[速報]10年にわたる著作権訴訟でGoogleがオラクルに勝訴、米連邦最高裁判所で判決。Java SEのコードのコピーはフェアユースの範囲

2021年4月6日

オラクルがGoogleに対して、Android OSがJavaの著作権を侵害しているとして訴えていた裁判で、米連邦最高裁判所はGoogleが著作権侵害をしていないとの判断を示し、Googleが勝訴しました。

以下は米連邦最高裁判所の動向を伝えているSCOTUSblogのツイートです。

(速報:大手IT企業による著作権をめぐる重大な争いにおいて、米連邦最高裁判所(SCOTUS:Supreme Court Of The United States)はGoogleを支持し、GoogleがAndroid OSで行ったコードの再利用において著作権侵害を犯していないことを認めました。このコードはオラクルのJava SEプラットフォーム由来のものでした)

(裁判所は、Googleによるコードの再利用が著作権法に基づく「フェアユース」であると判断しました。Breyer判事が意見を述べ、Sotomayor判事、Kagan判事、Gorsuch判事、Kavanaugh判事も賛同しました。Thomas判事は反対意見を述べ、Alito判事がそれに同意しました。Barret判事は意見しませんでした)

GoogleによるAPIのコードのコピーはフェアユースの範囲である

今回の焦点は、GoogleがAndroid OSの開発においてJava APIのコードをコピーしたことが、フェアユースの範囲内であるかどうか、でした。

下記は米連邦裁判所が公開した判決のシラバス(PDF)から、判決の主旨に当たる部分を引用し、翻訳したものです。

fig

Google copied roughly 11,500 lines of code from the Java SE program. The copied lines are part of a tool called an Application Programming Interface (API). An API allows programmers to call upon prewritten computing tasks for use in their own programs. Over the course of protracted litigation, the lower courts have considered

Googleは、Java SEプログラムから約1万1500行のコードをコピーした。コピーされた行は、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)と呼ばれるツールの一部である。APIは、プログラマーが自分のプログラムで使用するために、あらかじめ記述された演算処理の呼び出しを可能にするものである。長期にわたる訴訟の過程で、下級裁判所は以下の点を検討してきた。

(1) whether Java SE’s owner could copyright the copied lines from the API, and (2) if so, whether Google’s copying constituted a permissible “fair use” of that material freeing Google from copyright liability.

(1) Java SEの所有者がAPIからコピーされた行に著作権を有するかどうか、(2) 著作権を有する場合、Googleによるコピーがその素材で許容される「フェアユース」を構成し、Googleが著作権責任から解放されるかどうか。

In the proceedings below, the Federal Circuit held that the copied lines are copyrightable.

以下の手続きにより、連邦巡回控訴裁判所は、コピーされた行が著作権を有すると判断した。

After a jury then found for Google on fair use, the Federal Circuit reversed, concluding that Google’s copying was not a fair use as a matter of law.

陪審員がフェアユースについてGoogleを支持した後、連邦巡回控訴裁はこれを覆し、コピーされた行は法律上の著作権があると結論づけた。

Prior to remand for a trial on damages, the Court agreed to review the Federal Circuit’s determinations as to both copyrightability and fair use.

損害賠償に関する裁判のための再審理に先立ち裁判所は、著作権性とフェアユースに関する連邦巡回控訴裁の判断を見直すことに同意した。

Held: Google’s copying of the Java SE API, which included only those lines of code that were needed to allow programmers to put their accrued talents to work in a new and transformative program, was a fair use of that material as a matter of law.

判断:GoogleがJava SE APIをコピーしたことは、プログラマーが自分の才能を生かして新しいプログラムを開発するために必要なコードのみを含んでおり、法律上、その素材におけるフェアユースにあたる。

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