WebホスティングのNetlifyがAstroと提携、静的サイトジェネレータAstroのオフィシャルなデプロイメントパートナーに
Webホスティングサービスを提供するNetlifyと静的サイトジェネレータ「Astro」開発チームの両者は提携を発表し、NetlifyがAstroのオフィシャルデプロイパートナーとなったことを発表しました。
@Netlify increases its open-source sponsorship of Astro to become our new, official deployment partner!
— Astro (@astrodotbuild) July 15, 2024
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Netlifyは、いわゆる「JAMスタック」を用いたWebホスティングサービスを提供しています。
JAMスタックとは、基本的にはWebサイトのすべてのWebページを静的なHTMLファイルとして生成し、Webページ上の動的な要素についてはHTMLに埋め込んだJavaScriptからバックエンドサーバのAPIを呼び出すことで実現します。
JavaScriptの「J」とバックエンドサーバのAPIの「A」、そしてHTML=マークアップ言語(Markup Language)の「M」を中心的な技術スタックとして用いていることから、「JAMスタック」と呼ばれます。
このアーキテクチャの利点は、静的HTMLをWebサーバから配信するだけでWebサイトを公開できるため、CDNなどを用いたスケーラブルかつ安定したなWebページの配信が可能で、しかもWebサーバ側に複雑なロジックがないためセキュリティ面でも堅牢となること、などが挙げられます。
Netlifyでは、サーバサイドでの静的HTML生成あるいはサーバサイドレンダリングのためのフレームワークとしてReact、Vue、Nuxt、Gatsby、Hugoなど、ほとんどすべてのフレームワークに対応しています。
レッドオーシャン化しているWebホスティングサービス
Netlifyは2023年2月に、主要な静的サイトジェネレータとして知られるGatsbyを買収しています。
参考:JAMスタックのNetlify、静的サイトジェネレータ開発元のGatsby買収を発表。Webサイトホスティングサービス強化へ
Netlifyは今回、Astroと提携することによって、Webホスティングサービスとしてオフィシャルに提供できるWebサイトのフレームワークの幅を増やしたことになります。
Webホスティングサービスの分野はNext.jsの開発元であるVercelをはじめとして、アプリケーションサービスプロバイダとしての色を強めているCloudflareやFastlyなどのCDNベンダや、エッジにおけるJavaScriptランタイムやWebAssemblyランタイムなどの提供を進めているDenoやBun、WasmerなどのJavaScript/WebAssemblyランタイムベンダ、そしてなによりAWSやMicrosoft Azureなどのクラウドベンダなどの競合がひしめくレッドオーシャン化しています。
Netlifyはそうした中で差別化を図るために、Astroとの提携を行ったと見られます。
Astro開発チームはNetlifyからスポンサー料金を受け取る
一方でAstroの開発チームはNetlifyから毎月1万2500ドル(1ドル150円換算で187万5000円)のスポンサー料金を受け取る予定であることを発表しています。
Webサイトのためのフレームワークの分野も進化や変化が速く、競合も多くなっているため、積極的な投資を続けて開発を継続していかなければ取り残されてしまいます。Astroは今回の提携によって、より速く進化し、発展するための資金を手に入れたと言えそうです。
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