Webブラウザ上で高速なグラフィックスレンダリングとGPGPUなどを可能にする「WebGPU」、Chromeに続いてFirefoxも正式対応
今週リリースされたFirefox 141で、Webブラウザ上でGPUプログラミングなどを可能にするWebGPUが正式な機能として組み込まれたことが発表されました。
WebGPUはグラフィックスもGPGPUも
WebGPUは、Web上でこれまで広く使われてた2次元や3次元の高速なグラフィックスの描画を行うWeb標準「WebGL」の後継となる仕様です。
WindowsのDirect 3D 12やmacOSのMetal、LinuxのVulkanのような、ローカルマシンに搭載されているGPUの能力を最大限に発揮できるように策定されています。
WebGPUはオーバーヘッドが小さく低レイヤで操作できるため、高速なグラフィクスレンダリングが可能になります。
すでにJavaScriptで2Dや3Dグラフィックスを高速に扱えるライブラリ「Babylon.js」「Three.js」「PlayCanvas」などがWebGPUに対応しています。
さらにWebGPUは最近のGPU APIともおおまかな互換性があるため、GPUを用いた汎用計算であるGPGPU演算にも対応しやすくなっています。
例えばDocker社はWebGPUを抽象化レイヤとすることで、コンテナ化されたGPUアプリケーションをポータブルにする技術を開発中であると発表しています(その後、音沙汰がないようですが……)。
参考:DockerがWebGPUを用いてGPUを抽象化、AI処理などGPUを使ったコンテナ化アプリのポータビリティを実現する技術を開発中。DockerCon 23
年内には主要なブラウザでWebGPU環境が揃う
Firefox 141でのWebGPU対応は現時点ではWindows版のみですが、今後数か月以内にMac版とLinux版でも対応を行い、その後にAndroid版でも対応する予定です。
すでにChromeでは2023年4月にWebGPU対応を行っています。
残るSafariも今年の秋にはWebGPUに対応する見通しとされていますので、年内には主要なモダンブラウザにおいてWebGPUが使える環境が揃うことが期待されます。