英国政府、新ポータルGov.ukをクラウド、アジャイル、Rubyで開発。ソースはGithubで公開
クラウド上でRubyを使って開発し、成果物はオープンソースとして公開。開発プロセスにはアジャイル開発を採用し、毎日スタンドアップミーティングを実施。まるでベンチャー企業が新サービスを開発するようなスタイルを採用しているのが、英国政府のポータル「Gov.uk」の開発チーム。
Gov.ukは、英国政府の情報とサービスを利用するためのポータルサイトとして開発が進んでおり、現在β版が公開されています。
グーグルのプロジェクトのようにGov.ukは作られている
Gov.ukがどのように開発されているのか、ブログGovernment Digital Serviceにポストされたエントリ「Introducing the beta of GOV.UK」には、次のように記されています。
We’re using open software and tools as much as possible, and developing in the open. The site is hosted in the cloud.
私たちはオープンなソフトウェアとツールを可能な限り利用しており、オープンに開発しています。サイトはクラウドでホストされています。
Our processes are iterative and agile, we have daily stand-ups and our walls are covered in whiteboards and post-it notes. Which is possibly just a lot of jargon to you. What it means is – we’re building GOV.UK the way Google build Google and Amazon build Amazon.
私たちのプロセスは反復型でアジャイルであり、毎日のスタンドアップミーティングをし、壁のホワイトボードはポストイットが貼られています。この説明はまるで専門用語のかたまりに思えるかもしれませんが、つまり私たちはグーグルがGoogleを作るように、アマゾンがAmazonを作るようにしてGov.ukを開発しているということなのです。
政府のサービスでβ版が公開されるというのも、従来のお役所仕事らしくないところです(その前のα版も公開されていたようです)し、オライリーの記事「With GOV.UK, British government redefines the online government platform」によると、ほとんどのアプリケーションはRubyで書かれており、データベースにはMySQLとMongoDB、クラウドにはAmazonが使われているようです。
そしてGov.ukのコードはgithubで公開されています。
開発チームのブログでは、β版でのユーザーの振る舞いや質問などのフィードバックを基に、イテレーションを回しているとのこと。
英国政府は以前からプロプライエタリなソフトウェアと同じようにオープンソースの活用を推進していました。このプロジェクトは、ソフトウェアの選択だけでなく開発スタイルまでオープンソースソフトウェア的なものを積極的に取り入れていることが分かります。
前述のブログでは「グーグルがGoogleを作るように、アマゾンがAmazonを作るようにしてGov.ukを開発している」と説明されていましたが、FacebookもTwitterもソーシャルゲームも、人気のあるサービスはほとんどが、開発を短いサイクルで回して、つねに利用者のフィードバックをそこに反映していくという手法で作られていますし、成果物をオープンソースにして周囲の開発者を巻き込んでいくことで、より早い革新を目論むこともよく行われています。
政府も企業も、よりユーザーにとって使いやすいサービスを作る手法に違いはありません。それを政府のプロジェクトで行っている点で、Gov.ukの開発プロジェクトは注目に値するものです。ぜひ日本でもこれから政府ポータルを作ることがあれば(作りますよね?)参考にしてほしいところです。
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