Rust製ブラウザエンジンの「Servo」がElectron代替を目指す「Tauri」への組み込みに対応、プロトタイプとして実装
Linux Foundation傘下でRust製のWebブラウザエンジンとして開発が進められている「Servo」は、Electron代替を目指すフレームワーク「Tauri」への組み込みサポートを、プロトタイプとして実装したことを明らかにしました。
Servo can now be used in an experimental build of WRY, the webview library behind Tauri!
— Servo (@ServoDev) January 19, 2024
More on offscreen rendering, multiple webviews, and other embedding improvements ↓ pic.twitter.com/jElJUusZZU
Tauriは、JavaScriptとHTML/CSSを用いてアプリケーションを構築できるElectronの代替を目指して開発されている軽量なフレームワークです。TauriもRust言語で開発されています。
ServoがWebViewを抽象化するWRYに対応
Tauriは、WebViewとしてChromiumを内蔵しているElectronとは異なり「WRY(WebView Rendering Library)」と呼ばれる抽象化レイヤによってWindowsやmacOS、LinuxのそれぞれのOSが標準で備えているWebViewを呼び出して使うことにより、クロスプラットフォームを実現しつつChromiumを不要にしている、という特徴があります。
Servoは今回、このWRYに対応することでTauriに対応可能なWebViewとしての実装を実現しました。現時点では実験的実装によるプロトタイプですが、これによってTauriで開発するアプリケーションのWebViewとしてServoを組み込んで利用することができるようになったと説明されています。
下記はTauriへの対応を発表したServoのブログ「Tauri update: embedding prototype, offscreen rendering, multiple webviews, and more!」からの引用です。
To integrate Servo with Tauri, we need to add support for Servo in WRY, the underlying webview library, and the developers of Tauri have created a proof of concept doing exactly that! While this is definitely not production-ready yet, you can play around with it by checking out the servo-wry-demo branch (permalink) and following the README.
ServoをTauriと統合するためには、基盤となるWebViewライブラリであるWRYにServoのサポートを追加する必要があります。そしてTauri開発の方々は、そのPoF(概念検証)を行ってくれました! この実装はまだ製品版ではありませんが、servo-wry-demoブランチをチェックアウトし、READMEに従うことで試すことができます。
ServoがTauriに対応するための開発を進めることは、昨年(2023年)11月に発表されていました。今回その開発が実際にプロトタイプまで進展したこととなります。
一方、Tauriは2022年6月に正式版となっており、すでに本番用のアプリケーション開発に使われ始めています。
参考:Electron代替を目指すRust製フレームワーク「Tauri」がバージョン1.0に到達、Windows/Mac/Linuxに対応
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