分散ストレージの仕組みの違いが、ハイパーコンバージド製品を見極める重要ポイント[PR]

2018年1月9日

x86ベースの汎用サーバ上で仮想化サーバと仮想化ストレージを統合することで構成される「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ」。短期間での導入実現や高いスケーラビリティ、シンプルな運用などの特徴から、サーバ分野で注目を集め、その市場を急速に拡大しています。

そのハイパーコンバージドインフラストラクチャ市場で大きな存在感を持つDell EMCは、複数の製品ライン「VxRail」「XCシリーズ」「VxRack」の3種類を展開しています。

Dell EMCのハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品

特に「VxRail」は基盤ソフトウェアに仮想化基盤として実績の高いVMwareのvSphereとvSANで構成され、一方の「XCシリーズ」はハイパーコンバージドインフラストラクチャとして高いシェアを持つNutanixの基盤ソフトウェアで構成されていることから、注目度が高くなっています。

この2つの製品ラインは数台のサーバからスモールスタート可能で、ビジネスの成長に合わせてスケールできる点も特徴です。

では、同じハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品としてのこの2つのあいだにはどのような違いがあるのでしょうか?

VxRailとXCシリーズの最大の違いは仮想ストレージの実現方法

VxRailとXCシリーズはいずれもDell EMCのサーバやストレージを用いているため、ハードウェア面での大きな違いはありません。

一方、ソフトウェア的には大きく異なっています。

まず、両者を構成するソフトウェアの種類が異なります。前述のように、VxRailは、仮想化ハイパーバイザにVMwareのvSphereを、仮想化ストレージにはvSANを用いています。

XCシリーズは、基盤ソフトウェアにNutanix AOSを採用。仮想化ハイパーバイザはvSphere、Hyper-V、KVMをベースにしたNutanix AHVの3種類が選択可能で、仮想ストレージはこの仮想化ハイパー上で稼働するコントローラソフトウェアが担います。

その上で両者の最大の違いは、下記の図が示すように、仮想ストレージの実現方法にあります。

VxRailでは仮想ストレージを実現するvSANは、vSphereに統合されています。一方、XCシリーズは、vSphere(あるいは仮想化ハイパーバイザ)の上にストレージコントローラが稼働しています。

VxRailとXCシリーズにおけるストレージ仮想化の仕組みの違い

VxRailはこのvSphereとvSANが統合されていることで、効率よくシンプルな仮想ストレージの運用管理を実現する一方、vSphereとvSANのバージョンをつねに揃えていく必要があるといった注意点があります。

XCシリーズはvSphereなど仮想化ハイパーバイザとストレージコントローラを別々に運用管理できる柔軟性がある一方、ストレージコントローラがリソースを消費することや、それぞれ個別の管理ツールが存在することなどの注意点があります。

ストレージ性能の出し方にも特徴がある

VxRailとXCシリーズでは、仮想ストレージの実現においてデータとI/Oをどう分散させるか、その手法についても異なる考え方が見られます。

VxRailでは、ストレージへの書き込みと読み込みがつねに、アプケーションが実行されているサーバとは別の複数のサーバに対して分散して行われます。これによりアプリケーションやストレージの負荷が常に分散されます。

XCシリーズでは、ストレージへの書き込みは分散されるものの、オンデマンドでデータをアプリケーションが実行されているサーバに片寄せすることで、基本的にローカルで読み込みが可能となっています。

VxRailとXCシリーズにおけるストレージの特徴の違い

つまりVxRailは、ストレージ処理に対して分散処理を重視することで負荷は複数のサーバに分散させる特徴を持ち、XCシリーズはストレージ処理に対してローカル処理を重視する特徴がある、と言えます。

こうした仕組みの違いから、両者にはそれぞれ得意な負荷のパターンがあると考えられますが、実際のところ、一般の業務アプリケーションやデータベースなど、さまざまなワークロードの7割程度の処理においては、両者の性能差はほぼないというのがDell EMCの見解です。

ただし、大容量の画像や動画などビッグデータ関連の処理においては、データを分散させるための分割処理の負荷やネットワーク帯域などへの負荷が大きくなるため、ローカル処理を重視するXCシリーズの方が適しているとのこと。

VxRailとXCシリーズで、7割のワークロードでは性能差はほぼない

将来、ストレージ性能のボトルネックはソフトウェアへ

一方、今後の技術の発展を考えた場合、NVMeが実装されていくことでネットワークのスループットは大幅に向上し、3D XPointが実装されることでストレージもより高速に、キャッシュも増大するなど、ハードウェア面での性能はさらに向上する見込みです。

するとソフトウェアによるストレージ仮想化で構成されているストレージ性能のボトルネックは、ハードウェアよりもソフトウェア処理の部分に移ってくると予想されます。

このとき、性能的に有利になるのはシンプルなソフトウェア構成であるVxRailだと、Dell EMCは説明しています。

先を見据えたハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品の選択

現時点で、ほぼどんなワークロードにも対応する柔軟性を備えたXCシリーズ、テクノロジの進化を踏まえた将来性を備えたシンプルさを持つVxRail。

VxRailとXCシリーズの2つのハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品をどう選ぶべきかは、ここで説明したような複数の視点を踏まえて検討することで、適切な答えを得られるはずです。

コンバージド インフラストラクチャ ソリューション | Dell EMC Japan

(本記事はDell EMC提供のタイアップ記事です)

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