インフォアがローソンソフトウェアに買収提案。オンプレミスERPベンダの淘汰の始まりか

2011年3月15日

ERPベンダの米インフォア・グローバル・ソリューションズが、同じくERPベンダの米ローソンソフトウェアに対して買収提案をしたことが米国のメディアで報じられています。ローソンソフトウェア自身もプレスリリースで買収提案を受けたことを明らかにしています。

Lawson Software, Inc. Confirms Receipt of Unsolicited Proposal from Infor and Golden Gate Capital

インフォアはSAPやオラクルに続くERPベンダで、中堅規模の企業向けERPを主力製品としています。昨年12月に、元オラクル社長のチャールズ・フィリップ氏がCEOに着任したことが話題となり、また昨年夏にはSaaS型のERPである「Infor 24」も発表しています。一方のローソンソフトウェアも中堅規模向けのERPベンダです。

「中規模オンプレミスERPベンダーの淘汰が始まる」との予想

インフォアCEOのチャールズ・フィリップ氏はオラクルで7年間社長を務め、その在任中にオラクルは、ピープルソフト、シーベルシステムズ、ハイペリオン、BEAシステムズ、そしてサン・マイクロシステムズなどを次々と買収。データベースベンダから業務アプリケーションソフトウェアベンダへ、そしてハードウェアも提供する垂直統合ソリューションベンダへと大きく成長しつつ変わっていきました。

フィリップ氏がオラクルでの実績を買われてインフォアCEOに着任したことを考えると、買収による成長戦略が始まったと考えるのが妥当でしょう。

CIO Magazineが先週公開したばかりの記事「2011年に“ホット”になるERPの話題トップ10――分析と予測(後編)|ERPに見るITトレンド最前線 - CIO Online」には、2011年に「中規模オンプレミスERPベンダーの淘汰が始まる」と予想されており、その背景としてSaaS型ERPベンダによって中小の市場が既存のベンダから奪われること、そしてSAPのような大規模ERPベンダーによる中小企業を取り込む努力が実を結ぶ確率が高まることをあげています。

そしてインフォアの名前をあげ、次のように書いています。

インフォアもそうしたベンダーの一社であり、今度の動向は注目に値する。中間市場を相手に年商20億ドルを稼ぐ同ERPベンダーにとって、今年はのるかそるかの1年になる。チャールズ・フィリップス氏の新CEO就任、新製品「Infor ION」の大々的な発表、SAPおよびオラクルという二大巨頭の影からの脱出など、同社を巡る話題には事欠かない。

CIO Magazineの「中規模オンプレミスERPベンダーの淘汰が始まる」との予想は、今回の買収提案によって見事に的中しつつあります。果たして買収が実現するでしょうか? 前述の中堅規模ERPをめぐる背景を考えれば、その可能性は高いでしょう。

Tags: 業務アプリケーション ERP

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Junichi Niino(jniino)
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