Amazonクラウドでパッケージソフトのトライアル、というマーケティングはどうかな

2009年9月2日

Amazon EC2の登場で、いつの間にかパッケージソフトウェアの時間課金というビジネスモデルが広まろうとしています。

Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) Running IBM

例えば、データベースとしてOracleを利用する場合、Amazon EC2ではあらかじめインストール済みのイメージが用意されていて、それをインスタンスとして起動すれば1時間あたり数ドル程度の料金で利用できます。IBMのソフトウェアも同様に、WebSphereやDB2などをインストール済みのイメージが用意されており、1時間数ドル程度で利用できます。

まず最初にラインセンス料として数万円から数百万円を支払う必要があった高価なソフトウェアが、Amazon EC2では数ドルから利用できるようになっているのです。

この方式では長期間利用する場合にはライセンスを買った方が安上がりになりますから、何年もの継続利用が見込まれる実運用で時間課金が使われることはあまりないかもしれません。

しかし試しに使ってみる評価してみる、という用途には、これほど適した環境はありません。Amazon EC2なら評価用にハードウェアを用意する必要もなく、面倒なインストールも不要でソフトウェアが試せるようになります。さらに、先日発表されたAmazon Virtual Private Cloudを併用すれば、自社のデータセンター内でさまざまなソフトウェアを評価できるラボ機能が初期投資なしで追加されたようなものです。

いままでパッケージソフトウェアの評価といえば、手元にマシンを用意し、期間や機能を制限した評価版をダウンロードして行うしか方法がありませんでした。今後はもっと手軽にAmazon EC2を利用して行う方法が好まれるのではないでしょうか?

これはソフトウェアベンダにとっても都合のいいことです。多少なりともあらたな収入源が増えると同時に、いままでよりずっと簡単にソフトウェアを評価してもらうことが可能になるのですから。

IBMやOracleのソフトウェアがAmazon EC2で時間課金制になっているのは、AmazonとIBMやOracleがパートナーシップを結んでいるためです。Amazonは勝手にパッケージソフトウェアのイメージを作って課金するわけには行きません。今後さまざまなソフトウェアベンダがAmazonと提携し、あらかじめインストール済みのイメージの提供と課金料金の設定を行うようになるのではないでしょうか。

そして例えば、ソフトウェアベンダが見込み客に対して、Amazon EC2を使って自社のソフトウェアを利用する場合には一定期間その課金を肩代わりしてくれる無料トライアルキャンペーン、みたいなものも登場するかもしれませんね。

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Tags: クラウド

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Junichi Niino(jniino)
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