米ヒューレット・パッカードが低価格のマネージド仮想プライベートクラウド「HP Helion Managed VPC Lean」を発表。月額約1万7000円で運用サービス付き

2014年8月8日

Amazonクラウドなどの一般的に使われているIaaS型のクラウドでは、クラウド上に構築したシステムの運用、例えばバックアップや障害時のフェイルオーバー、OSのパッチ当てといった作業もユーザー自身が行うことになっています。

そうした運用をユーザーに代わって行うのがマネージドサービスです。米ヒューレット・パッカードは、同社のクラウドサービス「HP Helion」でそれまで提供していたマネージド仮想プライベートクラウドに、低価格のプラン「HP Helion Managed Virtual Private Cloud Lean」を追加したと発表しました。利用料金は月額168ドル(約1万7000円)から。

HP News - HP Offers Low-cost Managed Virtual Private Cloud Service for Lighter Enterprise Workloads

仮想プライベートクラウドは、クラウド内に専用の領域を設定することで、あたかも自社のデータセンターがクラウドの中にあるように利用できる機能です。企業が業務でクラウドを利用する際には欠かせません。

HPはこの仮想プライベートクラウドの運用を請け負うマネージドサービス「HP Helion Managed Virtual Private Cloud」を以前から提供しており、今回追加したのはその低価格版です。これにより運用まで手が回らない中小規模の企業のクラウドへのニーズを取り込むことを目論んでいると思われます。その特長をプレスリリースから引用します。

HP’s new offering supports lighter workloads for mid-sized and enterprise-level businesses such as application development and test environments and workplace collaboration solutions, while also enabling quick onboarding times and the ability to add features on demand.

HPの新サービスは、中堅企業のためのアプリケーション開発やテスト環境、従業員のコラボレーション環境など、軽量のワークロードに対応しています。これらを迅速にオンデマンドで提供できます。

HP Helion Managed VPC Lean also allows organizations to reap the enterprise benefits of a managed VPC, such as a regionalized cloud for data sovereignty, low latency, compliance, high availability, security and a variety of continuity options, for a lower upfront investment.

HP Helion Managed VPC Leanは、クラウドの中で分離独立された領域での安全なデータ統治、低レイテンシ、コンプライアンス、高可用性、セキュリティ、多様な障害対応の選択肢といったマネージド仮想プライベートクラウドの利点を、低価格で得られるサービスです。

(追記:プレスリリースでは具体的な運用オペレーションにまでは触れていないので、インフラだけがマネージドなのか、アプリケーションの運用まで見てくれるのかなどのマネージドサービスのレベルは現在のところ不明です)

エコシステムか純正サービスか

企業が業務システムをクラウドに乗せていく際にマネージドサービスは欠かせないサービスです。AmazonクラウドやMicrosoft Azureのように、サードパーティによるエコシステムが充実しているクラウドベンダは、マネージドサービスを自社ではなくエコシステムから調達できるようになっています。

一方で米ヒューレット・パッカードのように先行するクラウドベンダにエコシステムの面で太刀打ちできない場合には、企業ユーザーを獲得するために自社でマネージドサービスまで提供するというのは戦略として当然といえるでしょう。そしてクラウドベンダ自身が提供する純正サービスは、利用する企業にとってみればサードパーティよりも信頼できる点でより魅力的です。しかしそのことがさらに、クラウドを取り巻くエコシステムの形成を難しくする面があるとも考えられます。

クラウド市場そのものは低価格化の圧力が働いており、それがグローバル展開や規模の経済へとクラウドを推し進める中で、果たして自社のマネージドサービスをどこまでスケールさせていけるのかが、米ヒューレット・パッカードだけでなく、例えば先日マネージドクラウドへと方針転換を明らかにしたRackspaceなど、自社でマネージドサービスの提供へと踏み切った企業の課題なのではないでしょうか。

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