Google、オラクル、HPなどが、RISCプロセッサのオープンな命令セットを開発する「RISC-V」参加へ

2016年1月4日

ARM並の省電力で動作するオープンで新しいRISCプロセッサ用命令セットの開発を目指す団体「RISC-V」(リスクファイブ)に、Google、オラクル、ヒューレット・パッカード・エンタープライズなどが参加することが、米EE Timesで報じられています

fig RISC-V

まだRISC-Vからの正式発表は行われていませんが、RISC-Vの公式ツイッターアカウントがEE Timesの記事を紹介しています。

また、1月5日に行われるイベント「3rd RISC-V Workshop」は、オラクルがホストとして会場を提供し、アジェンダの中にGoogleやヒューレット・パッカード・エンタープライズなどのセッションがあることが確認できます。おそらくこのイベントで、これらの企業の参加が発表されるものと予想されます。

プロセッサのオープン化は進むか?

RISC-Vはカリフォルニア大学バークレイ校のコンピュータサイエンス科が開始したプロジェクトで、創立メンバーにはRISCプロセッサの基礎を築いた計算機科学者のデイビッド・パターソン博士らがいます。パターソン博士が主導して開発した「バークレイRISC」は、その後サン・マイクロシステムズが「SPARCプロセッサ」として商用化しました。

RISC-Vは当初は教育に使うための命令セットとして始まりましたが、現在ではRISV-V Foundationの下で商業用プロセッサの命令セットの開発を目指しています。

RISC-Vの目的は、完全にオープンで自由に使える命令セットアーキテクチャの開発です。命令セットはBSDオープンソースでライセンスされます。

この命令セットをx86やARMの実行速度と比較した場合、実装に依存するとの断り書きを加えつつも「We believe there are no fundamental reasons that a RISC-V implementation should be less efficient than x86 or ARM」(RISV-Vの実装がx86やARMよりも非効率になるだろうという根本的な理由があるとは思えない)とし、電力効率においてもARMプロセッサに劣らないものが実現できるとFAQで説明されています。

プロセッサのオープン化は進むか?

オープンなプロセッサの開発は、POWERプロセッサをベースにし、IBM、Google、NVIDIA、Mellanox、Canonicalなどが参加する「OpenPOWER」や「OpenRISC」などがあります。

GoogleはOpenPOWERへも参加しており、x86以外への関心を絶やさないように動いているように見えます。ヒューレット・パッカード・エンタープライズはかつてPA-RISCプロセッサを開発し、現在ではインテルと共同開発したItaniumをPA-RISCの後継として抱えています。オラクルはサン・マイクロシステムズを買収し、現在でもRISCプロセッサの代表的存在と言えるSPARCを作り続けています。

現時点でこれらのベンダがRISC-Vへの参加を表明したことは、今後のRISCプロセッサの動向を見る上で興味深い動きだと言えるでしょう。

OSやミドルウェア、クラウド基盤ソフトウェアなど、ソフトウェアの分野ではオープンソース化が進むなかで、プロセッサの分野は企業独自のアーキテクチャが主流です。果たしてこの分野でのオープン化は進んでいくのでしょうか?

Tags: サーバ ハードウェア Google HPE Oracle

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