DevinとWindsurfを統合した未来はどうなる? 「Devin Meetup Tokyo 2025」に共同創業者が来日、基調講演レポート

2025年7月28日

ソフトウェア開発におけるAIエージェントの代表的なサービス「Devin」のユーザーイベント「Devin Meetup Tokyo 2025」が、7月26日土曜日にAIエージェントユーザー会(AIAU)主催により開催されました。

会場となった六本木ヒルズにあるメルカリのホールには300人以上の参加者が足を運び、オンライン配信にも1300人以上が申し込むなど、Devinへの大きな注目を示すイベントでした。

fig

基調講演には、Devinの開発元であるCognition社の共同設立者兼最高製品責任者(CPO:Chief Product Officer)のWalden Yanが登壇し、Devinの開発の経緯と現在、そしてWindsurfの買収と将来像などについて「Devinの物語、そしてその未来」というタイトルで語りました。

本記事ではその内容をダイジェストで紹介します。

Devinの物語、そしてその未来

ハロー、東京! 今日はこの場に来ることができて本当にうれしいです。

fig

私はCognition社の共同設立者の一人でCPOのウォールデンです。

fig

私は日々コードを書きつつ、皆さんのために最高の製品を作ることを考えています。

私はエンジニアリングが大好きで、12歳の頃から一日の多くをコーディングに費やしてきました。そしてそれを今日まで続けています。

ここにいる皆さんもコーディングが大好きでしょう? そんな皆さんのために、私たちは最高のコーディング製品を作りたいと思っています。

Devinの開発前夜から現在までの道のり

さて、今日は私たちのここまでの道のりを少しお話ししたいと思います。

最初に私たちが考えていたのは、もしも、私たちのコードを書くのを手伝ってくれるジュニアエンジニアの軍団がいたらすごくクールだろうな、ということです。

これが2024年3月に会社を設立したときの全社員でした。私たちはCEOであるスコット(Cognition社CEO、Scott Wu氏)の自宅で働いていました。

fig

私たちに何が待ち受けているかは全くわかりませんでしたが、とてもエキサイティングな時でした。本当にクールな製品を作りたかったのです。

そしてその月に製品をローンチしました。その発表の反響は私たちの期待をはるかに超えていました。X(旧Twitter)への投稿は3000万ビューもあり、多くの人たちが興奮していたのです。

参考:自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」登場。Readmeを読んで環境構築、Print文を使ってデバッグなど

そこから私たちはその製品をより良くするために時間を費やし、2024年12月、つまりそれほど昔ではないのですが、一般公開しました。誰もがDevinを使えるようになったのです。

参考:自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」、ついに正式サービス開始。月額500ドルから

そして、その反響はすごいものでした。

例えば、ある人はDevinを携帯電話から使っています。朝食を食べているときにバグレポートが入ってくると、Devinに対処するためのタスクを与えることができて、Devinがあなたの代わりに作業をしてくれます。 Devinが世界にもたらしたこうしたことに人々は本当に興奮していました。

先月、さらにすごいことが起こりました。Windsurfの買収です。

そのときのCognition CEOのスコットとWindsurf CEOのジェフ(Jeff Wang氏)です。わずか3日でWindsurfの買収について話し合い、契約書に署名するところまで行きました。これは本当にすごいことでした。

fig

参考:DevinのCognitionがAIコードエディタ「Windsurf」の買収発表。今後Windsurfの機能や知財をCognition製品に統合へ

寝る前にSlackでDevinに作業を依頼

私がDevinを使う方法で好きなのが、チームの他のエンジニア全員と一緒にSlackチャンネルを通じて使うことです。

SlackでDevinに、このアイデアを実装してくれないかな、と伝えるだけです。

これは昨夜10時43分のことでした。私は日本に来てたくさんの人たちに会って、その人たちから「Devinを日本語化してほしい」と言われました。

そこで私は寝る前にこのタスク(DeepWikiの各ページの右上に日本語翻訳ボタンを追加して下さい)をDevinに伝えました。

fig

その後、Devinは私にいくつかの質問をしてきたので、それに対してフィードバックをして、そして最後にプルリクエストが送られてきたので実際に試すことができます。

fig

これはローカルで動かしていますが、日本語に翻訳されるかどうか試してみましょう。はい、翻訳されました。

fig

私が寝ているあいだ、Devinが作業をしてくれたのです。このコードは私が米国に戻ってからマージするかもしれません。

DevinとWindsurfの統合は?

