Arista Neworksがスイッチ製品とOpenStackをネイティブに統合すると発表
ネットワークのスイッチベンダの多くが、Software-Defined Network(SDN)対応のためにOpenFlow対応をこれまで発表してきました。これによってスイッチをOpenFlowコントローラから集中制御できるようになり、ソフトウェアによってネットワークの構成や制御が行えるようになるからです。
NECやブロケード、IBM、ヒューレット・パッカードなど、多くのスイッチベンダがOpenFlow対応スイッチを発表してきました。
サン・マイクロシステムズの創業者の一人だったアンディ・ベクトルシャイム氏が立ち上げた新興スイッチベンダのArista Networksも、すでにOpenFlow対応スイッチを発表していましたが、さらにSoftware-Defined Network対応を進めるためとして、スイッチ内で実行されている同社OSを、OpenStackに統合すると発表しました。
Arista Networks today announced the next phase of its Software Defined Networking (SDN) offerings by integrating Arista EOS™ (Extensible Operating System) natively with OpenStack, the leading open-source cloud provisioning and orchestration system.
Arista Networksは本日、Software Defined Networking対応の次のフェーズとして、Arista EOS(Extensible Operating System)を、オープンソースのクラウドプロビジョニングとオーケストレーションシステムであるOpenStackに、ネイティブに統合することを発表します。
OpenStackのNorthbound APIの存在感が増す
オープンソースのクラウド基盤であるOpenStackには、ネットワークを制御するためのQuantumと呼ばれるAPI群が用意されています。OpenStackからスイッチを制御するには、このQuantumにOpenFlowコントローラをプラグインし、QuantumのAPIからOpenFlowコントローラを操作してOpenFlowプロトコル経由でOpenFlow対応スイッチを制御する、という構成が想定されていました。
Aristaが発表したEOSをOpenStackにネイティブに統合するということは、OpenFlowコントローラなどをプラグインせず、OpenStackのQuantumから直接Aristaのスイッチ群が操作できることになります(おそらくEOS用のプラグインを入れるのでしょう)。
これはAristaがネットワークをコントロールするためのAPI、いわゆる、Northbound APIとしてOpenStackをまず選択したということであり、この分野でOpenStack Quantumの存在感がまた1つ増した、ともいえるでしょう。
参考: SDN/OpenFlowの新しい課題:Northbound APIとは何か?
マーチャントシリコン製スイッチに独自のソフトウェアで差別化
シスコやブロケードなどのスイッチベンダが自社製のASICを用いることで独自の性能と機能のスイッチ製品を展開しているのに対し、Aristaは市場で販売されているネットワークチップ、いわゆるマーチャントシリコンによってスイッチのハードウェアを構成することを主要な戦略としています。多くのサーバベンダがプロセッサやチップセットなど主要な部品をインテルやAMDのようなベンダに依存して市場から調達し、組み立てて自社製品にしているのと同じモデルをネットワーク機器で行おうとしているのです。
参考:ネットワーク機器の劇的な低価格化は進むか。マーチャントシリコンとソフトウェアによる仮想化
そこには、製品と市場が成熟するにつれ、大量生産されるマーチャントシリコンの方が開発製造に多くのリソースがつぎ込めるため、機能も性能もカスタムシリコンを上回るだろうという同社の(すなわちベクトルシャイム氏の)読みがあります。
と同時に、そうして大量生産品を主要な部品として製品を構成するとすれば、競合他社と製品を差別化するためには独自のソフトウェアに付加価値をつけるしかありません。
AristaがOpenFlowに対応し、さらに今回のOpenStackへのネイティブ対応を発表するといったことは、こうした同社のソフトウェアによる差別化戦略がその背景にあることは間違いないでしょう。
あわせて読みたい
国内パブリッククラウド市場、2012年は44.8%増の933億円。2017年には市場規模3倍以上に。IDC Japan
≪前の記事
Windows 8の認定要件が、1366x768から1024x768へ緩和。6月のBUILDカンファレンスで7インチタブレット登場の前兆か