AWS、オンプレミスでもマルチプレイヤーオンラインゲームのサーバに耐える性能向上を実現した第二世代の「AWS Outpostsラック」発表
Amazon Web Services(AWS)は、オンプレミスでAWSのクラウド環境を実現するサーバラック型の新製品「AWS Outpostsラック」の第二世代を発表しました。
AWS Outpostsは、AWSが設計した、AWSのクラウドインフラで使われているものと同じハードウェアとソフトウェアをラックマウントのシステムとしてまとめたものです。
まるでAWSのデータセンターの一部をオンプレミスに構築したような形式で利用することができ、コンピューティングリソースを専有する安定性やセキュリティ、非常に小さなレイテンシなどを特徴としています。
AWSはこの第二世代のOutpostsラックが、マルチプレイヤーオンラインゲーム用のサーバ、顧客トランザクションデータ、医療記録、産業および製造管理システム、通信分野のビジネスサポートシステム(BSS)、さまざまな機械学習モデルのエッジ推論など、低レイテンシー、ローカルデータ処理、またはデータレジデンシーのニーズに対応できるとしています。
AWS Outpostsラックが最初に発表されたのは「AWS re:Invent 2018」、正式リリースが2019年ですので、発表から7年目にして登場した第二世代となります。

最新のEC2インスタンス、ネットワークの回復機能など
第二世代のAWS Outpostsラックでは、最新世代(第7世代)のx86ベースのAmazon EC2インスタンスのローカルサポートを開始。前世代のOutpostsラックのC5、M5、R5インスタンスと比較して最大 40%優れたパフォーマンスを提供しつつ、2倍のvCPU、メモリ、ネットワーク帯域幅を提供します。
ネットワーキングも徹底的に見直され、これまで以上にシンプルかつスケーラブルになりました。
具体的には、コンピューティングリソースをネットワークインフラストラクチャから独立してスケールできるようになり、ネットワークラックがデバイスの障害を自動的に処理してシステムのスムーズな稼働を維持するネットワークの回復機能が組み込まれました。そして、オンプレミス環境やAWS リージョンへの接続が簡単になるとのこと。
ミッションクリティカル向けのECインスタンス提供
さらに、ミッションクリティカルなワークロード向けに特別に設計されたAmazon EC2インスタンスも導入されました。
このインスタンスでは、可能な限り最高のパフォーマンスを提供するために、論理ネットワークに加えて、Top of Rack (TOR) スイッチに接続されたネットワークアクセラレーターカードを備えたセカンダリ物理ネットワークが用意されます。
このカテゴリで提供されるbmn-sf2eインスタンスは、インテルの最新のSapphire Rapidsプロセッサ(第4世代Xeonスケーラブル)上で動作し、すべてのコアで3.9GHzの性能とCPUコアごとに8GBのRAMという十分なメモリ割り当てが実現されます。
金融サービス企業向けには、ネイティブのレイヤ2(L2)マルチキャスト、Precision Time Protocol(PTP)、等長ケーブルを通じた決定論的なネットワークが提供されるため、既存の取引インフラストラクチャに簡単に接続して公正な取引と平等なアクセスに関する規制要件を満たすことができます。
一方、bmn-cx2インスタンスは高速なTop of Rackスイッチに物理的に接続されたNVIDIA ConnectX-7 400G NICを搭載し、ほぼラインレートで動作する最大 800 Gbps のベアメタルネットワーク帯域幅を提供。高スループットと低レイテンシーに最適化されています。
ネイティブのレイヤ2(L2)マルチキャストとハードウェアPTPサポートを備えたこのインスタンスは、リアルタイムの市場データ配信、リスク分析、通信分野の5Gコアネットワークアプリケーションなどの高スループットワークロードに最適だと説明されています。
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