AlmaLinux、今後はRed Hat Enterprise LinuxのABI互換を目指すと発表。これまでの「バグまでRHEL互換」の路線を変更

2023年7月18日

2020年にRed Hatは、Red Hat Enterprise Linux互換OSとして使われてきたCentOSの開発中止を発表しました。

これをきっかけに、CentOSの後継を担うことを目指していくつかのRHELクローンOSが登場します。その代表的なLinuxディストリビューションの1つがAlmaLinuxです。

AlmaLinuxはRHELのソースコードを基に、RHELのバグまで含めて完全にRHEL互換をうたうLinuxディストリビューションを開発、提供してきました。

しかしRed Hatは先月(2023年6月)、RHELのソースコードの一般公開を事実上終了するとともに、クローンOSベンダに対して「付加価値もなくコードをリビルドするだけなら、それはオープンソースに対する脅威だ」と非難する内容のブログを公開します。

参考:Red HatがクローンOSベンダを非難、「付加価値もなくコードをリビルドするだけなら、それはオープンソースに対する脅威だ」と

これによりAlmaLinuxはこれまでのような方法でRHELクローンOSとしてのAlmaLinuxの開発を勧めることができなくなったため、今後の開発をどのように進めるのか、検討を迫られていました。

AlmaLinuxはRHELとのABI互換を新方針に

そして7月13日付けのブログ「The Future of AlmaLinux is Bright」で、新たな方針を発表しました。

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新たな方針では、バグまで含めた完全互換を実現する方針を改め、アプリケーションバイナリインターフェイス(ABI)互換を実現すると、次のように説明しています。

After much discussion, the AlmaLinux OS Foundation board today has decided to drop the aim to be 1:1 with RHEL. AlmaLinux OS will instead aim to be Application Binary Interface (ABI) compatible.

多くの議論の末、AlmaLinux OS Foundation理事会は本日、RHELとの1対1互換を目指すことを取りやめることを決定しました。その代わりとして、AlmaLinux OSはアプリケーションバイナリインターフェース(ABI)互換を目指すこととします。

この方針変更は典型的なユーザーに対する影響はほとんどないとしつつ、今後はRHELのバグ修正を待つことなく、AlmaLinuxユーザーが遭遇したバグに対して独自に対応できる可能性がでてくると説明しています。

The most remarkable potential impact of the change is that we will no longer be held to the line of “bug-for-bug compatibility” with Red Hat, and that means that we can now accept bug fixes outside of Red Hat’s release cycle. While that means some AlmaLinux OS users may encounter bugs that are not in Red Hat, we may also accept patches for bugs that have not yet been accepted upstream, or shipped downstream.

この変更による最も顕著な潜在的影響は、Red Hatとの「バグとバグの互換性」という線引きにもはや縛られないということであり、これはRed Hatのリリースサイクル外でバグ修正を受け入れることができるようになることを意味します。
これは、一部のAlmaLinux OSユーザがRed Hatにないバグに遭遇するとした場合、アップストリームではまだ受け入れられていない、あるいはダウンストリームに提供されていないバグのパッチを、私たちが受け入れる可能性があるということです。

Rocky LinuxはRHELのソースを入手する方針か

RHELクローンOSの代表的なLinuxディストリビューションとしてAlmaLinux以外にRocky Linuxがあります。

Rocky Linuxは6月29日付のブログ「Keeping Open Source Open」のなかで、Docker HubなどのサービスからRHELベースのUBI(Universal Base Images)コンテナイメージを取得、あるいはパブリッククラウドのRHELイメージをインスタンスとして起動し、そこからRHELのソースコードを入手する方法を合法的に実行可能なRHELのソースコード入手方法だとしています。

そのためRocky Linuxは今後もこうした方法により、RHELのソースコードからRHELクローンOSを開発していくものと見られます。

今後AlmaLinuxとRocky Linuxは、同じRHEL互換OSでありつつもそれぞれ(これまでよりも)個性の異なるディストリビューションになっていくのかもしれません。

また、エンタープライズLinux大手の一角を占めるSUSEも、RHEL互換OSの開発を表明しました。RHEL互換OSの選択肢はさらに拡大しそうです。

参考:RHEL互換ディストリビューション、SUSEも参入へ。制限なく誰でも利用できるRHEL互換OSを開発していくと

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Junichi Niino(jniino)
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