「KindleとAWSは似ている」 Amazon CEOジェフ・ベゾス氏、自社のクラウドビジネスを語る。AWS re:Invent基調講演(Day2)
Amazon Web Service(AWS)がラスベガスで開催中のイベント「re:Invent」。2日目午後の基調講演では、Amazon.com CEOのジェフ・ベゾス氏が基調講演に登場し、Amazonのクラウドビジネスにおける理念、そして戦略について話をしました。
ジェフ・ベゾス氏がクラウドビジネスについて顧客の前で語ることはこれまでほとんどありませんでした。ベゾス氏の発言を、主に基調講演の前半についてまとめました。
KindleビジネスとAWSはとても似ている
ホスト役のAmazon.com CTO、Werner Vogels氏。
今朝の基調講演では、みなさんの役に立つような話ができたのではないかと思っている。ここでもう1つ、みなさんにアドバイスをしたい。私の経験からだが、サイエンスを専攻したCEOの下で働くことは絶対に避けるべき、ということだ。本当にね。
じゃあ紹介しよう。Amazon.com CEOのJeff Bezos!
Vogles氏 以前ステージでお会いしたのは、Kindle Fireを発表したときでしたね。そのとき印象に残ったのは、唯一、顧客の勝利が私たちにとっての勝利だと言ったことでした。AWSについてはどうですか?
Bezos氏 Kindleビジネスでやっているのは、ハードウェアはほとんど原価で販売し、顧客にデバイスを売ることで儲けるのではなく、デバイスを使ってもらうことで儲けるということだ。
このことは、私たちのビジネスのあり方に関わっている。つまり、デバイスを買ってもらうことで儲けているのではないのだから、顧客に何度もデバイスを買ってもらったり、頻繁にアップグレードしてもらうこともない。例えば5年前のKindle 1を使っている顧客がいたとしても、私たちはそれでまったくハッピーなんだ。
AWSはそれにとても似ている。使った分だけ払う、というサービスであり、たくさんハードウェアを買ってもらうとか、アップグレード料金を払ってもらうといった押しつけはしない。
私たちの視点は顧客に沿うことであって、長期的に見て顧客によいことは、Amazonにとってもよいことなのだ。
10年後も正しいことに向けてビジネスのフライホイールを回し続ける
Vogles氏 Amazonの理念について話をすると、あなたはよくビジネスのフライホイール(はずみ車)の話をしますね。リテールのフライホイールは価格や納期、品揃えなどですが、ではAWSにとってのフライホイールとは何でしょうか?
Bezos氏 私はよく、この先の10年でどんな変化が起きるのか? と聞かれる。その一方で、変わらないことは何か? という質問を受けることはほとんどない。しかしこの2番目の問いこそ大事だ。
ビジネスの戦略は、この変わらないものの上に作られる。
例えばリテールの顧客は低価格、迅速な出荷を望んでいる。これは10年前から変わらないし、10年後も変わらない。顧客が「Amazonは価格が高いから好きなんだよね」なんて絶対に言わないさ。こうした長期的に正しいことにエネルギーを投入するべきだ。
AWSについて言えば、10年後のITを予想するなんてできない。けれど顧客は「AWSの不安定なところがいいね」とか「AWSはもっと値上げするべきだ」「APIをもう少し遅くした方がいい」などとは絶対に言わない。
こうした明確なことがあり、それを守っていくことが大事だ。けれど、これを会社の隅から隅まで実現していくことは実に難しい。でもそれがもし実現できれば、フライホイールを回し続けられれば、そのビジネスはいつでも素晴らしいものになっていくだろう。
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