「新しいマイクロソフト」は、あらゆるデベロッパーのために必要なすべてを備えている。Connect(); //2016

2016年11月18日

「新しいマイクロソフトは、次世代のソフトウェアアプリケーションを開発するのに必要なあらゆるものを備えている」。

赤シャツで知られるマイクロソフトのエグゼクティブバイスプレジデント スコット・ガスリー氏は、11月17日(日本時間11月18日未明)にニューヨークで開催された同社の開発者向けイベント「Connect();//2016」の基調講演で、新しいマイクロソフト像をこう表現しました。

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もともとWindowsのための開発ツールでありフレームワークだったVisual Studioと.NET Frameworkは、ここ数年で大きな変化を遂げました。

それは.NETのオープンソース化によるLinuxやmacOS対応や、Xamarinの買収によるマイクロソフト自身がiOSやAndroid対応したこと、オープンソースのVisual Studio CodeによるLinuxやmacOS対応などに加え、Windows 10のBash対応、Windows ServerのDocker対応など幅広い分野に及んでいます。

ガスリー氏はそれらが結実した「新しいマイクロソフト」は、あらゆるデベロッパー、あらゆるアプリケーション、あらゆるプラットフォームに対応していく存在になったと言います。

次のスピーチはガスリー氏の基調講演での一節を抜き出したものですが、マイクロソフトの方向性をとてもはっきりと打ち出しています。

「新しいマイクロソフトは、次世代のソフトウェアアプリケーションを開発するのに必要なあらゆるものを備えている。

あなたが.NETデベロッパーで、Webアプリケーションを開発するのであっても、Node.jsやPythonやJavaデベロッパーであっても、あるいはMacで同様のことをするにしても。

あるいはC++でWindowsクライアントアプリを開発するとしても、C#でiOSやAndroidをターゲットにしたとしても。SQL Serverのソリューション開発者であっても、Emacsを使うPythonデベロッパーがLinuxの仮想マシンにデプロイするのであってもだ」

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「Any developer、Any app、Any platform」という言葉が、今回のイベントのキーワードでした。

Visual Studio for Macが登場した理由

そしてあらゆるデベロッパーのための優れた開発環境を担うのが、Visual Studio FamilyとMicrosoft Azureだとガスリー氏は説明しました。

今回、Xamarin Studioをベースにした「Visual Studio for Mac」が登場したのは、買収したXamarin StudioをVisual Studio Familyに迎え入れるためだったのでしょう。

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CEOがサティア・ナデラ氏に変わるのに合わせるように、同社は「Microsoft Loves Linux」という言葉とともにLinux対応やオープンソースへの取り組みを強化してきました。それは同社の経営陣の思想が変化したというよりも(ナデラ氏の就任によって変化したこともあったでしょうが)、「WindowsのためのVisual Sutido」から「Any developer、Any app、Any platformのためのVisual Studio Family」へ戦略転換したことで、Linuxとオープンソースへの戦略的な取り組みが欠かせなかったからだと考えられます。

.NETのオープンソース化も、Visual Studio Codeの登場も、Xamarinの買収も、AzureのLinux対応も、Windows ServerのDocker対応も、この戦略に沿って進められてきたわけです。

この戦略転換が思想的な変化よりも合理的かつビジネスライクな判断によって行われた分、お金も人材も時間も豊富に投資することになるわけで、世界最大のソフトウェア企業であるマイクロソフトのそうしたダイナミックな動向を、多くのLinuxやオープンソースに関わるデベロッパーは期待を込めて見てきたわけです。

そしてその「Any developer、Any app、Any platformのためのVisual Studio Family」がひとまず実現したことを、ガスリー氏は今回のConnect();//2016の基調講演で宣言しました。

期待を込めて見てきたデベロッパーたちが、実際にマイクロソフトの製品に向き合って本格的に試すことができるフェーズへと移ったといえるでしょう。

これまでマイクロソフトはそのLinuxやオープンソースへの傾倒そのものが注目され、また本気度が試されても来ました。これからはそこからさらに一歩進んで、それが製品として非Windowsデベロッパーたちに受け入れられるかどうかが試されるようになる。今回のConnect();//2016はその転換点となるイベントだったのではないでしょうか。

Connect();//2016

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