「ワールドクラスのソフトウェア会社になる方法」 エリック・シュミット氏とマーク・ベニオフ氏の対談(前編)

2011年9月5日

セールスフォース・ドットコムのイベント「Dreamforce'11」、3日目の基調講演で行われたのが、グーグル会長のエリック・シュミット氏と、セールスフォース・ドットコム会長兼CEO マーク・ベニオフ氏の対談でした。

両者の話題はクラウドという軸を持ちつつ、サン・マイクロシステムズの技術的遺産からシュミット氏がグーグルへの転職を決めた理由、マイクロソフトのつまづきとスティーブ・ジョブズ氏の功績、そしてクラウドのアーキテクチャやモバイルへと広がっていきます。

1時間にわたる対話の中からポイントを紹介します。

サン・マイクロシステムズから得た教訓

マーク・ベニオフ氏 今日のゲスト、何十年にもわたりこの業界のリーダーであるエリック・シュミット氏を紹介します。

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未来の話をする前に、少し過去のことを振り返ってみましょう。1980年代、あなたはサン・マイクロシステムズに在籍していて、すばらしいビジョナリーでした。スコット・マクニーリ氏やビル・ジョイ氏、ジェームズ・ゴスリングなどと一緒に働いていたましたね。

その当時考えていたことを教えてください。

エリック・シュミット氏 サンは当時、もっとも優れたUNIXの実装を実現していました。そして私たちは、ネットワーク化された世界というのを考えようとしていたのです。

80年代、OSはロックインの要素であり、柔軟性もありませんでした。ネットワークコンピューティングがそのブレイクスルーでした。

しかし考えてみれば私たちはずっとこの問題についてはなしています。

エンタープライズではコンピュータ同士の接続が課題でしたが、基本的な接続はいまではインターネットのようにあらゆるところで実現しました。

いまは、アプリケーションの接続を課題にするフェーズであり、そして人々を接続するフェーズにあるのです。

ベニオフ氏 サン・マイクロシステムズがもたらしたものとは進歩とはなんだったのでしょう? 「Network is the Computer」というフレーズのほかに何がありましたか?

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シュミット氏 オープンシステムのモデルはサンの遺産だと思います。今のWebを支えているものでもあります。

そしてJavaの革命についても言わなくてはいけません。それまでのアプリケーションに使われていた複雑で柔軟性に欠ける言語を変えたのです。いまではエンタープライズの大半で使われるようになりました。

ベニオフ氏 Windows NTの登場で、サンとマイクロソフトの競合が激しくなりますね。

シュミット氏 Solarisよりももっと安価でパワフルなものを誰かが作れるとは思っていませんでした。

そこで得た大事な教訓とは、新しいテクノロジーによって安くて良いものを作る競合というものはつねに存在するのだ、ということです。グーグルはそのことをよく理解しており、ほとんどのものを無料で提供しています。これよりも安く提供することは困難ですから。

人生は短い、だから楽しめる連中と一緒に働くべき

ベニオフ氏 あなたがグーグルのCEOになったときには、まだグーグルは若い会社で従業員もそれほど多くありませんでしたね。なぜグーグルに?

シュミット氏 グーグルのことは実はよく知らなかったんです。でもそこにいる人たちを気に入りました。

私ももう、こんなことを言えるほど十分な年齢になったと思うので、みなさんに申し上げたい。

「人生は短い、だから楽しめる連中と一緒に働くべきだ(Life is short, and You shuld spend the time working with people you enjoy)」と。

(会場から拍手)

グーグルで気に入っているのは、何でもできると感じること、どんなアイデアでも可能だと感じることです。

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ワールドクラスのソフトウェア会社になるには?

ベニオフ氏 グーグルはイノベーションを起こしていますが、サンにも多くのイノベーションがありましたね。両者を比べるとどうでしょうか?

シュミット氏 私はずっと古めかしいマイクロコンピュータのサイクルを学んできました。そこには2~3年の開発サイクルがあり、それに沿ってある程度の予測ができます。

しかしWebはそうではありません。毎日少しずつ改良ができます。これは継続的なリリースのモデルです。

セールスフォース・ドットコムでもそうだと思いますが、とにかく速くやる、毎日新しいバージョンをリリースする。ちゃんと何も壊さずに。

これは非常に難しいことです。ですが、実現可能です。

新しいコラボレイティブな開発ツールを利用すれば、開発とテストを繰り返した継続的なリリースができます。毎日これをやる、そうすればワールドクラスのソフトウェア会社になれます。

後編の「「スティーブ・ジョブズ氏の功績とモバイルファースト」 エリック・シュミット氏とマーク・ベニオフ氏の対談(後編)」へ続く。

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カテゴリ 働き方 / 給与 / 学び
タグ  Salesforce.com


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