ブログがオンラインメディアのアーキテクチャに与えた影響

2009年3月13日

オンラインメディアはアーキテクチャを考える必要があるという話を以前のエントリ「メディアにもアーキテクチャがある。だからアーキテクトが必要だ」で書きましたが、現在では、実はゼロからメディアのアーキテクチャを考える必要はほとんどないんですね。

ソフトウェアでは、よく知られているアーキテクチャに「MVCモデル」というのがあります。そのアーキテクチャを実装するフレームワーク、つまり道具もたくさんあって、例えば「Ruby on Rails」などが有名ですが、だれでもちゃちゃっとその道具を使えばアーキテクチャに沿ってアプリケーションができあがります。

オンラインメディアはどうでしょう? よく知られたアーキテクチャや道具はあるのでしょうか? あると思います。

それがブログです。

ブログならおおむね、読者が迷ったりしないナビゲーションが用意されていて、インデックスページも揃っているし、他サイトとの連携はトラックバックで、読者とのコミュニケーションは記事ごとのコメント欄で行う、というアーキテクチャがほぼできあがっています。これに乗ればメディアはすぐに作れるシンプルですぐれたアーキテクチャです。しかもMovable TypeやWordPressといった道具も揃っています。

ブログ登場以前には、オンラインメディアにとって一般化されてよく知られたアーキテクチャというのはなくて、みんなそれぞれにWebサイトを作りこむことが一般的でした。

そこへブログという定番アーキテクチャが登場し、メディアを作る人はそのアーキテクチャと道具を上手に使いこなすことで、コンテンツに注力しやすい環境ができました。

これでオンラインメディアへのハードルがぐっと下がって、TechCrunchやGizmodoに代表されるようなブログメディアブームと呼ばれるような現象も起きました。僕もこのブログのアーキテクチャを基に、それをカスタマイズすることでメディアを立ち上げました。ありがたいことです。

オンラインメディアを立ち上げて運営してきた僕の経験からいえば、先日レビュー記事で紹介したMovableType 4.2WordPress 2.7は、オンラインメディアのフレームワークとして十分な拡張性や機能を備えています。だからこれからメディアを作るのであれば、こうしたCMSからアーキテクチャとフレームワークを借りて立ち上げるのが賢いやり方ではないかと思うのです。プロフェッショナルなメディアとして展開するなら、多少のカスタマイズは当然必要ですけれど。

そしてもちろん、アーキテクチャにはもっともっと広大な可能性が残されていていろんなチャレンジが可能ですし、それに挑戦することもとても大事なことなのですが、それはまた別の機会に。

Tags: 編集後記 メディアの未来

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Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
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