンを作成する場合、通常はサーバがストレージを操作するためCPUサイクルを消費する。しかし、ストレージ側にvStorage APIを問い合わせることで、クローン作成の操作をストレージ側にオフロードにできる。

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新たな管理ツールIntegrien

こうしたvSphereによるリソースプールをマネジメントしていく必要がある。VMwareにはvCenterがある。そして、買収したIntegrienを紹介しよう(VMwareは8月31日付けでIntegrienの買収を発表)。

これがそのダッシュボードだ(画面のいちばん下の行にVMを表す点が101あり、その上の行にはVMware ESXハイパーバイザを示す6つの点、その上の行がクラスタを示す1つの点、それが2つのデータセンターに分かれており、64、53と書かれた2つの大きな丸はVirtual Centerを示している)。

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ドリルダウンしていき、いくつかのVMがイエローになっているのでそれをクリックする。

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すると、Oracle 10gが走っていて、CPU使用率が99%になっているなど、その状態が分かる。

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このようにIntegrienではさらに効果的なリソースプールのマネジメントができる。

vCloud DirectorによるIT as a Serviceの実現

さて、こうしたインフラストラクチャーをベースにIT as a Serviceを実現するには何が必要だろうか。サービスを利用したいユーザーに、それをデリバリする仕組み。

例えば、iPadの場合にはApp Storeから必要なアプリケーションが入手できるようになっており、これによってIT as a Serviceガ実現できている。

それを実現するのが、プロジェクトRedwood、正式名称がVMware Cloud Directorだ。今日から利用可能になる。

Cloud Directorは、プライベート、パブリックなデータセンターを統合してバーチャルなデータセンターとして管理できる。

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そして、利用可能なソフトウェアカタログを提供する。

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利用できるソフトウェアはロールベースのポリシーで管理できる。

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vShieldファミリによるセキュリティ

そしてセキュリティだ。いままでシステムのセキュリティは物理的な境界(バウンダリ)で守られていたが、仮想化されたインフラストラクチャーでは、論理的な境界によって守られるようになるべきだろう。

そうした仮想化された環境に適したセキュリティ製品のファミリーVMware vShieldを発表する。「vShield Edge」「vShield App」「vShield Endpoint」だ。

vShield Edgeは、ファイアウォール、IPsecによるVPN、NAT、DHCPなどを仮想化されたインフラストラクチャーの論理境界に沿って設定できる。

vShield Appは、ハイパーバイザレベルのファイアウォール。仮想マシン間の通信のモニタする。

vShield Endpointはアンチウィルスソリューション。これはパートナーと共に展開する。

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vCloud Datacenter Serivce

そして、プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせたハイブリッドな環境でも、セキュアな環境をどう実現するか。そこにフォーカスしたのがvCloud Datacenter Serviceだ。

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プライベートクラウドと同様にセキュアな環境を実現したパブリッククラウドに対するパートナーの認定制度である。

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VMware vFabricがクラウドアプリケーションプラットフォームに

新しいアプリケーションプラットフォームについて。アプリケーションはどこへ向かっているのか? これからは、使いやすく、協調的で、データリッチで、どこからでもアクセスでき、開発しやすく、すばやくデプロイでき、スケーラブルでなければならない。

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そのためのフレームワークがJavaのSpring Frameworkであり、プラットフォームサービスがインメモリデータベースのRedisや分散処理基盤のGemStoneである。これがクラウド時代のアプリケーションプラットフォームとなる。

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そして、このフレームワークとプラットフォームサービスから構成されるのがVMware vFabric Application Platformだ。

そしてvFabricはセールスフォース・ドットコムとのジョイントベンチャーであるvmforceや、グーグルのGoogle App Engineでも展開予定であり、クラウドポータビリティを実現する。

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さらに、マルチランゲージ対応としてJava、Ruby on Rails、PHPの開発にも対応する。

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ローカルモードを備えるVMware View 4.5

企業内コンシューマのクラウド経験を実現するのが、デスクトップ仮想化のためのソリューションVMware View 4.5だ。アプリケーションのセキュアで管理しやすい環境を実現する。

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View 4.5ではLocalモードが追加され、仮想デスクトップにオフラインのときでもアクセスできるようになった。飛行機の中でも仮想デスクトップのいつものアプリケーションが利用できる。

しかもView 4.5のデスクトップ仮想化によってWindows PCだけではなく、iPadやスマートフォンなどのさまざまなデバイスで、Windowsアプリケーション、業務アプリケーション、SaaSアプリケーションなどのさまざまなアプリケーションを利用することができる。

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SaaSアプリケーションも業務アプリケーションも、すべてのアプリケーションは、買収したTriCipherの技術によってログイン時のIDによってシングルサインオンが実現される(VMwareは、TriCipherの買収を8月31日付けで発表)。

また、iPadのようなデバイスごとの特性に合わせたユーザーインターフェイスをView 4.5では実現する。例えばこれはiPadのアプリケーション起動画面(仮想のWindowsデスクトップではなく、利用可能なアプリケーションのアイコンが並んでいる)。

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利用者はアプリケーションカタログの画面から、自分が利用可能なアプリケーションの一覧を見ることができる。

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このように、VMwareはIT as a Service実現のための新しいスタックについて、それぞれイノベーションを提供していく。

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