Docker DesktopのコマンドラインからAzureへコンテナのデプロイなどシームレスに操作可能に。マイクロソフトとDockerが提携強化で

2020年6月2日

マイクロソフトとDocker社は提携強化を発表。Docker環境をWindows上に構築するDocker DesktopがMicrosoft Azureとの統合度を高め、Docker Desktopのコマンドラインから簡単にコンテナをAzureへデプロイ、実行できる機能を発表しました

Docker Desktopは、WindowsやMacのローカルマシンへ簡単にDockerやKubernetesを導入し、開発環境として利用できるツール。

ただし現在のところ、Docker Desktopを用いてローカルマシンで開発したコンテナ化されたアプリケーションをクラウドへデプロイしテストなどを行うには、クラウド側の環境を別途設定し、クラウドへデプロイする仕組みを別途用意してそこへデプロイする、といった手順が求められます。

今回、両社の提携強化によって実現される新機能は、ローカルマシンで開発したアプリケーションのコンテナをDocker Desktopのコマンドラインから直接Microsoft Azureのコンテナ環境であるAzure Container Instanceへデプロイし、実行できるというものです。

具体的には、下記のデモ画面にあるように、「docker context」コマンドを用いてコンテキストをあらかじめ用意しておいたAzure用のものに切り替えると、それ以降の操作は自動的にAzure Container Instanceに対する操作となり、デプロイ、状態参照などがDocker Desktopからシームレスに行えるようになります。

fig docker contextコマンドでAzure環境へコンテキストを切り替える。その後、docker runを実行すると、それまでコンテナが1つも実行されていなかったAzure上で、コンテナが実行されたことが分かる

docker contextコマンドでまたコンテキストをローカルマシンに切り替えれば、以後の操作はローカルマシンに対するものとなります。

Docker CEOのScott Johnston氏は、5月28日に行われたオンラインイベント「dockercon 2020」でこの新機能を紹介。「すでに親しんでいるDockerコマンドラインをそのまま使ってクラウドへデプロイできる。複雑なものを目にすることなく、クラウド固有のAPIやセキュリティやユーザー、コンピュートやネットワーク、ストレージなどのプロビジョニングも不要で、ComposeファイルやDockerイメージをインフラに合わせて構成しなおすこともない。アプリケーション開発チームは生産性を向上させ、アイデアをコードにしてクラウドへデプロイすることを迅速に繰り返せるようになる」と説明しました。

fig

Docker Desktopはクラウド連携を強化、Docker Hubはコラボレーション強化へ

Docker社は2019年11月に、それまで注力していたエンタープライズ向けの製品群をすべてMirantis社へ売却し、以後はデベロッパー向けのツールに注力することを表明しました。

参考:Docker社、今後はDocker Desktopなどデベロッパー向けツールに注力。エンタープライズ向け製品群はMirantisへ売却と発表

その新戦略の核となるツールがデベロッパーにとってフロントエンドツールとなるDocker Desktopと、開発したコンテナのリポジトリとなるDocker Hubです。

参考:Docker社が新戦略を明らかに。Docker Desktopの拡張によってコンテナ開発を容易に、Docker Hubを開発エコシステムの中核にすると

Docker Desktopを用いて開発されたアプリケーションは最終的にテストや本番環境のためにクラウドへデプロイされることが必須であることから、今後もDocker Desktopはさまざまなクラウドとの連係が強化されていくことが予想されます。

一方のDocker Hubは、開発チームにとってコードを共有するリポジトリがGitHubであるように、開発環境や本番環境、アプリケーションなどのコンテナイメージを共有するリポジトリとして機能します。そのため、GitHubが開発チームのためのコラボレーションプラットフォームへと進化し続けているのと同じように、Docker Hubも開発チームのためのコラボレーションプラットフォームへと機能強化されていくと見られます。

AWSとも連携可能に

2020年7月、Docker DesktopはAWSのコンテナ環境であるAmazon ECSとの連係も実現されました。

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Junichi Niino(jniino)
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