アジャイル開発手法でクラウドを作るHerokuのやり方とは

2011年11月7日

Amazonクラウド上でPaaSを提供しているHerokuのエンジニアCraig Kerstiens氏が、Heroku社内でのソフトウェア開発がどのように行われているのかを紹介した記事「How Heroku Works - Teams and Tools」を、自身のブログに掲載しています。

How Heroku Works - Teams and Tools - Craig Kerstiens

全体の運営をアジャイルにしつつ、小さな独立したチームが独自のツールを使い、頻繁なコミュニケーションの下で開発を進めるのがHerokuのやり方のようです。記事からポイントを引用しつつ、先進的な例の1つとして見てみましょう。

チーム、コミュニケーション、コラボレーション

記事の冒頭で、チームがAPIやデータ規約によって構成されていることが説明されます。

Heroku is a largely agile company, we work in primarily small teams that talk via api and data contracts.

Herokuはおおむねアジャイルな企業であり、基本的にはAPIとデータ規約を通して連携する小さなチームで業務を行っている。

それぞれのチームは基本的に独立した存在のように運営されており、チーム内のコミュニケーション方法はチームにまかされているとのことです。また、それぞれのチームをつなぐ手法はスクラム的なものだとのこと。

For most teams this involves a weekly planning meeting earlier in the week. In such a meeting teams may conduct a retrospective, opportunities to improve the process the coming week, and of course plan tasks for the coming week.

ほとんどのチームが、週のアタマに行われるウィークリープランニングミーティングに出席します。そこでは、ふりかえりと今週の改善事項や、当然ながら作業計画などが話し合われます。

作業計画はその作業の締め切り(デッドライン)を示すためのものではなく、むしろそれぞれのチームが何をしているのかを示すためのものであるとのこと。

各チームはPivotal TrackerScrumyあるいはメールなどそれぞれのツールを使ってタスク管理をします。

Most teams do these daily as quick status stand-ups of what was worked on the day before and whats to be worked on the next day.

ほとんどのチームが毎日スタンドアップミーティングを行い、これまでの作業内容と翌日の予定について、手短に状況を共有しています。

チーム内だけでなく、共同作業しているさまざまなエンジニア同士が必要なときにホワイトボードやPCの画面を使ってミーティングを行うとのこと。リモートで作業しているエンジニアとは、Skypeやtypewith.meを使って共同作業をしているとのことです。

もちろん会社としての全体ミーティングも毎週あり、そこでは現在起きていること、エンジニアにとって会社の営業状況を聞くことになります。

Kerstiens氏はHerokuの開発の特徴を次の4つのポイントでまとめています。

  • Small teams that talk across defined API’s and data contracts
    APIとデータ規約を通じて連絡し合う小さなチームがある
  • Teams using the tool that they believe is best for the job
    チームごとに仕事に最良のツールを選んで使っている
  • Frequent asynchronous communication
    頻繁にいつでもコミュニケーションをとる
  • Collaboration (including for remote employees)
    コラボレーション(リモートの従業員も含む)

アジャイル開発の関連記事

Herokuを買収したセールスフォース・ドットコムもアジャイル開発手法でサービスを開発しています。

大きなソフトウェアを小さなチームに分割して取り組み、チームの中は独自のツールやルールを認めている点は、マイクロソフトでも行われている開発方法でした。

クラウド時代のサービス開発には、やはりアジャイル開発が欠かせないようです。

スクラムやアジャイル開発をもっと知りたいという方は、以下の記事をどうぞ。

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