さて、今日お話したいもう一つのトピックが、DevinとWindsurfの統合がどのようになるのか、ということです。

fig

この2つを組み合わせた未来は、本当にエキサイティングになると思います。

例えば、アイデアが浮かんだらそれをDevinに伝えて作業をしてもらいます。別のアイデアが浮かんだら別のDevinに、さらに別のDevinにも伝えて、そうすると私の仕事を手伝ってくれるDevin軍団ができるでしょう。

Devin軍団の作業が終わると、そのコードをテストしなければなりません。このとき、WindsurfでDevinのコードをダウンロードしてテストできるようになったら素晴らしいのではないでしょうか。

fig

私はSlackを通じてDevinを使うのが好きだという話をしましたが、ご存じの通りSlackだけでなく、Microsoft Teams、DataDog、JiraなどからもDevinにタスクを与えることができますし、GitHubでコードをレビューすることもできます。

つまりどこからでもDevinに作業を任せることができ、どこでもレビューができるのです。

fig

もう1つ強調したいのは、私たちはDevinをセキュアにし、エンタープライズ向けに機能させるために多くの努力を払ってきました。

これはWindsurfもそうでした。私たちはセキュリティファースト、エンタープライズ対応を通じて大規模な企業にも製品を提供できる最高の製品にするために多くの従業員が働いているのです。

fig

私のプレゼンテーションはここまでです。皆さんから多くの質問があると思いますので、喜んでお答えしたいと思います。

参加者との質疑応答

質問:3年後にDevinはどうなっているでしょうか、どうなると期待していますか?

回答:3年後、Devinがどうなっていて欲しいか。ひとまず3年前を思い出してみてください。GitHub Copilotが登場して、これが大規模言語モデルが得意とすることだ、ということになりました。

その後、AIを中心にしたIDEを構築するというアイデアが登場し、そして今、AIエージェントが存在します。この先、ユーザーインターフェイスに関する進歩も数多くあるでしょう。

私がエキサイティングに思っていることの1つが、これらがコードベースで何を作業したのか記憶するようになってきたことです。

今、これらはまだ新入社員のように簡単な作業しかできないかもしれませんが、それが1年以上そこで働いている人のように感じるようになるでしょう。

AIも今後さらに改良されていくでしょうし、ユーザーインターフェイスも開発されていきます。将来はますます大きなタスクをこなせるようになると信じています。

質問:Devinがたくさんコードを生成するようになると、人間によるコードレビューがボトルネックになると思うのですが、なにか対策はあるのでしょうか?

回答:非常に重要な質問ですね。まず1つ目は、実装に際して何が望まれているのかを詳しくプロンプトで記述することです。

コードをレビューするときにはそれがどのように機能すべきかを知っている必要があります。そのことを詳しく記述しておくことで、レビューは簡単になります。

2つ目は、AIツールを活用することです。コードレビューを実行するためのAIツールはすでにあります。実際、多くの人がDevonを使ってプルリクエストをレビューすることを好んでいます。Devinにコードをレビューするように依頼するだけで、多くのバグを検出できるのですす。

質問:Devinの顧客の中にマイクロソフトが入っていましたが、彼らはDevinを何に使っているのですか?

回答:マイクロソフトや多くの大企業は、コードのマイグレーションにDevinを使っています。他のことにも使っていますが、コードをあるバージョンから別のバージョンに、あるいはあるフレームワークから別のフレームワークに移行する作業はとても退屈な作業がたくさんあるからです。

そこでDevinに移行に必要な作業の一部を教え、適切なプロンプトを書くことに時間を費やすことで、移行を行います。彼らの社内システムにも、製品にもDevinが使われていると聞いています。

質問:Cognitionの社内ではDevinによるプルリクエストは全体のどのくらいになっているのでしょう?

回答:このくらいになっています(グラフ一番左がDevin。会場から「おぉ」という声)。

fig

Devin Meetup Tokyo 2025の様子はYouTubeで公開されています。

あわせて読みたい




タグクラウド

クラウド
AWS / Azure / Google Cloud
クラウドネイティブ / サーバレス
クラウドのシェア / クラウドの障害

コンテナ型仮想化

プログラミング言語
JavaScript / Java / .NET
WebAssembly / Web標準
開発ツール / テスト・品質

アジャイル開発 / スクラム / DevOps

データベース / 機械学習・AI
RDB / NoSQL

ネットワーク / セキュリティ
HTTP / QUIC

OS / Windows / Linux / 仮想化
サーバ / ストレージ / ハードウェア

ITエンジニアの給与・年収 / 働き方

殿堂入り / おもしろ / 編集後記

全てのタグを見る

Blogger in Chief

photo of jniino

Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

最新記事10本