Thunderbird 3.0 β1 レビュー ~ オープンソースの定番メーラがタブを搭載して新登場

2009年2月26日

オープンソースの定番メーラがタブを搭載して新登場。GMailへの対応をチェック


Thunderbird 3.0は、Mozilla Foundationのメッセージング製品を担当する子会社として2008年2月にスタートしたMozilla Messagingの、最初のプロダクトになる予定のメールソフトです。

タブ機能、検索バー、新たなスレッド表示、カレンダー機能の統合、そして検索バーを中心にした操作などの新たなユーザーインターフェイスとともに、Gecko 1.9.1を基盤とした高速なJavaScript、すべてのメッセージをSQLiteに格納した強力な検索機能、名前とIDとパスワードだけで済む自動アカウント設定機能(設定情報はISPやMozillaなどが提供)などを備えるとされています。ただし2009年2月にはカレンダー機能の統合は外され、アドオンとなることが決定され、今後も製品版までにいくつかの変更が行われる可能性があります。

Thunderbirdの製品版は、Firefox 3.1がリリースされてから1カ月以上の日を予定しており、現在のところ2009年の5月か6月になりそうです。ここでは、2009年2月時点で公開されているThunderbird 3.0β1(以下、Thunderbird)を紹介していきましょう。

Mozilla Messaging

Thunderbirdは、Windows 2000、XP、Vistaに対応するWindows版、MacOS Xに対応するMac版、そしてLinux版が予定されています。今回はWindows版をWindows XPで実行しました。

まずは基本的な機能としてPOP3、IMAP4、SMTPやそれらに関連する一般的なセキュリティプロトコルなどに対応(ただしPOP befor SMTPには非対応)しています。

figタブ型のインターフェイスを備え、簡単な設定でGMailにも接続できるThunderbired 3.0 (クリックで全体表示)

受信したメールをフォルダで分類したり、スターマークを付けたり、タグ付けするといった機能も備えています。発信元やリンク先を偽装しているようなフィッシング詐欺メールの検出や、スパムメールのフィルタリングを学習する機能によって、無駄なメールを自動的に排除したり警告してくれることで安全で効率的なメールの参照も実現しています。

フォルダへのメール振り分け機能、アドレス帳、複数アカウントの管理など、一般的なメールソフトの機能はすべて備わっていると言っていいでしょう。

さらに、あとから機能を拡張できるアドオン機能は、Thunderbird大きな特徴の1つです。これによってカレンダー機能、Webブラウザ機能、リマインダやToDoリストなど、さまざまな拡張機能を利用することができます。

タブ型のユーザーインターフェイスを採用

Thunderbird 3.0の目玉機能の1つが検索バーを中心にした操作なのですが、まだ実験段階のためβ1では実装されていません。しかしもう1つの大きなユーザーインターフェイスの変更が、タブ型ユーザーインターフェイスの採用です。アカウント、フォルダ、メッセージをタブで開くことができます。

fig

特定のアカウントをタブで開けば、アカウントをすばやく切り替えることができるようになります。また、特定のフォルダをタブで開けば、そのフォルダ内に保存されているメッセージの一覧をタブのクリックで表示できるようになります。またメッセージそれぞれをタブで開くこともできますので、大事なメッセージやあとで読んでおくつもりのメッセージをタブで開いておく、といった使い方もできるでしょう。

figメッセージをタブで開いたところ

ただし、新規メールを作成する際にはいままでと同じように別ウィンドウで作成画面が開きます。これも設定によってタブ化できるとよいのではないでしょうか。

fig新規メッセージは独立したウィンドウが開く

メールの整理はフォルダ、タグ、スター。サーチはインクリメンタルサーチ

メールの整理は、一般的なメールソフトと同様にフォルダで分類する以外に、タグ付けとスターマークで行うことができます。

fig左から、フォルダ、スターマーク、タグ

フォルダは一般的なメールソフトと同様に、ユーザーによって作られたフォルダにメールを振り分けることで整理していく機能です。さらにThunderbirdには、メールの検索結果をフォルダのように見せる「検索フォルダ」機能があります。例えば「特定の送信元」といった条件を検索フォルダに設定しておくと、そのフォルダをクリックしたときには、その条件に合致したメールが振り分けられている仮想的なフォルダとして振る舞ってくれます。

