プリウスがつぶやきでユーザーと会話する。トヨタとセールスフォースが提携

2011年5月23日

クラウドとソーシャルネットワークが社会を大きく変えようとしています。トヨタ自動車とセールスフォース・ドットコムの提携は、それをはっきりと目に見える形で実現しようとしています。

トヨタがセールスフォース・ドットコムの「Chatter」をベースに提供を予定しているソーシャルネットワークサービス「トヨタフレンド」は、クルマがアイデンティティを持って人と対話するサービスであり、それをクラウドが支えるという構図になります。

5月23日に行われた発表会の模様を紹介しましょう。

クルマが愛される存在になるためのチャレンジ

トヨタ自動車代表取締役社長 豊田章男氏。

3月9日、トヨタのあるべき姿、進むべき道を示した「トヨタグローバルビジョン」を発表した。「笑顔のために、期待を超えて」クルマやサービスを届けたい、という思いが込められている。

これを実現するためには新しい取り組みに挑戦することが大切だと思っている。そこでセールスフォース・ドットコムと「トヨタフレンド」の共同構築に向けた提携に合意した。

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トヨタフレンドとは、人、クルマ、販売店、メーカーをつなぐ新しいコミュニケーションサービス。トヨタはこれまでも独自のテレマティックサービスを展開してきたが、これと連動する新しいサービスをセールスフォース・ドットコムと共同で構築することにした。

今年の1月、デトロイトモーターショウでセールスフォース・ドットコム CEOのマーク・ベニオフ氏と会った。トヨタフレンド構想を提案されたのはそのときで、ソーシャルネットワークにクルマが参加するというアイデアと、「トヨタフレンド」という名称を大変気に入った。

次の100年もクルマが必要とされ、愛される存在になるためのひとつのチャレンジではないかと思う。

クラウドを切り開いてきたセールスフォース・ドットコムと一緒に仕事をすることで、トヨタがどう変わるのか、期待をしている。

マーク・ベニオフ氏、壇上に。

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東日本大震災を経て、これまで以上に日本に協力し、投資をしていくことがセールスフォース・ドットコムにとって大事だと思っており、トヨタ自動車と提携できることを心からうれしく思っている。

いまモバイル分野で大きな変化が起きている。これは日本だけではなく世界中で起きており、またソーシャルネットワークという大きな社会現象も起きている。クルマにもプラグインハイブリッド車のような変化が起きている。

トヨタフレンド構想は、クルマがアイデンティティをもってソーシャルネットワーク、mixiやFacebooやYouTubeなどを動き回ることができ、顧客、サービスセンタ、工場などともリンクする、という存在になるものだ。

セールスフォース・ドットコムのChatterがこのコアテクノロジーになる。これによってセールスフォース・ドットコムの最高の部分とトヨタの最高の部分を組み合わせることができる。

トヨタフレンドでクルマとユーザーが対話する

トヨタメディアサービス 友山茂樹社長。

提携の狙いは、セールスフォース・ドットコムのサービスと、トヨタの次世代テレマティクスサービスを融合することにより、ソーシャルネットワーキングサービスの「トヨタフレンド」を構築し、クルマ、ユーザー、トヨタをつなぐ新しいコミュニケーションを実現するもの。

これはセールスフォース・ドットコムのクラウドサービスとして提供される。

トヨタフレンドは一般のソーシャルネットワークと同じように、クルマがつぶやいたり、利用者同士がフォローしたり、ユーザーが許可すれば販売店のスタッフがクルマのつぶやきをフォローし、それに応じて適切なアドバイスをすることも可能。

クルマのつぶやきはFacebookやTwitterといった外部のソーシャルネットワークからフォローすることもできる。

トヨタフレンドのデモンストレーションへ。

ユーザーがプリウスで帰宅する。

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ふとスマートフォンを見ると、プリウスがつぶやいている。

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プリウス 「電池残量が5%です。充電プラグは接続しましたか?」

いけない、忘れてた!

ユーザー 「ゴメンすぐやる」とつぶやきに返信。

プリウス 「ありがとう、待ってます」

ケーブルを接続。

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ユーザー 「プリくん、充電プラグ刺したよ」

プリウス 「プラグ接続ありがとう! 本日の充電推奨時刻は23時30分から。充電完了は2時15分ですがよろしですか?」

ユーザー 「オッケー」

プリウス 「充電予約完了、また明日」

深夜に充電できるなんて、トヨタのクルマは環境に優しいよなあ!

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クルマとサービスセンターが対話する

トヨタフレンド、続いてのデモンストレーション。

プリウスが自分の走行距離を把握してユーザーにつぶやく。

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プリウス 「まもなく走行距離が1000キロメートルになるので点検をお願いします」

ユーザー 「プリくん。1000キロ点検とは何をするの?」

プリウス 「1000キロメートル点検は、納車後の状態を確認する無料点検です。予約しますか?」

ユーザー 「了解!」

すると、点検予約の知らせが自動的にサービスセンターに届く。

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サービスマンがその場でプリウスに対してリモート診断を実行。エンジンルームOK、パワステOK、ミッションOK、ブレーキOKと。

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営業担当が予約の確認を兼ねてユーザーにつぶやく。

営業担当 「豊田様、品川店の斉藤です。点検のご予約ありがとうございました、リモート診断も問題ありませんでした。ご希望の土曜三時にお待ちしております。週末はオイル交換キャンペーンを実施しているので、チケットを送付します」

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予約の確認の返事がすぐに届き、キャンペーンのチケットまでもらえて喜ぶユーザー。

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点検の予約をプリウスに伝える。

ユーザー 「プリくん。点検予約したよ」

プリウス 「点検予約ありがとう!」

ユーザー同士も対話する。

さっきプリウスがつぶやいた1000キロメートル走行の話は、ユーザーの友人である鈴木さんもプリくんをフォローしていたために、鈴木さんにも伝わっていた。

鈴木 「1000キロ達成おめでとう。週末にドライブに行かない?」

ユーザー 「了解!」

当日、二人はそれぞれの家から目的地に向けて出発する。

プリウス 「もうすぐ目的地に着きます」

ユーザー 「いま到着した。そっちはどう?」

鈴木さんのプリウス 「もうすぐ目的地に着きます」

鈴木さん 「いま発見しました!」

クルマと人が対話しつつ、タブレット画面上では、お互いの位置情報がリアルタイムで表示されている。

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次世代テレマティックサービスは来年からスタート

今回の提携は、4月に発表したマイクロソフトとの提携に次ぐグローバルな提携となり、トヨタのオープンプラットフォーム領域におけるクラウド環境の構築も視野にある。

これにより、柔軟なITサービスの開発・運用と、スピーディなグローバル展開を実現できる。

(注:プリウスのつぶやきは、クルマに搭載されているコンピュータではなく、トヨタスマートセンターで生成されているようです)

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来年から販売されるEV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)を中心に、トヨタ、マイクロソフト、セールスフォース・ドットコムの協業により構築される次世代テレマティックサービスがスタートすることになる。

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