アジャイル開発とクラウドじゃないとこれから勝てない~アジャイル開発×クラウドがもたらす変化(後編) Scrum Gathering Tokyo 2011

2011年11月2日

Amazonクラウドのエバンジェリスト玉川憲氏と、アジャイル開発に詳しく、アジャイル開発に特化した受託開発ビジネスを開始したソニックガーデン社長の倉貫義人氏のトークセッションが、10月22日に、アジャイル開発手法「スクラム」を学ぶイベント「Scrum Gathering Tokyo 2011」の無料ワークショップのセッションとして開催されました。

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(本記事は「クラウドに仕切り値はない、付加価値のない代理店モデルは破綻~アジャイル開発×クラウドがもたらす変化(前編) Scrum Gathering Tokyo 2011」の続きです)

アジャイル開発とクラウドじゃないと勝てない

玉川 倉貫さんはエンジニアにも起業を勧めているんですよね。

倉貫 いまは起業のリスクが下がっているので、どんどんスタートアップをするのがいいのではないかと、あるいはそういう会社に転職すればいいのではと思っています。

Webを使ってビジネスをするところでは、アジャイル開発はすごく合ってると思うんです。アジャイル開発でやろうとしていることと、会社のビジネス価値が同じ方向を向くので、アジャイル開発での改善がビジネスの改善に直接結びつくので。

実は正直に言うと、僕はスクラムをちゃんと勉強したことがなくて、ケント・ベック(エクストリーム・プログラミングの考案者)派なので。でも僕らのやり方をある人に見せたら、「倉貫さん、それはスクラムです」よと言われました。その人とお客様の話をしたら、「それはプロダクトオーナーのことですね」と言われて、おおそれは格好いいなと、最近社内ではお客様のことを「プロダクトオーナー」って呼んでます(笑)。

玉川 どんな会社がアジャイル開発とクラウドを組み合わせて成功しているかというと、大きい会社ではアメリカのNetflixという会社。もともとDVDレンタル屋さんだったのですが、数年前に生まれ変わって月額9ドル払うとネットで映画見放題で、北米で2000万人以上の会員がいて、夜のトラフィックのダウンサイドの30%を占めているそうです。これはインフラがほぼ全てAWSで、アジャイル開発でどんどん新しいサービスを作っていると。

それからFacebookのゲーム会社のトップ50のかなりの割合がクラウド×アジャイルで開発しているそうです。Amazon自身もAWSのユーザーであり、アジャイルにものすごく早くリリースを出し続けています。

倉貫 セールスフォース・ドットコムも、昔はスクラムじゃなかったそうですが、ある時点でスクラムへ変えていったと聞いています。

玉川 このジャンルでいうと、アジャイル開発とクラウドが当たり前、そうじゃないと勝てないという感じですね。

倉貫 これからウォーターフォールで計画を立ててサーバ買ってたら、競合に勝てるわけがないと思います。

「リーンスタートアップ」というのがスタートアップ業界でちょっと話題になっていて、どういうのかというと、いままではスタートアップにエンジェルがお金を入れて、そうするとスタートアップも期待されるので最初のプランから引き下がれなくなる。

でも新規事業ってフィードバックを受けてどんどん変えていくのが大事。だとすると、最初にお金をたくさんもらうのではなく、ちょっとずつお金を入れていくのが成功する近道だよと。

そうすると、どんどん成功するためにアジャイル開発を、サービスの規模も途中で変わるかもしれないのでクラウドを使う、という風になっていますね。

玉川 クラウドだとサービスをグローバル展開しやすい環境も整ってきていますね。Netflixの人が来日したときに言っていたのは、技術的にはNetflixのビジネスは数時間で日本に持ってこれる、あとは法律と版権の問題だけだと。

クラウドはアジャイルなインフラだ

玉川 最後はエンジニアのキャリアについて。

倉貫 2010年、2011年は転職ブームだったのではないかと感じています。で、どういうキャリアを目指すのがいいかというと、僕が思うのはインフラエンジニア、アプリエンジニアという区別はもうなくて、特にインフラはもう細かいことを知る必要がなくてAWSを使えればいいのではないかと。

玉川 僕はAWSを「アジャイルなインフラ」と呼んでいるのですが、あれはもうコマンドで操作できるのでソフトウェアの一部ではないかと思います。

倉貫 障害検知などもそうですが、運用まわりもプログラミングしてしまえる。

玉川 Gumiさん(日本のソーシャルゲーム企業)は、数百台のサーバインフラを一人で運用されていたそうです。最近、人数が少し増えたらしいですが。

僕はいつも思うのですが、新しい技術が入ってくると、その反応が「怖い」という人と「すごい」という人に分かれる。

倉貫 新しいものがいいな、と思ってる人は、過去のものを捨てられる人なんですよね。過去の栄光にとらわれる人と、そこを捨てられる人がいる。捨てられる人が、できる人なんだなと。

玉川 インフラにすごく詳しい方に言われたことがあって、それは「AWSのインフラはどのくらいのスペックなんですか」と。「それが分からないと使えない」と。そこにスティックする人と、そこにはこだわらずに「いままでできなかった、こんなことができる」という人に分かれる。

倉貫 そういえばJavaが出てきたときも、「メモリ管理なんかCでメモリアロックすればできる」という人がいて。エンジニアは、「作る」というマインドセットは大事なんだけど「作る」から「使う」というところへ世の中は変わっていて、その上に乗っかっていかないと。AWSに勝つにはAWSと戦うのではなく、そこに乗っていかないと勝てないのではないかと思う。

最近「アジャイルサムライ」という本が流行ってて、「アジャイルサムライ」は僕も読んで中身はすごく良い本だと思ってるんです。でも僕は心の中でサムライという言葉はあんまり好きじゃなくて。清廉潔白はいいのだけれど、でももっとずるがしこい心を持った方がいいのではないかと。サムライより商人のつもりで、どうやって売ったらいいのだろう、ということも考えた方がいいのではなかと。

スクラムで組織変革をする、というのは大事だしいいなと思うけれど、組織を変えるのは時間がかかる。その組織を変えた上でやりたいことがあるのならいいけれど、それよりも転職したり起業したりすることでも解決できるのではないかと思います。

玉川 たしかに選択肢は増えていますね。その中で自分がいちばん輝ける場所を選べばいいのではないでしょうか。

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Junichi Niino(jniino)
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