DHH氏によるコンテナデプロイ自動化ツール「Kamal 1.0」正式リリース。ベアメタルや仮想マシンに自動デプロイ、ゼロダウンタイムのアプリ更新も可能

2023年10月10日

Ruby on Railsの作者として知られるDavid Heinemeier Hasson(DHH)氏は、Dockerコンテナに対応したアプリケーションのデプロイ自動化ツール「Kamal 1.0」をリリースしました。

Kamalはアプリケーション(群)の構成とデプロイ先のサーバ(群)のIPアドレスなどの基本的な情報を設定すると、あとは仮想マシンやベアメタルサーバ、クラウドのサーバインスタンスなどにDocker環境の構築からアプリのデプロイ、トラフィックの切り替えまでを自動的に行ってくれる、デプロイ自動化ツールです。

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Docker環境も自動構築、アプリを自動デプロイ

Kamalの実行に必要なのは、デプロイの対象となるアプリケーション群のDockerfileとデプロイ先のサーバ群、そしてKamalの設定ファイルです。

Kamalの設定ファイルに、アプリケーションのデプロイ先となるサーバのIPアドレス、Dockerfileの情報、アプリケーションの動作に必要なシークレットの情報(環境変数名など)、データベースをデプロイする際のデータベーススキーマを設定するSQLファイルの情報などを書き込みます。

Kamalによるデプロイを実行すると、デプロイ先のサーバにSSHで接続し、Docker環境がインストールされていなければ自動的にDocker環境を構築してくれます。

続いてDockerfileを用いてアプリケーションのビルドを実行し、生成されたコンテナイメージをレジストリにプッシュ、デプロイ先のサーバからコンテナイメージをプルしてアプリケーションをデプロイ、シークレット情報などをセットしてアプリケーションを起動します。

動的リバースプロキシであるTraefikを利用してアプリケーションのリクエストによる動作確認をし、OKであればアプリケーションが外部とのやりとりを開始します。

ゼロダウンタイムでのアップデートも実現

Traefikは、アプリケーションの新バージョンをデプロイする場合には、古いバージョンのアプリとのトラフィックの切り替えも行います。

新しいバージョンのアプリケーションへトラフィックが切り替わった後、古いバージョンのコンテナイメージは自動的に破棄されます。

このようにKamalはさまざまなサーバ環境に対して簡単かつ自動的にアプリケーションをデプロイ可能なだけでなく、ゼロダウンタイムでのアプリケーションのアップデートも可能にしてくれます。

Kamalの公式サイトでは、Kamalの特長が次のように説明されています。

Kamal offers zero-downtime deploys, rolling restarts, asset bridging, remote builds, accessory service management, and everything else you need to deploy and manage your web app in production with Docker. Originally built for Rails apps, Kamal will work with any type of web app that can be containerized.

Kamalは、ゼロダウンタイムでのデプロイ、ローリング再起動、アセットブリッジング、リモートビルド、アクセサリサービス管理など、Dockerを使った本番環境におけるWebアプリケーションのデプロイと管理に必要なすべてを提供します。Kamalは元々Railsアプリケーション用に開発されましたが、コンテナ化可能なあらゆるタイプのWebアプリに対応しています。

Kubernetesと比べてシンプルなDocker環境を実現するKamal

DHH氏らしく、kamalはRubyで開発されています。開発当初は「MRSK」という名称でしたが、最近になってKamalという名称に変わりました。

Kamalの名称は、古代のアラブ人水夫が北極星を基に航路を確認するために用いた、木片とそこから伸びる結び目の付いたロープというシンプルな道具にちなんだと説明されています。

この名称変更は、高度に複雑化したコンテナ環境を実現し、ギリシャ語で水先案内人という意味を持つKubernetesと、シンプルで自動化されたDocker環境を実現するKamalとの対比を強く意識した結果なのだと思われます。

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Junichi Niino(jniino)
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