Google、「Gemini Enterprise」発表。OfficeやSalesforce、SAP、Jiraなど業務アプリとの連携、コーディング支援、エージェント開発まで包括的に提供
Googleは、Geminiをベースにエンタープライズ向けの包括的なAIサービスを提供する「Gemini Enterprise」を発表しました。
Gemini Enterpriseの特徴は、Google Workspaceなどの特定のプロダクトに統合されたAIサービスではなく、企業内で業務を行う上で必要な複数のさまざまなサービスやアプリケーションと連携し、それらのデータを基にビジネスやユーザーのコンテキストに対応したAIとして、包括的なAI機能を提供しようとする点にあります。

そのためGemini EnterpriseはGoogle Workspaceのオプションなどではなく、単独の企業向けAIサービスとして提供される予定です。
さまざまな業務アプリと連携
下記はGemini Enterpriseをプロンプトから利用する際の画面です。
プルダウンメニューに表示されているのはGoogle CalendarやGoogle Drive、Jira、Gmail、OneDrive、Salesforce、ServiceNowなどの業務アプリケーションで、この他にもSAPなどを始めとするさまざまな業務アプリケーションやサービスをデータソースとして指定するオープンなプラットフォームだと説明されています。

そしてこれら複数のデータソースとして業務に関わる文書、メール、チャットなどにより、現在進行中のビジネスコンテキストに合致した文書や画像、例えば過去の会議の議事録に沿った予算案の作成、企画書の内容を基にした見本画像の生成、顧客との打ち合わせに合致した提案書の生成などをAIが行ってくれるようになります。
このようにGemini Enterpriseは企業やユーザーによってデータソースや権限などがカスタマイズ可能なサービスです。
また、業務データを通じた企画や営業などの支援だけでなく、開発部門におけるコーディングの支援もGemini Enterpriseで対応可能です。

Google Workspaceとマルチモーダルエージェント
Gemini Enterpriseはプロンプトでの指示で利用するだけでなく、エージェントを開発するためのAgent Development Kitを用いてGemini Enterpriseを基盤としたAIエージェントの開発と実行のためのプラットフォームの役割も備えています。
これによりビジネスコンテキストを踏まえつつエージェントを用いたビジネスの自動化や効率化が可能となります。

Googleは、Gemini EnterpriseをGoogle Workspaceと組み合わせて使用することで、テキスト、画像、動画、音声を理解するマルチモーダルエージェントにも対応する予定だとしています。
Google Enterpriseは、スタートアップや中小企業向けに1ユーザー当たり月額21ドル(年間プラン価格)から提供される「Google Business」プラン(30日間の無料トライアル期間あり)、大企業向けに厳格な企業セキュリティおよびコンプライアンス要件に対応できる1ユーザー当たり月額30ドル(年間プラン価格)からの「Google Enterprise Standard」および「Google Enterprise Plus」などが用意される予定です。