シスコ、ついに独自のSDN製品群をリリース、コンセプトは「Application Centric Infrastructure」

2013年11月12日

米シスコシステムズは先週11月6日(現地時間)、同社のSoftware-Defined Networking戦略に相当する「Application Centric Infrastructure(ACI)」戦略と、それに対応した新製品群を発表しました

戦略の核となる製品「Cisco Application Policy Infrastructure Controller (APIC)」は、ネットワークコントローラとしてネットワーク全体をポリシーに基づいて制御するだけでなく、将来的にはサーバ、ストレージを含むデータセンターのコンピューティングリソースを包括的に制御するという構想が明らかにされています。

すなわちシスコの戦略は、データセンターの制御そのものを自社製品のコントローラで実現することを見据えた野心的なものといえます。

発表に当たり同社はニューヨークでイベントを開催し、CEO ジョン・チェンバース氏が登壇。これまで他社と比べて後れをとっていると見られていたSoftware-Defined Networkingの分野で本格的な巻き返しをアピールしました。

fig イベントの公開動画「Cisco News Conference on Application Centric Infrastructure」から

チェンバース氏は、アプリケーションの重要性が増した今、アプリケーションにフォーカスしたインフラ戦略に立ち戻ると、戦略の意義を示しました。

コントローラはインフラ全体の制御を視野に

Application Centric Infrastructure(ACI)戦略の概略は以下の図のようになります(シスコが公開している図を基に、Publickeyがカスタマイズしたもの)。

fig

中央上部にあるのがCisco Application Policy Infrastructure Controller (APIC)で、アプリケーションごとに対応したネットワークのQoS、セキュリティ要件、ネットワーク構成などをポリシーに落とし込み、それをネットワークインフラへ展開、構成します。

ネットワーク機器に対してはシスコのOnePKやOpenFlowをサポートするほか、エコシステムを構成する協業ベンダの製品なども対応予定。

将来的にはこのコントローラからサーバ、ストレージも一元的に制御することが視野に入っています。

コントローラに対するREST APIも公開し、他のソフトウェアから制御可能にするほか、OpenStackやOpenDaylightとの統合も予定しています。

物理スイッチ、仮想スイッチもリリース

同時にApplication Centric Infrastructure戦略に対応した新スイッチ「Nexus 9000 Series」も発表されました。

fig

プログラマブルなスイッチとなっており、当然のことながらCisco Application Policy Infrastructure Controllerから制御可能です。

VXLANをワイヤスピードで処理でき、レイヤ2もしくはレイヤ3のノンブロッキングポートを最大で10Gbpsでは1152、40Gbpsでは288まで構成可能。5マイクロセカンド以下のレイテンシで最大30Tbpsのノンブロッキング性能を発揮します。

物理スイッチだけでなく、仮想スイッチとして「Cisco Application Virtual Switch」も発表されています。ハイパーバイザ上で稼働するソフトウェアで、Cisco Application Policy Infrastructure Controllerから制御可能。

シスコからSDNへの回答はこれだ

OpenFlowが注目を浴びSoftware-Defined Networkingが話題になっている中で、シスコは終始一貫してOpenFlowを積極的にサポートする姿勢を見せず、Software-Defined Networkingに対する取り組みも、onePKと呼ばれる独自のテクノロジーをリリースしたものの、いまひとつ前向きな姿を示すことはありませんでした。

今回発表されたApplication Centric Infrastructure戦略と製品群は、シスコがOpenFlowやSoftware-Defined Networkingに対してなぜ前向きでなかったのか、その回答だと言えます。

シスコが戦略の中心に据え点は大きく2つ。1つ目は、ネットワークの仮想化よりもさらに抽象度を上げ、ポリシーをベースにしたネットワークの制御です。テナントごとに用意される仮想ネットワークよりもさらに細かい粒度となるアプリケーションごとにポリシーを用意し、制御すべきだというのがシスコの主張でしょう。

2つ目は、コントローラがネットワークだけでなくサーバやストレージまでを含めたデータセンターのコンピューティングリソース全体をカバーしようとしていることです。ポリシーベースの制御であれば、ネットワークだけにとどまるべきでなく、コンピューティングリソース全体へ広がるのは当然の成り行きとも言えます。

そしてこれは、シスコの戦略がネットワーク領域にとどまらず、データセンター全体の制御へ、つまりSoftware-Defined Networkingの領域を超えてSoftware-Defined Data Centerを視野に入れたものだと考えられます。すでにシスコはサーバとしてのUCSシリーズをリリースしており、いずれ今回の戦略はサーバも含む広範囲なものとして再定義されていくのではないでしょうか。

このエントリーをはてなブックマークに追加
follow us in feedly

タグ : Cisco , Software-Defined Network , クラウド , ネットワーク



≫次の記事
破壊的技術に対するシスコの「スピンイン」戦略、あるいはスターエンジニアのつなぎとめ。シスコによるInsieme買収に隠された意味
≪前の記事
HP、無停止サーバのNonStopシリーズにx86プロセッサ採用を発表。NonStop OSとNonStop SQLも移植へ

Loading...

Blogger in Chief

photo of jniino Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。新しいオンラインメディアの可能性を追求しています。
詳しいプロフィール


Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed



Publickey 最新記事 10本

Publickey Topics 最新記事 10本


PR - Books


fig

fig

fig

fig



blog comments powered by Disqus