新しいナチュラルUIデバイスの開発を目指す「Flow」。創業者に狙いを聞く

2015年1月5日

マウスでもトラックバッドでもない、人間にとって自然なユーザーインターフェイスの開発に取り組んでいるのが、Senicというスタートアップです。 従来のコンピュータのユーザーインターフェイス、特に入力に関するデバイスといえば、キーボード、マウス、トラックパッドなどがあり、スマートフォンやタブレットといった新しいコンピュータの登場によってタッチインターフェイスも登場しました。

そしてこれからは、電球やステレオやテレビなどさまざまな機器がコンピュータのように振る舞い、あるいはコンピュータにつながるようになります。すると、こうした新しい機器を制御するのに適切な新しいユーザーインターフェイスや、それに対応したデバイスが求められるようになるはず。Senicの創業者の一人であるTobias Eichenwald氏はそう考え、新しい自然なユーザーインターフェイスとデバイスを作ろうとしています。

同社は現在、クラウドファンディングを通じて「Flow」というデバイスを開発中です。Flowは平べったい円筒形のデバイス。Bluetoothでコンピュータとつながります。例えば、Flowの上を手で横切れば音楽を早送りしたり、手のひらで高さを示すとボリュームを操作する、といったことができると説明されています。

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そのほかにも外側をボリュームのように回したり、トラックパッドのように上板をスワイプして操作するといったこともできます。Flowはプログラマブルなため、音楽だけでなくさまざまなアプリケーションの操作ができるとのこと。

しかし、これまでもマウスに代わる似たような操作デバイスはありました。Flowはどのように新しいのか? Tobias Eichenwald氏に電子会議設備経由でインタビューしました。インタビューには同社の投資元の1つであるインフォテリアに協力をいただきました。

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新しい自然なインターフェイスを作りたい

──── Senicはどんな企業なのですか?

Eichenwald氏 現在4人で、エレクトロニクスのエンジニア、インダストリアルデザイナ、ソフトウェアデベロッパ、そしてプロダクトマネージャの私がいます。

私たちは日々、デジタルツールを使っています。マウスで画面上のメニューを開き、画面上のピクセルを正確に操作しなければなりませんが、こうした操作は容易ではありません。自宅でもそうです。私たちは、フィリップスのHue(スマートフォンで色や明るさを操作できる電球)やオーディオなどをコンピュータから操作できるようになりましたが、こうしたさまざまなコンピュータにつながった機器を、適切かつ正確で自然にコントロールするインターフェイスを作る、これが私たちが「Flow」でやろうとしていることです。

私たちのゴールは新しい世代のユーザーインターフェイスを作りたいということです。例えば、いま目の前のテーブルがユーザーインタフェイスになってスライドの先送りができるとか、会議室の椅子がユーザーインターフェイスになって、いつ誰がここに座るべきか分かるとか。そういった新しい自然なインターフェイスを作りたいのです。

──── Flowを見ると、例えばGriffin TechnologyのPower Mateに似ているように見えます。従来のこうしたデバイスとの違いは?

Eichenwald氏 FlowはよくPowerMateやLeap Motion、Trackpadなどと比較されます。それぞれは素晴らしいデバイスですが、私たちから見れば良いところ、悪いところがあります。

PowerMateはリング状のUIデバイスですが、限られた操作しかできないため(さまざまなデバイスを自然に操作するという)私たちのニーズに合いません。逆にLeap Motionはやりすぎです。Trackpadはマウスと同じようにメニューを開いたりして操作しなければなりません。

私たちのFlowであれば、もっと直感的で、正確な操作ができます。Flowは完全にプログラマブルなデバイスで、どんなアプリケーションをどんな操作で行うかはすべてプログラムによって決められます。

──── ゴールが「自然なユーザーインターフェイスを作る」ことだとすると、開発しようとしているデバイスはFlowだけにとどまらない、ということなのでしょうか?

Eichenwald氏 そうです。いろんなデバイスの可能性がありますが、現在は4人しかいないのでFlowにフォーカスし、プラットフォームとすることに注力しています。

──── 日本ではFlowをいつ入手できるようになりますか?

Eichenwald氏 現在、クラウドファンディングのIndieGogoサイトで資金を集めています。このFlowの出荷を3月に予定しています。そして製品版としては4月から6月のあいだに提供できるようになるでしょう。また、デバイスメーカーのLogitechが興味を持ってくれていて話をしているところです。

Flow from Senic on Vimeo.

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Junichi Niino(jniino)
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