AIドリブンな開発、自律的なモノ、没入型体験など、2019年に注目すべき戦略的テクノロジートレンドのトップ10。ガートナー

2018年11月2日


米調査会社のガートナーは、2019年に企業や組織にとって戦略的な重要性を持つと考えられるテクノロジートレンドのトップ10「Gartner Identifies the Top 10 Strategic Technology Trends for 2019」を発表しました。

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「戦略的テクノロジートレンド」とは、テクノロジーが出現したばかりの状態を脱し、幅広く利用され、より大きなインパクトをもたらす状態に入り、大きな破壊的可能性を持つようになったトレンドや、今後5年間で重要な転換点に達する、変動性が高く、急成長しているトレンドを指すとガートナーでは説明しています。

上記の発表内容をダイジェストでまとめました。

2019年に注目すべき戦略的テクノロジートレンドのトップ10

Autonomous Things(自律的なモノ)

ロボット、ドローン、自律走行車などの「自律的なモノ」はAIを利用して自動化されます。それは固定的なプログラミングモデルによる自動化をはるかに上回る機能を提供し、周囲の環境や人とより自然にやりとりする高度な振る舞いを実現します。

ガートナーのフェローであるデイビッド・カーリー氏は、自律的なモノが増えると、単独型のインテリジェントなモノから、スワーム (群れ) として機能する協調型のモノへとシフトしていくことが予想されるとしています。

Augmented Analytics(拡張アナリティクス)

拡張アナリティクスは、データの準備、データの管理、モダンなアナリティクス、ビジネスプロセス管理、 プロセスマイニング、データサイエンスプラットフォームなどの主要機能として、急速にメインストリームになろうとしています。

例えば、人事、財務、営業、マーケティング、顧客サービス、購買、資産管理といった部門で、アナリストやデータサイエンティストだけでなく、あらゆる従業員の意思決定とアクションを、それぞれの状況に合わせて最適化できるようになります。

拡張アナリティクスがデータ準備、洞察の生成、洞察の可視化を自動化することによって、多くの状況においてデータ・サイエンティストの関与が不要になります。

AI-Driven Development(AIドリブンな開発)

「高度なAIを搭載した開発環境は、アプリケーションの機能面と非機能面の両方を自動化していきます。これによって、『市民アプリケーション開発者』の新時代がいずれ到来し、非専門ユーザーがAI主導のツールを使用して、新しいソリューションを自動的に開発できるようになるでしょう。」と、ガートナーのフェローであるデイビッド・カーリー氏。「非専門ユーザーでもコーディングを行わずにアプリケーションを開発できるツールは、これまでも存在していました。しかし、AI搭載システムが新たなレベルの柔軟性をもたらすとガートナーは予測しています」

Digital Twins(デジタルツイン)

デジタルツインとは、現実世界の実体やシステムをデジタルで表現したものを指します。ガートナーでは2020年までに、コネクテッドセンサとエンドポイントの数が200億を超え、数十億のモノに対するデジタルツインが存在するようになると予測しています。

企業や組織は、まず単純な形でデジタルツインを導入し、その後、適切なデータを収集および可視化する能力を向上させたり、適切なアナリティクスとルールを適用したり、ビジネス目標に効果的に対応させたりするなど、時間とともにデジタルツインの利用法を進化させていくでしょう。

Empowered Edge(エッジ機能の拡張)

人が使用するエンドポイントデバイスや、周辺環境に組み込まれたエンドポイントデバイスをエッジと呼びます。

近い将来、エッジ機能はIoTによって、また、集中管理型のクラウド・サーバではなくエンドポイントの近くで 処理を行うというニーズによっても強化されます。

今後5年間で、さまざまなエッジ・デバイスにおいて、処理能力、ストレージ、その他の高度な機能が強化されるとともに、専用のAIチップが搭載されるようになります。こうした組み込みIoT環境の異種混在性が極めて高くなり、産業システムなどの資産のライフサイクルが長期化することで、管理上の大きな課題が生じるでしょう。

Immersive Experience(イマーシブエクスペリエンス:没入型体験)

会話型プラットフォームによって、人がデジタル世界とやりとりする方法が変化しつつあると同時に、仮想現実 (VR)、拡張現実 (AR)、複合現実 (MR) によって、人がデジタル世界を知覚する方法も変化しています。こうして知覚とやりとりの両方のモデルが変化すると、没入型の体験、イマーシブなユーザーエクスペリエンスが実現します。

Blockchain(ブロックチェーン)

ガートナーのフェローであるデイビッド・カーリー氏は次のように述べています。「現在のブロックチェーンのテクノロジーとコンセプトは未成熟であり、十分に理解されていない上に、ミッションクリティカルかつ大規模なビジネスオペレーションでは実証されていません。これが特に顕著なのは、より高度なシナリオに対応する複雑な要素が絡む場合です。こうした課題があるとはいえ、ブロックチェーンは破壊的な変化もたらす可能性が高いため、今後数年以内に積極的に導入する意向がない企業であっても、CIOおよびITリーダーは評価を開始すべきです」

Smart Spaces(スマートスペース)

スマートスペースとは、人間と、テクノロジによって実現されるシステムがやりとりする物理環境またはデジタル環境を指します。人、プロセス、サービス、モノを含む複数の要素がスマートスペースで組み合わさり、対象とする人と 業界のシナリオ向けに、よりイマーシブかつインタラクティブな、自動化されたエクスペリエンスを創出します。

これは、スマートシティやデジタルワークプレース、スマートホームなどとして進展していくとのことです。

Digital Ethics and Privacy(デジタル倫理とプライバシー)

デジタル倫理とプライバシーは、個人、組織、政府機関にとって大きな懸念となっています。人々は、自らの個人情報が官民問わずさまざまな組織でどのように扱われるかについてますます関心を持つようになっています。こうした課題に積極的に対応しないままでいると、組織は手痛いしっぺ返しを受けることになるでしょう。

Quantum Computing(量子コンピューティング)

量子コンピューティングとは、従来とは異なるタイプのコンピューティング技術であり、量子ビット (キュービット) と呼ばれる素子で情報を表現するものです。並列実行と指数関数的な拡張性を可能にする量子コンピュータは、従来のアプローチでは複雑過ぎて解決できない問題や、従来のアルゴリズムでは解決に時間がかかり過ぎる問題の処理において、卓越した能力を発揮します。

自動車、金融、保険、製薬などの業界や、軍事分野、研究機関などは、量子コンピューティングの発展から大きな恩恵を受けます。

「今後2~3年以内に量子コンピューティングが革命を起こすといったハイプ (過剰な期待感)に振り回されてはなりません。ほとんどの企業および組織は、2022年末までは量子コンピューティングについて学び、その進展を注視すべきです。このテクノロジを活用すべき時期は、2023年または2025年以降になるでしょう」と、ガートナーのフェローであるデイビッド・カーリー氏は述べています。

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