マウスやGUI、イーサネットなどを発明してきたゼロックスが、富士フイルムホールディングス傘下に
米ゼロックス(Xerox)といえば一般には普通紙複写機、すなわち多くのオフィスで使われているコピー機を開発したことで知られています。
しかしコンピュータマニアにとってのゼロックス、あるいはゼロックスのパロアルト研究所(PARC:Palo Alto Research Center)は、1970年代にマウス、GUI、イーサネット、そしてオブジェクト指向言語のSmalltalkなど、現在のコンピュータに多大な影響を与えたさまざまな技術を開発した組織でした。
そのゼロックスが日本の富士フイルムホールディングスに買収され、富士ゼロックスと経営統合されることが2018年1月31日付で発表されました。ゼロックスの社名は「富士ゼロックス」に変更され、「新富士ゼロックス」となる従来の富士ゼロックスの100%子会社になります。
もともとの富士ゼロックスは、富士フイルムホールディングスとゼロックスが資本を出し合って1962年に創立した企業です。両社は、富士ゼロックスが日本を含むアジア・太平洋地域で事業展開をし、欧米などそれ以外の地域はゼロックスが事業を行うといった形で市場を分け合ってきました。しかし富士ゼロックスにとってこの分担制度は、自社で自由に世界進出ができないという制限にもなっていました。
発表によると、経営統合後の富士ゼロックスは売り上げで世界最大規模のドキュメントソリューションカンパニーとなり、ワールドワイドで一貫した経営戦略に基づくオペレーションを展開することで、事業成長のさらなる加速と顧客への新たな価値提供を実現していくとのことです。
現時点で、あるいはマウスやGUIといった新技術が開発された1970年代や1980年代においても、IT市場においてゼロックスの存在感は大きくなく、そのため今回の経営統合もIT市場に与えるインパクトという側面からは、それほど大きなものはありません。
しかし現在のあらゆるコンピュータに大きな影響を与え、MacintoshやWindowsが登場するきっかけのひとつにもなった名門企業が日本企業の傘下になったというニュースは、コンピュータマニアのひとりとしては感慨深いものがあります。
ちなみにPARCは2002年にゼロックスの100%子会社となり現在も存在してます。そのため、今回の経営統合によって富士ゼロックス傘下になったものと見られます。
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