クラウド市場に遅れてやってきたオラクル。オラクルにとってクラウド参入の意義とは? 他社とどう差別化しようとしているのか?

2012年10月31日

オラクルが昨年10月に電撃的にクラウド参入を発表し、今年の6月から正式にサービスインをしてから約4カ月がたちました。まだクラウド市場におけるオラクルの存在感は大きくありませんが、9月末に開催されたOracle OpenWorldではPaaSとSaaSに加え、IaaSへの参入とプライベートクラウドの提供も発表、クラウドへの本気度を継続的にアピールしています。

すでに多くのクラウドベンダがひしめくクラウド市場において、やや遅れての参入となったオラクルがクラウドに参入する意義はどこにあるのでしょうか。そしてオラクルは他社とどう差別化を図っていくつもりなのでしょうか。

10月30と31日に都内で開催されたイベント「Oracle Days Tokyo 2012」に合わせて来日した米オラクル プロダクト・マーケティング担当グループ・バイスプレジデントのロバート・シンプ(Robert Shimp)氏に、オラクルのクラウド戦略を問いました。

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オラクル自身がクラウドを提供する意義はどこにあるか?

──── すでにAmazonクラウドがAmazon RDSでOracleのデータベースサービスを提供し、IIJも国内でオラクルデータベースのクラウドサービスを始めるなど、オラクルのソフトウェアは既存のクラウドベンダによってサービス化され始めています。こうしたなかで、オラクル自身がクラウドベンダとなり、サービスを提供する意義はどこにあるのでしょうか?

シンプ氏 オラクルは業界最大のテクノロジーデベロッパーであり、どのようにサービスを提供し最適化するのかについても多くの知識やノウハウを持っています。ですから、オラクルがクラウドを提供することで、より完成されたサービスが提供できると確信しています。インフラだけでなく、ミドルウェアや業務アプリケーションについても完成された製品群を持っており、それらも大きな価値のあるサービスを提供していくことができます。これらがオラクルがクラウドを提供する意義だと考えています。

──── そのオラクルのクラウドについて、他社より優れていると考えている点について、あらためて教えてください。

シンプ氏 4つあります。包括的なサービスが提供されていること、OracleデータベースとJavaにおけるベストなプラットフォームであること、セキュリティやサービスの品質が高いこと、そして完全なデプロイメントモデルを提供していることです。

世の中にある多くのクラウドベンダは、営業支援や人事管理といった1つか2つのアプリケーション機能だけを提供しています。これでは企業のデータセンター内でサイロのように個別化しているシステムをそのままクラウドに移行するだけなので、効率化につながりません。

オラクルのクラウドはさまざまな業務アプリケーションを包括的に提供しているため、サイロを排除し統合されたビジネスプロセスを提供できます。

また顧客は業務アプリケーションに対して大きな投資をしていますが、それらの多くはOracleデータベースとJavaが使われています。オラクルのクラウドはこれらをプラットフォームサービスとして提供するため、顧客の投資を保護できます。

そしてオラクルのクラウドには、高可用性やディザスタリカバリ、セキュリティなどについて、これまでオラクルが学んできたすべてのことが投入されています。エンタープライズ向けの優れたサービスであるだけでなく、クラウドとして最高のサービスを提供します。

そしてデプロイモデルがクラウドからプライベートクラウドまで複数用意されているため、顧客は既存の投資を維持しながらクラウドテクノロジーに自分たちのペースで移行することができることも大きな差別化要因でしょう。

Oracle CloudはSaaSユーザーが多く、拡張要求などでPaaSへ

──── 現在、オラクルのクラウドはどのような利用の仕方が多いのでしょうか?

シンプ氏 例えば中堅企業が新しい人材をリクルートしたいとき、あるいは既存の社員のパフォーマンスを管理したいときに、オラクルクラウドのタレントマネジメントサービスを活用しているケースが典型的な例と言えます。つねに人材募集をしている小売業などが多いでしょう。あるいはコールセンターで、コールセンターを自動化するサービスを利用してもらっているなど、多くの例が挙げられます。

──── ということはSaaSの利用者が多いということですね?

シンプ氏 現時点ではSaaSのユーザーが多いですね。SaaSをまず使い始めて、そのあとで拡張やカスタマイズが必要になるとPaaSを利用し始めるようになってきます。

──── 日本と海外のユーザーで、クラウドに対するアプローチに違いはあると感じますか?

シンプ氏 まだ初期の段階なので断言はできませんが、興味深いのは日米で大した違いはないことです。たとえば日米ともに多くのユーザーが、新しいビジネスプロセスを迅速に展開したいという要求や、スモールスタートで低コストに業務を開始したいという要求を実現するためにSaaSの利用を開始しています。

──── オラクルとしては、そうしてスモールスタートでクラウドを始めたユーザーが成長してきたら、必要に応じてオラクルのハードウェアやソフトウェアを購入し、同じアプリケーションをオンプレミスで運用したり、ハイブリッドクラウドを構築したり、というシナリオを描いているわけですね?

シンプ氏 その通りです。最小限のリスクでスタートできるというクラウドのアプローチから、シームレスにプライベートクラウドやハイブリッドクラウドへ展開できるという、ユーザーにとって最大のフレキシビリティをオラクルは提供しています。

日本のデータセンターは未定

──── 日本へのデータセンター設置について、今日の基調講演のスライドで「Coming Soon」としていました。予定などの詳細は?

シンプ氏 まだ言えることはありません。適切な時期が来たら日本オラクルから発表することになるでしょう。

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タグ : Oracle , SaaS , クラウド



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