スターマークは、ワンクリックでメールごとにマークをオン、オフできるシンプルな機能です。あとでもういちど内容を読むため、一時的に関連するメールにまとめて付けておく、といったことに使えるでしょう。

タグは、フォルダよりも柔軟にメールを分類できる点が特徴です。あるメールを分類するときに、1通のメールを複数のフォルダに入れることはできませんが(検索フォルダは別にして)、タグは1通のメールにいくつのタグでも付けることができます。タグはデフォルトで「重要」「仕事」「プライベート」など5種類が用意されていますが、自分で新しいタグを作ることも自由にできます。

右上にある検索窓からキーワードを入力すると、デフォルトでは件名と差し出し人名に対してリアルタイムで検索結果を表示するインクリメンタルサーチになっています。目的のメールを探し出す手間と時間を節約することができるでしょう。モードを切り替えれば、同じユーザーインターフェイスのまま本文も検索対象とする全文検索にできます。試した範囲内では全文検索でも比較的す早く結果を表示してくれました。

GMailのIMAP4/POP3にユーザー名だけで簡単対応

Thunderbird 3.0からは、GMailにIMAP4とPOP3の両方で簡単に接続できるようになりました。名前とアカウントを入力するだけで設定終了。あとは受信時にパスワードを入れればメールが参照できます。実装予定の自動アカウント設定機能では、ほかのメールサーバについても同様の形式で設定できるようになるのでしょう。

figGMailのIMAPとPOPの専用設定画面が用意されており、名前とGMailのメールアドレスの入力だけで設定終了。接続時にパスワードを入れればすぐに受信が始まる

POP3で接続した際には、GMailの受信トレイにあるメールをThunderbirdの受信トレイにダウンロードします。その後も新規メールを受信するたびにダウンロードを行います。

一方、IMAP4で接続した際には、GMailの受信トレイの内容がTunderbirdの受信トレイに同期されるだけでなく、GMailで設定したラベルがThunderbird側ではフォルダとして再現されます。当然ながら、ラベルに連動したフォルダをクリックすると、GMail側でラベルによって振り分けたメッセージの一覧が表示されます。迷惑メールや下書きなどGMailにデフォルトで存在するラベルもフォルダとして見えるため、迷惑メールに紛れ込んだメールを探したり、下書きを参照するといったこともThunderbirdからできます。

Thunderbierd 3.0β1で試した範囲では、Thunderbirdから送信したメールはGMailの「送信」に、削除したメールは「ゴミ箱」に自動的に同期されましたが、下書きだけはGMail側に[Gmail/Drafts]といラベルが作成され、そこに振り分けられてしまいました。まだβ版だからかもしれません。

そのほか、GMail側で付けられていたスターマークはThunderbird上でも自動的に反映されます。マークの状態は双方向で同期されるため、Thunderbiredでスターマークを付ければ、GMail側にもそれが反映されます。

GMailアカウントは普通のアカウントと同様にいくつでもThunderbird上で設定できるため、GMailのアカウントを複数保有しているユーザーは、Thunderbirdで統合して管理すると便利かもしれません。

Google Calrenderとの同期、フィードリーダー、ニュースリーダーとしても機能

ここで紹介した以外にもThunderbird 3.0のドキュメントによると、Windows Vistaの検索機能との統合、MacOS Xのアドレス帳との統合、IMAPの高速化、アドレス帳の改良、アドオンマネージャの改良などが行われています。

また、標準でフィードリーダーとニュースリーダーの機能を備えているほか、当初は統合が予定されていたカレンダー機能は、アドオンのLightningを用いることで実現、Google Calendarとの同期も行えます。これらの機能については、また別の機会にレビューしましょう。

参考記事 on the Web

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Junichi Niino(jniino)
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