オバマ政権がクラウド調達によるコスト削減策を開始、日本は「霞が関クラウド」のままでいいのか?

2009年9月28日

The White House - Blog Post - Streaming at 1:00: In the Cloud

米連邦政府がクラウドの調達に大きく踏み出しました。9月15日付けのホワイトハウスのブログにポストされた「The White House - Blog Post - Streaming at 1:00: In the Cloud」で、連邦政府CIOのVivek Kundra氏が次のように書いています。

Today, I am excited to announce that we have launched Apps.gov to help continue the President's initiative to lower the cost of government operations while driving innovation within government. I'll be discussing this in a speech at the NASA Ames Research Center at 1:00 EDT - watch the speech live here [UPDATE: This event has now concluded].
Apps.gov is an online storefront for federal agencies to quickly browse and purchase cloud-based IT services,

本日、大統領が主導する、イノベーションを政府に取り込むことでコスト削減を行うという方針にのっとり、Apps.govの立ち上げを発表することを大変光栄に思います。
Apps.govは、政府機関が迅速にクラウドをベースにしたITサービスを購入するためのオンラインストアです。

Apps.Gov

政府機関がクラウドをベースにしたITサービスをセルフサービスで購入できるポータルサイト「Apps.gov」が発表されました。

このブログをポストした連邦政府CIOのVivek Kundra氏は、オバマ大統領就任の1カ月後、今年の3月に任命された方です。これを読んで分かるとおり、オバマ政権は民間企業が提供するクラウドのサービスを積極的に政府機関内で活用することで、コスト削減を実現しようとしています。

ただし機密情報や重要な情報は、もちろん引き続き政府自身による情報システムで運用されるとのこと。

グーグルが政府専用クラウドに名乗り

Official Google Enterprise Blog: Google Apps and Government

政府によるクラウド調達の動きを見て、さっそくグーグルが政府向けのクラウドサービスを構築する、と名乗りをあげています。「Official Google Enterprise Blog: Google Apps and Government」から引用します。

So we've invested a lot of time in understanding government's needs and how they relate to cloud computing. To help meet those requirements we're taking two important steps:

我々は、政府のニーズとクラウドとをいかに結びつけるか、理解を深めるために多くの時間を費やしてきました。そして、政府の要求に合致するような以下の2つの大きな施策を実施中です。

グーグルがいう2つの施策とは、「FISMA」(Federal Information Security Management Act、連邦政府情報セキュリティ管理規約)への準拠と、一般向けクラウドとは別に政府機関のニーズに合わせて提供される「Dedicated Google cloud for government customers in the US」(米国政府機関専用グーグルクラウド)の構築です。

グーグルに政府向けのクラウドサービスを作らせたら、政府が自前でサービスを構築し運用するよりも圧倒的にコスト効果の高いものになることは間違いないでしょう。しかも政府が率先してクラウドを利用することで、いままでクラウドを利用していなかった一般の民間企業がクラウドに注目し、利用するようになることも期待できます。

そしてそのとき、政府機関向けのクラウドサービスを紹介しているApps.govが、実は民間企業がめぼしいクラウドサービスをさがすためのカタログとしても活用できます。というのも、Apps.govは政府職員のIDを持っていなくても誰でもアクセスできて、サービスの検索もでき、料金も明示されているからです。できないのは購入ボタンを押すことだけで、それ以外は誰でも参照可能になっているのです。

日本では政府が「霞が関クラウド」を構築する方向

一方、日本では官公庁のIT基盤をクラウド化した「霞が関クラウド」を2015年までに整備する、といった自前でクラウドを構築する議論が先行しているようです(参考:総務省|「デジタル日本創生プロジェクト(ICT鳩山プラン)‐骨子‐」について)。

古くなった官公庁の情報基盤を最新のものに刷新するにあたり、クラウドの技術を活用することは悪いことではありませんが、所有より利用、そしてスケーラビリティ重視というクラウドのメリットからいえば、前述のグーグルによる政府向けクラウドの例を出すまでもなく、政府がクラウドを構築することよりも、民間企業のクラウドを活用する方がコスト削減や効率化の効果が高いことは明白でしょう。

日本でも経済産業省および総務省、環境省がエコポイントのシステムにSalesforceを採用し、また経済産業省は今後さらにSalesforceの別の機能を活用したサービスの展開を考えているなど、民間企業のクラウドサービスを取り入れる事例も見られるようになってきました。鳩山政権には、ぜひオバマ政権のいいところを見習ってほしいと思います。

追記:一部表記を直しました。ご指摘感謝です。
霞ヶ関クラウド→霞が関クラウド
総務省がエコポイント→経済産業省および総務省、環境省がエコポイント

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タグ : IT業界動向 , クラウド



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