オラクルが超大型クラウド案件を獲得、年間300億ドル(約4兆5000億円)。シェアでGoogle Cloudを逆転できるか?
米オラクルが6月30日に米国証券取引委員会に提出した書類において、年間300億ドル(1ドル150円換算で4兆5000億円)の超大型クラウド案件を獲得したことが明らかになりました。
書類には次のように今後の同社の売上に関する見通しが説明されています。
Safra Catz, Chief Executive Officer of Oracle Corporation (“Oracle”) plans to meet with other Oracle colleagues later today. She will say, “Oracle is off to a strong start in FY26. Our MultiCloud database revenue continues to grow at over 100%, and we signed multiple large cloud services agreements including one that is expected to contribute more than $30 billion in annual revenue starting in FY28.”
オラクル・コーポレーション(以下、オラクル)の最高経営責任者(CEO)であるサフラ・キャッツ氏は、本日中に他のオラクル関係者と会合を開く予定だ。彼女は、 「オラクルはFY26で好調なスタートを切りました。当社のマルチクラウドデータベースの収益は100%以上の成長を続けており、また、28年度から年間300億ドル以上の収益貢献が見込まれる契約を含む、複数の大規模なクラウドサービスの契約を締結しました。」と述べる予定だ。
契約した顧客名やどのようなクラウドサービスの契約なのかについては明らかにされていません。
2024年度のオラクル全体のクラウドの売り上げは約244億ドルとされているため、今回発表された2028年度における年間300億ドル以上の契約は、現在の同社のクラウドの売り上げの2倍以上となる非常に大きなものとなります。
クラウドインフラでOracle CloudはGoogle Cloudを上回れるか?
現在、オラクルのOracle Cloudはクラウドインフラ市場においてGoogle Cloudに次いで4番目のシェアを獲得していると推測されます。
同社のクラウドの売り上げを3年で少なくとも2倍以上にする今回の発表により、クラウドインフラ市場のシェアにおいてOracle CloudはGoogle Cloudを抜くことになるのでしょうか?
あくまでおおまかな推測ですが、3年後もOracle CloudはGoogle Cloudを上回ることは難しそうです。
まず、クラウドインフラ市場はこれまで、3年で約2倍の成長をずっと続けてきてきており、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudもほぼこの市場の成長率と同程度がやや上回る成長率を維持してきました。
すなわちGoogle Cloudもおそらく3年後の2028年度には現在の2倍以上に成長していると見られます。Google Cloudは特に競合他社よりも生成AIの分野に注力すると想定すると、その成長率はより高くなるかもしれません。
現時点でGoogle Cloudの半分程度のシェアと見られるOracle CloudがGoogle Cloudを逆転するには、3年で少なくとも3倍以上の成長が必要と推測されます。
また、今回の年間300億ドル以上と発表された案件に、クラウドインフラ以外のERPなどを含むSaaSの売り上げがどれだけ含まれているのかなどが明らかにされていません。
これらから考えると、3年後にクラウドインフラのシェアでOracle CloudがGoogle Cloudを抜く可能性は高くありません。とはいえ、いまよりもシェアの差が小さくなっていることは十分あり得る、というのがもっともありそうなシナリオだと考えられます。