海外でなぜアジャイル開発が普及しているのか? IPAが分析と提言

2012年6月13日

海外ではなぜアジャイル型開発が普及しているのか、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が継続的に行っている非ウォーターフォール型開発についての調査や提言活動の一環として、海外でのアジャイル開発の背景などについての報告書「非ウォーターフォール型開発の普及要因と適用領域の拡大に関する調査報告書 (非ウォーターフォール型開発の海外における普及要因編)」が公開されました。

情報処理推進機構:ソフトウェア・エンジニアリング

調査対象国は、アメリカ、イギリス、中国、ブラジル、デンマークです。アメリカはアジャイル宣言が行われたアジャイル開発先進国として、イギリスもアジャイル開発の先進国として選ばれ、中国は日本のオフショア先であり新しいソフトウェア開発市場が起こりつつある国として、ブラジルはアジャイルコミュニティが活発化しており、デンマークは政府がアジャイル開発を推進している国として選択されました。

報告書のハイライトを紹介します。

海外でなぜアジャイル開発が普及しているのか、分析と提言

まず、ソフトウェア開発のプロジェクトが海外でどのような形態になっているのかについて。

米国では、ソフトウェアに対する投資が「自社開発(内製)」「パッケージソフト」で約3分の2を占めており、IT技術者の7割以上がユーザー企業に属しているという特徴が見られました。つまり他国に比べて同一組織内でソフトウェア開発を行うことが多く、契約を交わす必要がないため、ソフトウェアの変更に対応しやすいと考えられます。

デンマークでは政府が発注するソフトウェア開発をアジャイル開発で行うことが推奨されており、できるだけ小さく始め、柔軟な計画変更ができるといった契約になっているそうです。

またアメリカとブラジルはタイムゾーンが同じであり、顧客と開発がコミュニケーションをとりやすいと考えられます。一方で、中国でアジャイル開発が普及していないのは、発注元である日本でアジャイル開発が普及していないためと分析されています。

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人材についての分析では、米国では恒常的にIT関連の人気が高く、中国、ブラジルではIT関連の人材が不足しているため給与が高く、人気も高くなっています。これらの国では同時にIT関連の人材の流動性も高いため、技術情報や経験が流通しやすくなっています。

一方の日本では人材の流動性が低いため、技術情報や経験も流通しにくい状態です。

これらから米国、中国、ブラジルなどはIT関連に優秀な人材が多く集まり、アジャイル開発に特徴的な、「チームメンバーが向上心を持ち、常に改善を考える」に合致しており、普及の一因となっていると分析されています。

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調査・分析結果としての、各国ごとのアジャイル開発の普及状況と成長度合い。日本は中国と並んでどちらも最も低くなっています。

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日本でのアジャイル開発普及のために、重要かつ実行可能性が高いと考えられる提言が5つ示されました。

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Tags: DevOps アジャイル開発 IPA

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