マイクロソフトの新しいレンダリングエンジン「Edge」、新ブラウザ「Project Spartan」「次期IE」両方のデフォルトに

2015年1月27日

マイクロソフトは1月22日、Windows 10に搭載予定の新しいWebブラウザ「Project Spartan」の存在を明らかにし、その概要を説明しました。

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Project Spartanは、Internet Explorerとは別のWebブラウザとして開発されおり、Internet Explorer用に開発されてきたレンダリングエンジンの「Trident」とは異なる、新しいレンダリングエンジン「Edge」を搭載する模様。Windows 10にはInternet Explorerのおそらく次期バージョンも搭載するようです。

追記(2015/1/27):次期Internet ExplorerをInternet Explorer 11と間違えていたため、表記を改めました。それに合わせてタイトルも修正しました。

Project Spartanと次期Internet Explorer、そして新レンダリングエンジンのEdgeについて、マイクロソフトがIE Blogにポストした記事「Project Spartan and the Windows 10 January Preview Build - IEBlog」で解説しています。

この記事などを基に、現在の情報をまとめてみました。

Project Spartanと次期Internet Exploere

Project Spartanは、先日の記事「[速報]マイクロソフトの新ブラウザ「Project Spartan」発表。新レンダリングエンジン、Webページの共有機能など」で紹介したように、Internet Explorerとは異なる新しいユーザー体験を提供する機能を備えています。

新機能として、Webページへの書き込み(アノテーション)、共有、オフラインにも対応したリーディングモードなど、どちらかといえばコンシューマやモバイル向けにフォーカスしているように見えます。

Project Spartanが搭載する新しいレンダリングエンジン「Edge」は、当然ながらいわゆるモダンWebブラウザの機能にフォーカスしたものです。ただしこのProject Spartanは過去との互換性のため、Edgeだけでなく従来のIE用レンダリングエンジンも利用すると説明されています。

Spartan provides compatibility with the millions of existing enterprise web sites designed for Internet Explorer. To achieve this, Spartan loads the IE11 engine for legacy enterprise web sites when needed, while using the new rendering engine for modern web sites.

Spartanは数百万の既存のInternet Explorer向けエンタープライズWebサイトとの互換性も提供する。そのために、SpartanはレガシーエンタープライズWebサイトで必要なときにはIE11エンジンをロードする。

Windows 10にはInternet Explorerの次期バージョンも搭載されるようですが、このInternet Explorerも同様に2つのレンダリングエンジンが含まれるとのこと。そして、SpartanもInternet ExplorerのいずれもEdgeがデフォルトのレンダリングエンジンになるとのことです。

Our new rendering engine will be the default engine for Windows 10, Spartan, and Internet Explorer.

新しいレンダリングエンジンは、Windows 10、Spartan、Internet Explorerのデフォルトレンダリングエンジンになる予定だ。

Windows 7、Windows 8.1用のInternet Explorer 11では、(当然ながら)Edgeレンダリングエンジンは提供されないことを図が示しています。Spartan(およびEdge)は後述するようにUniversal Appsとなり、Windows 10でのみ実行可能となるのでしょう。

Project SpartanはUniversal Appsで提供

Project Spartanは、Windows 10がサポートするすべてのデバイスに対応すると説明されています。つまりデスクトップ版PCだけでなく、タブレットもスマートフォンもカバーするのです。

Spartan is a single browser designed to work great across the entire Windows 10 device family - from keyboard and mouse on the Windows 10 desktop to touch, gestures, voice, controllers and sensors.

SprtanはWindows 10デバイスファミリーのどれでも良好に動作するように設計されている。デスクトップ版Windows 10のキーボード、マウスから、タッチ、ジェスチャー、ボイス、コントローラ、センサーまでだ。

これはつまり、SpartanがUniversal Windows Appsという新しい仕組みで開発、提供されることを示しているようです。Universal Windows Appsとは、昨年4月にマイクロソフトが発表した新しいアプリケーションの形態で、1つのバイナリでさまざまなフォームファクタのデバイスをサポートするというもの。

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関連記事:[速報]米マイクロソフト「ユニバーサルWindows apps」発表。1つの実行ファイルがWindows/Windowsタブレット/Windows Phoneで動作。将来的にはXBOXにも対応。Build 2014

これはGoogleのChromeがスマートフォン、タブレット、Windows、MacOS Xまで対応するのに似ています(ただしChromeは複数のOSに対応することからバイナリが分かれています)。マイクロソフトは、モバイルからデスクトップまでを1つのブラウザとレンダリングエンジンでカバーすることで、アプリケーションプラットフォームとして魅力あるものにしたいと考えているのではないでしょうか。

マイクロソフトがProject Spartan、Edgeという新しいWebブラウザとレンダリングエンジンに取り組んでいるのは、こうしたクロスデバイスへの取り組みが、さまざまな過去のしがらみを引きずったInternet ExplorerとTridentでは難しかったからというのが大きな理由の1つなのではないかと推察されます(同様に、Windows 7、Windows 8からの無償アップを提供するというWindows 10の戦略にも、過去のバージョンのWindowsによるしがらみをWindows 10リリースのタイミングで可能な限りで巻き取ってしまいたいたというマイクロソフトの考えが見えるように思います)。

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Junichi Niino(jniino)
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