オープンソースAIを日本のAI政策の基盤に。オープンソース・グループ・ジャパンが、開かれたAI社会とデジタル主権を構築するための提言を公開
一般社団法人オープンソース・グループ・ジャパン(OSG-JP)は、日本がAI時代における国際競争力を確保し、国民から信頼されるAI社会を構築するための具体的な3つの提言「オープンソースAIを基盤とした開かれたAI社会とデジタル主権を構築するための公開提言 ― 米中依存のリスクを低減し、透明性・自律性・競争力あるAI基盤を構築 ―」を公開しました。
同団体は日本国内におけるオープンソースの普及と発展を目的とする非営利組織であり、オープンソースの定義とライセンス承認を担う組織であるOpen Source Initiative(OSI)が策定した「オープンソースAIの定義」(OSAID: Open Source AI Definition)の共同設計プロセスにも深く関与してきました。
このオープンソースAIの定義が策定から1年となり、同団体としてAI技術が国家の産業競争力と安全保障を根底から左右するとの認識の下で以下の3つの提言が発表されました。
提言1:基盤を含むAIモデル開発においてOSI定義に準拠したオープンソース化推進
(提言の一部を引用)公的な資金によって生み出された技術資産は、特定の企業や組織に囲い込まれることなく、広く社会全体で共有・活用され、さらなるイノベーションの基盤となるべきです。この原則を徹底することによって公的資金の投資対効果を最大化し、また、国内の大小様々な企業と研究開発機関がその成果を自由に利用・改変・再頒布できるようになり、裾野の広いAIエコシステムの形成を実現します。
提言2:オープンソース・エコシステムを維持するための開発者への法的保護措置
(提言の一部を引用)AIに関する新たな政策や規制を策定する際、オープンソースAIコンポーネントの開発者に対し、彼らが開発・公開したコンポーネントの下流における使用から生じる結果について、法的責任を負わせるような規制や要件を課すことを明確に回避すべきです。責任の所在は、汎用的なツールを単に開発した者ではなく、そのツールを特定の目的のために実装・運用する主体にあることを法的に明確化し、公的な調達における契約においてもその原則を徹底する必要があります。
提言3:多様なAI開発を促進するトレーニングデータのオープンデータ化
(提言の一部を引用)政府及び関連の公的機関が保有する公共性の高いデータについて、個人情報保護法やその他の関連法規を遵守し、セキュリティに万全を期した上で、AIの学習に適したトレーニングデータセットとして整備し、オープンデータとして広く公開する国家主導のプロジェクトを強力に推進すべきです。
同団体は、本提言が内閣府による「人間中心のAI社会原則(統合イノベーション戦略推進会議決定)」の趣旨にも高い水準で適合しており、OSAIDを日本のAI政策の基盤と位置付けることが、我が国が直面する課題を克服し、国際社会におけるリーダーシップを確立することに寄与すると考るとしています。
提言の全文は「オープンソースAIを基盤とした開かれたAI社会とデジタル主権を構築するための公開提言 ― 米中依存のリスクを低減し、透明性・自律性・競争力あるAI基盤を構築 ― – Open Source Group Japan – オープンソース・グループ・ジャパン」からご参照ください。
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