Publickeyを始めてからちょうど10年になりました。ご愛読ありがとうございます。そして今後ともよろしくおねがいします。

2019年2月26日

おかげさまで、Publickeyを2009年2月に公開してから今日がちょうど10年目の日となりました。

個人が運営するブログメディアとして10年ものあいだ続けられることができたのは、記事を読みにPublickeyへ訪問していただいた数多くの読者のみなさまのおかげです。ありがとうございます。また、記事を書くためにいつも情報を提供いただいているベンダのみなさま、コミュニティや技術者のみなさま、他のメディアのみなさまにも感謝いたします。

と同時に、売り上げを支えてきていただいたクライアントのみなさま、代理店のみなさまにもお礼申し上げます。

Publickeyを立ち上げた2009年は、まだAmazon Web Servicesの国内での知名度はなく、Google App EngineとSalesforce.comは登場していましたが、クラウドは企業のシステムで使えるものなのかどうか懐疑的な意見が多くありました。

HTML5は注目されつつありましたが、まだCSS3で角丸ボックスが描画できるようになるとか、Canvasタグで自由にアニメーションが描けるようになるといった説明がようやく始まった頃で、どちらかといえばFlashとSilverlightはどちらが主流になるのか? といった議論の方が注目されていました。

JavaScriptで高度なアプリケーションを作るためのAjaxやPrototaype.jsが盛り上がっていて、NoSQLという新しいデータベースが注目されはじめていました。

こう振り返ると、この10年でいかにPublickeyがテーマとしてきた技術や状況が変化したのかが分かります。

そしてIT業界で大きな技術や状況の変化が起きるたびに、メディアやそこで働く記者や編集者も大きく入れ替わってきました。

少し遡りますが、1995年からの数年間はWindows 95のブームとともに多数のパソコン雑誌が登場し、書店の本棚でひしめき合っていました。

そこに続く形でやってきたインターネットブームでは、eビジネスやWeb 2.0をテーマにした雑誌や書籍が注目され、2000年前後になるとZDNetやCNET、そして僕が設立にかかわった@ITなど、インターネットそのものを媒体としたオンラインメディアが登場します。

その後、米国でブログの盛り上がりの中からTechCrunchやGizmodoといったブログメディアが急成長。Publickeyは、それを遠くから見ていた僕が、自分でもそれをやってみたくなって会社を辞めたあと立ち上げた、というわけです。

こうした技術とメディアの変化の中で生き残っていくのは簡単ではありません。それは同じようにつねに変化に直面しているITエンジニアとして働いている読者の方々も実感していることだと思います。

僕はここまではたまたま運良く、技術とメディアの変化に対応することができました。1995年にWindows Magazineに配属されたときは、運良くWindows 95のブームがやってきました。@ITを2000年にスタートさせたときは、インターネットの発展とそれに比例したインターネット広告市場の広がりが業績を後押ししてくれた面が大きかったと思います。

2009年にPublickeyを始めた後では、HTML5やクラウドと行った大きな技術の転換期がやってきて、それに対応した記事を書けたことが多くの読者の獲得につながったことは、幸運なタイミングをつかめた結果だと思います。

そして時期的にはそろそろ次の大きな変化が来るタイミングです。たぶん機械学習やAIあたりがそうなのだと思います(実際には後から分かることでしょう)。そのような、これから直面する変化にどう対応して生き残っていくのか、というのが僕とPublickeyにとっていちばんの課題として意識していることです。

どうすればいいかは誰も教えてくれません。試行錯誤するしかないですよね。

とはいえPublickeyそのものはいまのところ大きく変化させる予定はありません。幸いなことにPublickeyで記事を書き続けること自体が最新技術や業界動向を追うことにつながっているので、日々こつこつと記事を書き情報を収集することが進歩と変化への備えになっている、という側面があると考えています。

そんなわけで、引き続きPublickeyはこれまで通り続けていくつもりです。今後ともご愛読のほどよろしくお願いいたします。

Tags: 編集後記

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Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
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