マイクロソフトが買収するのはどこか? それで困るのはどこか?

2009年5月15日

マイクロソフトが資金調達のため債券を大量に発行することが報道されています(参考:「マイクロソフト、債券発行の届け出をSECに提出:ニュース - CNET Japan」、「Why Does Microsoft Need $3.75 Billion? - eWEEK」)

Why Does Microsoft Need $3.75 Billion?

eWEEKの記事タイトルにあるように、今回の債券によって調達する金額は3.75ビリオンドル、日本円にすると1ドル100円として3750億円です。3750億円もの借金をこのタイミングで行い、そして調達した資金を何に使うつもりなのでしょう?

マイクロソフトはこの資金の用途を次のように説明しています。CNETの記事からの引用。

Microsoftによると、一般目的には運転資金や設備投資、同社株式の買い戻し、買収などに必要な財源が含まれる可能性があるという。
Microsoftは資金の使途に関して、それ以上詳細なコメントは避けた。

関連するほかの報道を見ても、資金調達の目的は次のように推測されているようです。

  • 株式の買い戻しのための資金
  • 企業の長期の運営資金
  • 大型買収のための資金

いまは米国でも歴史的な超低金利ですから資金調達の好機と見たのか、それとも大型買収を決めての資金調達なのか、といったところのようです。

以前にマイクロソフトは債券を発行しようとしてやめたことがありました。それは、ヤフーの買収を目論んでいる時期でした(参考:マイクロソフト、初の債券発行か--米ヤフーの買収資金捻出で - 企業情報 - ZDNet Japan)。

そのため今回もどこかの買収を目論んでいると多くの人が考えているようです。CNETの報道でもeWEEKの報道でも、買収候補として名前が挙がったのはSAPでした。マイクロソフトとSAPの両社は以前に合併を目論んでいたことがあったためです。しかし、マイクロソフト社長のバルマー氏は、それを単なる噂だと一蹴しています。eWEEKの記事から。

Ballmer dismissed the SAP speculation as "a random rumor."

SAPPHIRE 09

今週はSAPのイベントSAPPHIRE 09が米国で開催されており、同社のエグゼクティブたちが基調講演を何度も行います。万が一ここで電撃的な買収発表があったらすぐにブログに書こうと思って、僕は密かにSapphireの様子をこまめにTwitterでモニタしていたのですが(#sapphire09タグをモニタしていました)、もうすべての基調講演は終了したので、これは期待はずれに終わってしまったようです。

現在、世界的な不況で多くの企業の株価は大幅に下落しています。これをマイクロソフトやオラクルや、株価が堅調で資金調達力もある企業から見た場合、買収候補のバーゲンセールが行われているようなものです。オラクルがサン・マイクロシステムズを買収したように、IT業界でもしばらくは大型買収や企業同士の合従連衡が続くことでしょう。

さて、こうした企業同士の買収や合併で困るのはどこでしょう? もちろんマイクロソフトのライバル企業は、彼らがこれ以上大きくなってもらっては困るでしょう。それだけでなく、実はIT系のメディア企業が、IT業界の買収や合併で困った事態になるのです。

IT系の専門誌、IT系のオンラインメディア、いずれも広告は重要な収入源であり、マイクロソフトやIBMやオラクルやサン・マイクロシステムズなどなど、大手IT企業はマーケティング予算や広告予算が多く、メディア企業にとって重要な顧客です。

ところが買収によって2つの企業が1つになれば、いままで2つの企業から得られていた広告費は間違いなく減ることになります。オラクルがBEAシステムズを買収したときも、アドビ・システムズがマクロメディアを買収したときも、IBMがロータスを買収したときも、メディア関係者は「これで大事な顧客がまた1社減ってしまった」とため息をついていました。

マイクロソフトが調達した資金は、メディア関係者にため息をつかせることになるのか、それともマーケティング活動に投入されて、逆に喜ばせることになるのか、どちらになるのでしょうか。

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