日本オラクル、日本国内在住者だけで構成されるクラウド運用支援組織を発足、日本でのソブリンクラウド導入加速へ
日本オラクルは、日本国内在住者だけで構成されるクラウド運用支援組織「ジャパン・オペレーション・センター」の開設を発表しました。
ジャパン・オペレーション・センターは「ソブリンクラウド」の導入加速やAI活用の推進などを目的とすると説明されています。
ソブリンクラウドとは一般に、その国の領土内に位置するデータセンターで構築され、その国の司法権の範囲内で運用されるとともにデータを安全に扱うための法律や規制に準拠することで、他国の干渉を受けず自国の主権のもとで確実にデータの保存や処理が行われる、いわゆるデータ主権を実現するクラウドのことを指します。
データ主権を確保することで政府機関や公共団体、主要な国内企業などが機密情報などを安全に扱えるのです。
そのためソブリンクラウドの構築や運用には、一般的にその国の在住者や国籍を持った人間が担当することが望ましいとされています。
例えばAWSは、米国政府向けに提供しているAWS GovCloudのルートアカウント保有者は、米国人の身分を証明する審査プロセスに合格し、米国国務省によって定義されたグリーンカード所有者または市民でなければならないとされています。
またAWSはEU域内でのソブリンクラウドの提供を行うために、専業企業「AWS European Sovereign Cloud」を欧州に本社を置く会社として設立しています。
日本オラクルが発表したジャパン・オペレーション・センターが日本国内在住の人材で構成されるのは、こうしたソブリンクラウドを提供するための体制を目的としているためです。
Oracle Alloyでソブリンクラウドを構築するSIerを支援
オラクルはOracle Cloudを構成しているハードウェアやソフトウェア、サービスなどをSIerなどに提供することで、SIer自身が自社のクラウドサービスを構築できる「Oracle Alloy」と呼ばれるサービスを提供しています。
日本国内では富士通、NTTデータ、野村総合研究などがこのOracle Alloyを採用し、顧客向けクラウドサービスを構築しています。
今回開設されたジャパン・オペレーション・センターは、このOracle Alloyを採用して日本国内でソブリンクラウドを構築、提供するSIerなどに対して、規制要件などに沿ってクラウドを運用できるように24時間365日での運用支援や技術ノウハウ提供を行う組織となっています。
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