Chromeのバージョンが100に、ベータ版が公開。マルチスクリーン対応の新機能、Webサーバ側でのブラウザ判別処理にご注意
Chrome開発チームは、Chromeバージョン100ベータ版のリリースを発表しました。主要なWebブラウザとして、メジャーバージョンが100に到達するのは初めてとなります。
Checkout Chrome 100 beta: Reduced User-Agent Strings, Multi-Screen Window Placement, and Morehttps://t.co/IU7em3a5Hh pic.twitter.com/6ONlmn4La8
— Chrome Developers (@ChromiumDev) March 4, 2022
ちなみにChromeと同じくChromiumをベースにしているMicrosoft Edgeも、ほぼ同じタイミングでバージョン100に到達し、Firefoxも5月には同じくバージョン100に到達する見通しです。
バージョン100問題について確認を
Webサイトには、Webブラウザから送られてくるUser-Agentヘッダなどを参照することでWebブラウザを判別し、Webブラウザごとに異なるコンテンツを返すものが存在します。
Webブラウザのバージョンが100となり、このWebブラウザの判別処理において2桁から3桁になることで処理が正しく行われなくなるといった可能性が指摘されています。
GoogleとMozillaは、いわゆるWebブラウザのバージョン100問題について以前から注意喚起をしていました。
- Force Chrome major version to 100 in the User-Agent string - Chrome Developers
- Version 100 in Chrome and Firefox - Mozilla Hacks - the Web developer blog
すでにほとんどのWebサイトで確認や対応が行われていると思われますが、念のためにこのChrome 100ベータでアクセスして確認するとよいかもしれません。
マルチスクリーンウィンドウの配置に対応
Chrome 100はいくつかの新機能も搭載予定です。大きなものとしては「Multi-Screen Window Placement」(マルチスクリーンウィンドウの配置)があります。
これは複数のディスプレイを利用している環境で、任意のディスプレイに対してChromeのフルスクリーン表示を可能にします。
これは例えば、あるディスプレイではフルスクリーンでPowerPointなどのプレゼンテーション資料を表示し、別のディスプレイで自分で参照するためのメモなどを表示する、といった場面で便利な機能です。
また、Chrome 100は通常のUser-Agent文字列を採用するWebブラウザとしては最後のバージョンになることが予告されています。
User-AgentにはWebブラウザの種類やバージョン、OSの種類などをはじめとするさまざまな情報が含まれています。これらの情報が利用者を特定するために使われないよう、今後段階的にUser-Agentの文字列が削減(User-Agent Reduction)されていく計画です。
Chrome 100にはこのUser-Agentの削減された文字列を試すOrigin Trialも設定されています。
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