マイクロソフト、.NET STS版のサポート期間を2年に延長、バージョン間の移行がスムーズに

2025年9月25日

マイクロソフトは、.NET Standard Term Suport(STS:通常サポート期間)版のサポート期間をこれまでの18カ月から6カ月延長し、24カ月にすることを発表しました

これにより、.NETユーザーにとって、どのバージョンから別のバージョンへ移行するとしてもサポートの空白期間が途切れることがなくなり、これまでよりスムーズに移行できることが期待されます。

.NETは2年ごとにLTSがリリース

マイクロソフトの包括的なアプリケーションフレームワークである.NETは、1年ごとにバージョンアップが行われます。

そのバージョンアップのなかで2年ごとにLTS(Long Term Support:長期サポート)版が設定されます。

現時点で最新のLTS版は、2023年にリリースされた.NET 8であり、そこから2年後の今年(2025年)11月には次のLTS版となる.NET 10がリリース予定です。

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LTS版はリリースされてから最低3年間、バグフィクスやセキュリティパッチなどが提供されるため、安定したバージョンの利用を希望する企業でのシステム開発などに適しています。

その上で、あるバージョンのLTS版から次のLTS版へ以降する際にも、サポートのオーバーラップ期間が1年間あるため、余裕をもって移行できるように考慮されています。

新バージョンの.NETの方がサポートが早く終わる問題

2年ごとにリリースされるLTS版に対して、それ以外のリリースはSTS版となります。

LTS版が安定したフレームワークを提供することに注力されるリリースとなる一方で、STS版は積極的に新機能が実装される傾向にあるリリースとなるため、STS版は.NETにおける最新機能を試したいユーザーに向いているといえます。

STS版はこれまで、リリースされてから1年半(18カ月)のあいだバグフィクスやセキュリティが提供されてきました。

この場合、例えば2024年11月にリリースされた.NET 9 STSのサポート期間は18カ月後の2026年5月で終了となります。これは、その前年(2023年)にリリースされた.NET 8 LTSのサポート期間が終了する2026年11月よりも半年早いことになります。

このとき、開発環境として.NET 8で開発を始め、途中で.NET 9に移行するケースを考えると、新しい.NETのバージョンに移行したのに移行前よりサポートが早く終了することになるわけです。

マイクロソフトは、最近では.NETのバージョンアップに依存せずに登場する新機能(例えば.NET AspireやMicrosoft.Extensions.AIなど)を採用するケースでは、こうしたバージョン間のサポート期間の違いが問題を引き起こしやすくなると指摘しています。

.NET STSのサポート期間が24カ月に

.NET STS版のサポート期間を24カ月とすることで、こうしたサポート期間の違いによる問題の発生を抑えることができると、マイクロソフトは説明しています。

STS版のサポート期間が24カ月になることで、2024年11月にリリースされた.NET 9 STS版のサポート期間は2026年11月となり、これは2023年11月にリリースされた.NET 8 LTS版のサポート期間の終了と同じタイミングです。

このときまでに開発者は、.NET 10 LTS版もしくは.NET 11 STS版へ移行することになります。

このSTS版のサポート期間が24カ月になる措置は、現在サポート期間中である.NET 9に適用され、前述の通り.NET 9のサポート期間は2026年11月までとなります。

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