Amazonはハイマージンをむさぼる既存の「偽装クラウド屋」とは違う。AWS re:Invent基調講演(Day1)

2012年11月29日

米Amazon Web Service(AWS)がラスベガスで開催中の「re:Invent」。初日の基調講演に立ったシニアバイスプレジデント Andy Jessy氏は、いかにAWSのビジネスモデルが既存のITベンダに対して破壊的であるのかを強調する場面がありました。

既存のITベンダとAWSのビジネスモデルが鮮明に異なっている点は非常に注目すべき点であると同時に、「偽装クラウド屋」に気をつけろ、という警告は、セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ氏とオラクルのラリーエリソン氏の「偽のクラウドに気をつけろ!」という論戦を思い起こさせます。

(この記事は「エンタープライズがクラウドへ移行する6つの理由。AWS re:Invent基調講演(Day1)」の続きです。

「偽装クラウド屋」に注意しろ!

AWSシニアバイスプレジデント Andy Jassy氏。

保守的なテクノロジーベンダはクラウドに対してこう言うのだ「クラウドに新しいところなんてないよ。ただの仮想化じゃないか」「そんなことはプライベートクラウドでもできる」とね。

そして、「プライベートクラウドでも同じことができます。ええ、うちでも売ってますよ」という。

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しかし「偽装クラウド屋」(Cloud Washers、上塗りクラウド屋)には注意すべきだ。

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プライベートクラウドでは、クラウドのメリットは得られない。高価な初期投資がかかり、運用コストもかかるし、キャパシティも制限がある。調達には時間がかかるし、コア事業にフォーカスできず、グローバル展開もできない。

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既存のベンダは高い利益率を得るビジネスモデルだ

なぜ、保守的なテクノロジーベンダはプライベートクラウドにこだわるのだろうか? その答えは経済性にある。彼らは何十年にもわたって高い利益を得てきた。それに対してクラウドは破壊的なのだ。

某ソフトウェア企業のCFO「私たちは高いマージン(利益率)のシステムにフォーカスしています」。

某ハードウェア企業のCFO「利益率の拡大が、成長に対する最大の貢献でした」。

某企業のCEO「…業界をリードする利益率…」

(新野注:スライドを見れば分かるように、それぞれオラクル、IBM、HPのロゴにとても似ている)

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ハイマージンビジネスは私たちのビジネスモデルではない。

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Amazonはあらゆるビジネスがハイボリューム、ローマージンであり、値段も、コスト構造も、イノベーションへの取り組みも違っているのだ。

AWS re:Inventレポート

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