「MIPS Open」発表。MIPSの命令セットがオープンソースとして公開へ

2018年12月21日


米Wave ComputingはMIPSアーキテクチャの命令セットなどをオープンソースで公開する「MIPS Open」を発表しました

MIPSアーキテクチャのプロセッサは、1990年代に盛り上がりを見せたオープンシステムにおいてサン・マイクロシステムズのSPARCと並んでRISCアーキテクチャを代表するプロセッサの1つでした。NECのEWS4800やソニーのNEWSをはじめとしたUNIXワークステーションなどに採用されていました。

MIPSプロセッサはその後、UNIXワークステーションやサーバなどの領域ではインテルのプロセッサとの競争に敗れていきますが、組み込みデバイスへ進出することで現在でも広く使われています。

しかしMIPSアーキテクチャを開発したMIPS Technologies自身は財政難に陥るなど紆余曲折を経て、今年2018年6月にAI向けのデータ駆動プロセッサなどを開発する新興ベンダであるWave Computingに買収されました。

今回そのWave Computingが「MIPS Open」を発表したのです。

オープン化によりMIPSエコシステムの拡大を目論む

Wave ComputingはMIPS Openを発表するプレスリリースの中で、この取り組みの狙いとしてMIPSエコシステムの拡大を挙げています。

The MIPS Open initiative will help greatly expand the existing MIPS ecosystem comprised of thousands of developers and over 100 academic institutions worldwide by offering new opportunities to create innovative solutions from third-party tool vendors, software developers and universities.

MIPS Openの取り組みは、新たなサードパーティのツールベンダやソフトウェア開発者、大学などからの新しいイノベイティブなソリューションに取り組む機会を提供することにより、世界中の数千人のデベロッパーや100以上もの学術機関などからなる既存のMIPSエコシステムを大幅に拡大するものとなるでしょう。

MIPS Openによってオープンソース化されるのは下記のリソースなどです。

おそらくWave ComputingはMIPSエコシステムの維持と拡大を、命令セットのオープン化によってできるだけ低コストかつエコシステムの自律によって実現し、同社自身は本業であるAI向けプロセッサにフォーカスしようとしているのではないかと考えられます。

ただしオープンなRISCプロセッサの命令セットとしては、すでにRISC-V Foundationが推進する「RISC-V」(リスク・ファイブ)が存在し、大きなムーブメントになろうとしています。今月には、RISC-V FoundationはLinux Foundationと提携したというニュースも飛び込んできました。

あえて両者を比較すると、RISC-Vは勢いがあるものの普及はこれからという一方で、MIPS Openはすでに長い歴史を持つMIPSエコシステムができあがっており、その点ではRISC-Vに先行しているといえます。

MIPS Openが実際にオープンなISAを公開するのは2019年春の予定です。果たして、期待通りにオープンなRISCプロセッサとしてエコシステムの拡大が進むことになるでしょうか。

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