IT予算の増減傾向はリーマンショック以前の水準まで回復、投資意欲はIoT、クラウド、機械学習、RPAなどに。ITRの調査結果
調査会社のITRは、「国内IT投資動向調査2018」の速報を発表しました。この調査は同社が2001年から継続的に行っているもので、いわゆるユーザー企業を対象にしたもの。有効回答数は2554件。
IT予算を増加させると企業は34%で、リーマンショック前の水準に
IT予算の増減傾向をたずねた質問では、回答の5%がIT予算を20%以上増加、29%が20%未満の増加で、合計34%の企業がIT予算を昨年度よりも増やすと回答しています。
2009年のリーマンショック以後、IT予算を増やすという回答数は低迷を続けていましたが、ようやくリーマンショック前並の割合でIT予算を増やす企業が現れてきたと説明されています。
IT予算の33%が新規システムなどのための投資に
IT予算の使われ方としては、予算の32.5%が新規システム構築や大規模なリプレースといった新規投資に使われていることが分かります。
新規投資への割合は過去2年よりやや増加。この要因について、ITRシニアアナリストの舘野真人氏は、詳細な分析はこれからと前置きしつつ「多くのケースで、上層部から新しいことにチャレンジせよというお達しがきているのは間違いないと思う」と説明。
クラウドのような従量課金で使えるIT資源が登場してきたことで、いろんなチャレンジがしやすくなったことも背景にあるのではないかとしています。
ITベンダはクラウドや統合サーバなどの導入により、従来の運用コストが削減でき、その分を新規投資に回せるといったメリットを以前から訴えてきていますが、そうした効果による新規投資の増加はそれほど明確な形では現れてきていないようです。
投資意欲はIoTやAI、機械学習など
どの分野に対する投資意欲が高いかを分析すると、インフラやデバイス関連ではIoTが圧倒的に高いことが分かります。
クラウドやハイパーコンバージドインフラなどへの投資意欲も高いことが示されました。
OS、ミドルウェアの分野では、ディープラーニング、AI/機械学習、そしていわゆるソフトウェアロボットによる自動化であるRPA(Robotic Process Automation)が注目されています。
詳細な調査レポートは同社から11月中旬に発行される予定です。
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